ヒトラーに抵抗した人々 - 反ナチ市民の勇気とは何か (中公新書)

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著者 : 對馬達雄
  • 中央公論新社 (2015年11月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121023490

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ヒトラーに抵抗した人々 - 反ナチ市民の勇気とは何か (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • 良心に基づき命を賭して反ナチ行動を取った市民たち。彼らは戦後一転評価を得たわけでなく,長らく同胞から裏切り者呼ばわりされ,報われることはなかった。よく考えるともっともな流れではあるけれど,この事実はかなりショッキングだ。反ナチという点で彼らと同じ立場であった占領軍も,占領政策の都合上,反ナチ抵抗運動については故意に黙殺した。力をもつものと力をもたないものの差,といってもいかにも酷な話だし,勝者が敗者である全ドイツ人にドイツの犯罪の責任をかぶせることで,逆に個々のナチ同調者の責任を稀薄化してしまう結果となっている。
    この本で紹介されているように,有名な白バラ事件と7月20日事件のほかにも数々の無名の市民がユダヤ人救援や体制打倒を目指す反ナチ抵抗運動に身を投じ,多くの刑死者を出している。戦前から戦中にかけてドイツ国民の大半は,ナチ支配体制から現実の利益を得ており,ユダヤ人虐殺などの事実に目を向けようとはしなかった。奨励される密告も反ナチ運動拡散の妨げとなった。そのような絶望的な状況の中,いくつものグループが存続していたというのはそれだけでも凄いことだ。
    結局ヒトラー打倒は実ることなく外からの暴力により第三帝国は崩潰。それは多くの反ナチ市民が,ジレンマを感じつつも望んだ,唯一の現実的な解決だった。そんな彼らの胸のうちを思うと何とも言えない気持ちがする。再評価の機運が高まっているというのは良いことなんだろうな。

  • シュタウフェンベルクらの1944年7月20日事件については、「ヒトラー暗殺計画 (中公新書 (744)) 」(1984)にドラマチックに描かれている。

    本書は、ヒトラー政権に対する抵抗運動について、ユダヤ人救済ネットワーク、クライザウ・グループなど他の運動についても取り上げるとともに、関係者の戦後の状況まで、包括的に取り上げている。

    「ヒトラー政権が、多数のドイツ国民に支持された体制であり、ナチ体制を否定するものは、ドイツ国民の生活と世界を脅かす存在であり、自国の敗北をたくらむ反逆者となった。
    戦後でも、まだヒトラー支持は色濃く、抵抗者であった彼らには裏切り者の汚名がつきまとい、遺族たちも物心両面の苦難が続いた。」
    というのは、印象的である。

    抵抗は、ドイツ語で、der Widerstand、der Stand(状態)に逆らうという意味である。社会の大勢に対し行動することが反体制、抵抗運動として、死刑を以って処罰された中で、自ら良心に基づき、勇気を以って行動した人々がいた。

    反ナチ運動は、現代の日本に生きる市民にとっても、社会や組織の大勢に盲従することなく、自らの精神の自由に基づき行動することの良き先例だと考える。

  • “白バラ”という言葉は聞いたことがあったが、初めてナチスに対する抵抗運動を知った。
    当初はヒトラーが合法的に政権をとったこと、また共産党をはじめとする反ナチスに対して弾圧したこと、この2点から抵抗運動の存在が自分の視点からはうっすら抜け落ちていた。一面的な“戦時中のドイツ”をつくりあげないように、もっと取り上げられてもいいのでは、と思う。

  • これが大学時代に勉強したかったことだと実感しながら読み進めた。
    ヒトラーを選んだ大多数の国民に対し、その中でもユダヤ人への迫害を冷静な目で見つめ、現実を自分で考え、正しく捉えた人の姿を紹介してた。
    衝撃だったことがいくつもあった。
    一つはその人たちが戦後も裏切り者と言われ続け、反抗した事実を口にできなかったということ。国民が芯までナチスに浸り、善悪を判断する精神を取り戻すまで非常に長い時間がかかっていたことである。
    もちろん、戦中にナチスに反抗するための新政府の策略を練っていたこと、暗殺のチャンスが何度もあったことなど、このテーマはより深く学んでいきたいと思わせる本であった。

  • 第2次大戦中のドイツ国内でナチに抵抗した人々についてまとめられた、有益な一冊。ユダヤ人を匿ったり逃した人々、反ナチ活動を行なった人々の様子が余すところなく網羅されている。それ故当時う人物や団体名も多く、できれば年表だけでなく各グループ名と判明している参加者ごとにまとめた図でもあるとありがたかったかも。第2次大戦後これらの活動が語られなかったのは、当事者があえて声高に言わなかったこともあるが、ナチ抵抗者たちが社会から裏切り者的な扱いを受けていたこと、戦後の占領国の政策の都合上多くのナチ関係者は国の中枢に戻り、抵抗活動の資料が破棄されてしまったことが大きいという事実に驚いた。ドイツ観が変わった。この2、3年ナチ追求者について映画化が続いていてこうした事情も描かれているが、より深く知ることができる一冊である。

  • 己の良心に従って行動した普通の人々。あの時代にそれを出来たということが本当に、すごい。ようやくどちらの側も公正に評することが出来る様になってきたのは、時間の流れのおかげなのだろう。

  • 政権初期には毅然としてユダヤ人への暴力行為を止めに入るドイツ人住民もいた。だが反ユダヤ主義の嵐の中で見て見ぬふりをする態度が一般化し、極貧の中で飢えと病に苦しむユダヤ人犠牲者を助ける人々の姿は表立って見られなくなった。密告が常態化していからである。密告社会においては国民的な反ナチ運動は生まれない。だが全ての人々が大勢に同調し続けるということではない。少数といえ、自分自身の価値観によって事態を見つめ問い考える人がいる。とくにポグロム行こう、普通の市民の反ナチ的地下活動が各地に自然発生的に生じるのも、このためである。不安や恐怖に打ち克つことは、もちろん容易ではないだろう。しかしそれを乗り越えた人々には、もはや他人にどうみられるかではなく、自分たが何をすべきかが問題であった。ナチ支配の不法な実態が都都逸社会に露わになったことが、決定的なきっかけである。

  • ヒトラー、ナッィスへの、抵抗運動者にはキリスト教信仰の厚い者が多数認められる。戦後の西ドイツ及び統一後のドイツでキリスト教民主同盟が大きな存在感を示しているのと関連性があるのかどうか?
    司法界に第三帝国時代、ナッィス党員が多かっただけでなく、戦後のドイツでも元党員司法官が多数いた(1950年で西ドイツ全体で15,000なや判事と、検事の66-75%は元党員だった!p.233)とは驚き。

  • ヒトラーの圧制時代に、勇気を持って抵抗し続けた多くの人たちと、クライザゥサークルや白バラ運動、ローテ・カペレ、教会、等の考え方の異なる複数の団体があったことに初めて気付かされた。彼らの、祖国ドイツを愛して危険を顧みない気高い行動に心をうたれた。また一方では、ヒトラーのナチが小市民的なドイツ国民に圧倒的に支持されていたことも驚きだった。人間社会はいつでも、我欲に流される人々と、人としての尊厳を守り続ける人がいることを再認識させてくれた。人としてどう生きるかを考えさせる本だと思う。

  • 意外だったのがヒトラーに抵抗した人々が戦後積極的に名乗り出たわけではなかったこと。あれだけ支持された政権であったわけだから名乗り出ることは即「売国奴」「第五列」の烙印を押されるわけで…。
    「白バラ」など聞きかじった程度の話もまとまった分量が読めて良かった。

  • 反ナチ運動を「クライザウ・サークル」を中心に紹介。
    詳しく知らない分野だったので、なるほど…という感じだった。
    ヒトラー支配下での活動に加え、戦後の状況、遺族はどうなっていったか、というところも書かれており、反ナチ運動が長く正当に評価されていなかったことも分かった。

  • 良くも悪くも新書レベル。ナチの政策に反旗をひるがえすという意味でユダヤ人保護から直接的なテロまで様々な集団を網羅しているものの、それらを有機的に結びつけるような論理はなし。 個々の事例に関しては、門外漢なので詳しくは知らんが既知の情報も多く読書の快楽はあまりない。トンデモ社会学のようなことは言わないのである意味で誠実ではある。
    戦時中の独裁政権に対する反抗は、洋の東西を問わず戦後言説で美化されがちだとばかり思っていたのだが(『言論弾圧』のように)、ことドイツ人に関しては案外そういった自分語りはしてないのだなと、色々と思うこともあったり。
    こんなにも素晴らしい人々が!と手放しで浮かれる前に彼らが戦時下では少数であったことの意味を考えたほうが良い。

  • 請求記号:234.07/Tsu
    資料ID:50081143
    配架場所:図書館1階東館 め・く~る

  • 書籍についてこういった公開の場に書くと、身近なところからクレームが入るので、読後記はこちらに書きました。

    http://www.rockfield.net/wordpress/?p=6773

  • 「いつでも人には親切にしなさい。助けたり与えたりする必要のある人たちにそうすることが、人生でいちばん大事なことです。だんだん自分が強くなり、楽しいこともどんどん増えてきて、いっぱい勉強するようになると、それだけ人びとを助けることができるようになるのです。これから頑張ってね、さようなら。お父さんより」(反ナチ市民グループ《クライザウ・サークル》のメンバーが処刑前に十一歳の娘に宛てた手紙)

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ヒトラーに抵抗した人々 - 反ナチ市民の勇気とは何か (中公新書)の作品紹介

「いつでも人には親切にしなさい。助けたり与えたりする必要のある人たちにそうすることが、人生でいちばん大事なことです。だんだん自分が強くなり、楽しいこともどんどん増えてきて、いっぱい勉強するようになると、それだけ人びとを助けることができるようになるのです。これから頑張ってね、さようなら。お父さんより」(反ナチ市民グループ"クライザウ・サークル"のメンバーが処刑前に十一歳の娘に宛てた手紙)

ヒトラーに抵抗した人々 - 反ナチ市民の勇気とは何か (中公新書)のKindle版

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