水中考古学 - クレオパトラ宮殿から元寇船、タイタニックまで (中公新書)

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  • 中央公論新社 (2015年10月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121023445

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水中考古学 - クレオパトラ宮殿から元寇船、タイタニックまで (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • 今年6月に40周年記念行事の一つとして英国南部旅行に出かけたが、その目的の一つがポーツマスにある新設の「メアリーローズ・ミュージアム」を訪れる事であった。同館の中にあるガラス張りの1室には、470年前に建造された全長45mの発掘された同船の躯体が、ポリエチレン・グリコール溶剤で吹付け処理された上で巨大なダクトで乾燥処理されながら保存されていた。我々は幾つもの小さなガラス窓から全貌を見るのだが、その迫力には殊のほか圧倒された。その理由は、本件で紹介する井上たかひこさんとの出会いがあったからである。

    大半の方は、「水中考古学」という言葉に馴染みが無いのではなかろうか?
    水中考古学とは、遺跡・遺物の保護、そしてそれらを通して人間の営みの歴史を解き明かす学問である
    今年4月の40回帆船模型展に、井上さんが見学に来られて面談する機会を得た。井上さんは3月に掲載された日経新聞文化欄の記事「帆船模型の世界航海」を読まれて来場されたとの事で、帆船の時代に同じ思いを持つ
    ザ・ロープの作品をご覧になりたかったようだ。
    井上さんは、水中考古学に魅せられて大学卒業後1987年に、水中考古学の父ジョージ・バス教授が教えるテキサスA&M大学に東洋人として初めて飛込んでその門下生となり、名だたる世界の海底遺跡の発掘にも加わられている。日本ではこの分野の草分けの研究者の一人である。そして元寇船や千葉県沖に沈没した幕末の黒船「ハーマン号」など数多く海底調査に精力的に携われている。(余談:ザ・ロープの方に外輪船ハーマン号の制作をして欲しいとの希望がありました。)
    面談中に、水中考古学とは?調査発掘の手法?保存処理?など複雑な工程と研究について概略説明を受けた。加えてメアリーローズ号の発掘プロジェクトについても具体的に教えていただいた事が、英国旅行で同号との出会いを一層楽しみにさせてくれた次第である。

    さて中公新書「水中考古学」について少し紹介させていただこう。
    本書では、ご自身の体験も踏まえた水中考古学の歴史や日本の現状と課題が展開されている。調査、発掘、保存方法などの説明は一見専門的に見えるが、帆船模型を制作している我々にとっては馴染みの帆船も多く登場してくるので、とてもワクワクしながらテンポよく読む事が出来る。
    この本に登場する沈没船、遺跡発掘を一部紹介させていただくと、海外での沈没船発掘では、メアリーローズ号、ヴァーサ号、タイタニック号など、遺跡発掘では、水中考古学発祥の地と言われるトルコ南部でのボドルム遺跡(古代エジプト・ツタンカーメン王時代の王家の船など)、クレオパトラの海中宮殿、日本では、元寇船発掘を中心とした長崎県鷹島神崎海底遺跡、沈没船では和歌山県串本沖のトルコ海軍エルトゥールル号、千葉県勝浦沖の外輪船ハーマン号、江戸幕府の軍艦海陽丸などが紹介されている。
    我々が帆船模型を制作する時にはその船の歴史を調べるが、本書は帆船などの調査・発掘の具体的な説明をされており未知の世界が多い海へのロマンそのものである。皆さんにも一読をお薦めしたい。
    (余談:トルコから寄贈されたエルトゥールル号の模型が串本町トルコ記念館に飾ってあるが、船の経年劣化が激しい為に、2010年に船の科学館経由で当会に修復依頼を受けて会員有志が協力した経緯がある。)

    最後に井上さんからは、日本では海洋基本法の成立やユネスコ水中文化遺産保護条約の後押しもあり、水中考古学が次第に脚光を浴びるようになってきたが、残念ながら未だ認知度も低く日本の海の歴史には空白が多いとの事で、これからも精力的に活動PRしていきたいとの熱意が伝わってきた。
     (参考)井上たかひこさんの他の著書;「水中考古学のABC」成山堂、「海の底の考古学 水中に眠る財宝と文化遺産、そして過去からのメッセージ」舵社 など多数 
    (田中武... 続きを読む

  • 請求記号:C-2344 図書ID:20004865

  • 水中考古学とは、水面下の遺跡や沈没船を発掘、保存、調査する研究のこと。

    水中考古学の父ジョージ・バス博士の下で水中考を学び、千葉県勝浦沖の米国蒸気船を引き揚げ、現在も研究を続ける研究者が書いた水中考古学の入門書。

    本書で取り上げられている調査事例は13例あるが、うち12例が沈船に関するもの。ツタンカーメン王への献上品を積んだトルコ沖の沈船から発見された大量の献上品、東インド会社の沈船からは日本の陶器などが発見されている。また、福岡に沈む元寇船(元船)の錨と船の位置関係は、その船は南からの強い風(台風=神風)によって沈んでいることを裏付ける証拠となる。

    沈船から貴重品を引き上げるサルベージに止まらない水中考古学は、学問領域としては比較的新しい分野だと思う。
    また。保存状態によっては、地上の遺跡、墳墓などより良い状態で、歴史の証拠が残っていることもあるようだ。
    水中での発掘作業は、活動時間の制約もあり、なかなか困難な現場だと思う。しかし、地球の表面の7割を占める海で活躍できる研究分野に、興味をもつ若い研究者が増えたら、さらに色々な発見などあるのかもしれないと、そんなことを思った。

  • 実際の沈没船の探査や引き揚げ、保存修復方法などの「科学」と、沈没船の由来、積荷から見る時代背景などの「歴史」、2つの要素をテーマに持つだけに、余程面白いかと思ったが、引用が多いのか、事実の列挙に終始した印象だった。(それはそれで参考にはなるが) 誇張と考えられていた当時の絵が、引き揚げられた実物の船によって本物だと証明された点などは、タイムカプセルの様で興味深かった。

  • 水中考古学とは、水面下の遺跡や沈没船を発掘、保存、調査する研究分野である。欧米の研究チームがクレオパトラ宮殿やタイタニック号を発見し、中国・韓国は国を挙げて沈没船調査を行っているが、日本でも一三世紀の元寇船を発掘するなど、毎年のように新たな成果が上がっている。千葉県沖に沈んだ幕末の黒船を発見し、その後も調査を続けている著者が、自身の体験も織り交ぜながら、世界の海の探検と研究に迫る。

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