トウガラシの世界史 - 辛くて熱い「食卓革命」 (中公新書 2361)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121023612

感想・レビュー・書評

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  • 原産地中南米からヨーロッパ、アフリカ、アジアへの伝播、変遷。野生種は小さく、下向き、辛いー身を守る為。栽培種は上向き,色もいろいろ。鳥は辛さを感じない野生種は繁殖ができるのだ。

  • 2024年1月

    国立民族学博物館のミュージアムショップで発見し面白そうだと思ったので購入!

    1章、2章は生物学寄りの内容で、3章以降は食文化に焦点を当てた民族学寄りの内容でした。
    トウガラシという存在が食文化を大きく変えたというのはすごい 辛い料理、好きだから、日本がトウガラシを食文化として受け入れてくれたことに感謝^⁠_⁠^

  • 韓国といえばキムチ?四川と言えば辛い料理?なんて連想してました。歴史から見るとこんなイメージはごく最近の話とわかりました。トウガラシは南米産でコロンブスの大陸発見で世界デビューしたとは意外でした。

  • 面白かったです。

  •  サブタイトルは辛くて熱い「食卓革命」というように、唐辛子は世界の料理に新たな「革命」をもたらしたといっても過言ではない。唐辛子はもともと中南米原産だったのが、大航海時代にヨーロッパ人によっていろいろなところに伝わるようになった。

     トウガラシ好きのチベット人と書かれているのを見てびっくりした。チベット料理に詳しくないが、それでも辛いものを好んで食べるイメージがなかったので意外だ。いろいろな料理にトウガラシを使っている。

     トウガラシを食べることをアメリカのローズンという研究者の説明を引用している。唐辛子を食べるのはジェットコースターに乗るのと同じで、スリルと快楽を味わっているという趣旨のことを述べている。

     一言でいえば、怖いもの見たさとやめられない止まらないだな。

     トウガラシを手にした人類は、トウガラシの辛さを知ってしまいトウガラシから離れられなくなってしまった。

  • トウガラシが原産地の中南米から世界各地へどのように伝播していったか、そして各地ではどのように使用されているかをまとめた本。
    おもしろかったのは、鳥以外の自然界の動物はトウガラシの辛みを恐れて寄り付かないが、鳥だけはトウガラシの辛みに無感覚で、平気でついばむので、必然的に広範囲に種をまくことができるようになっている。加えて、動物のフンに入っているトウガラシの種はほとんど発芽しないのに対して、鳥からのそれは発芽率が高い、という点だった。
    また、野生種のトウガラシはその赤い実が空に向かって生るので、鳥に容易に発見してもらえるようになっている点も興味深い。
    これらは、明らかにトウガラシが子孫繁栄のため、意図的に鳥を利用していると思われる。
    やはり、植物にも知性があるとの説は本当だと思った箇所であった。

    いずれにせよ、激辛好きには必読の書。

  • トウガラシは中南米発祥の植物である。しかも欧州に伝わったのはコロンブス以降である。にも関わらず、わずか400年程度でほぼ世界中に広まり、その各所で日々の生活に欠かせない調味料もしくは食材として大きな顔をしている。その謎を開かす本。
    なのだけど、伝搬についてまだまだ不明点が多いような、なんだか隔靴掻痒的な読後印象が残る。特に日本での使われ方について、胡椒とトウガラシを混同して呼んでいる時期があるにも関わらず「うどんに胡椒と書いてあるのでこのころはトウガラシを使っていなかったようだ」と書いていたりするのがなんだか根拠薄弱に感じた。面白い本なんだけどなあ。
    あとは知らなかったことをトピック的に挙げておく。
    ・パプリカはハンガリーで作られた。ビタミンCはパプリカに非常に多く(オレンジやレモンの5倍以上)含まれ、単離に成功したのはパプリカからだった。
    ・中国料理ではトウガラシがあまり使われていない。四川料理の、しかもほんの一部だけ。「トウガラシを食べると病気になる」という偏見があったらしい(欧州でも新大陸の食べ物への偏見は強かったとか)。
    ・韓国では、秀吉の朝鮮出兵後ぐらいにトウガラシが伝わったらしいので日本から伝わった可能性が高い。一方日本では逆に朝鮮出兵のときに朝鮮からトウガラシが伝わったので「かうらい胡椒(貝原益軒「花譜」)」と呼ぶ、との話もある。どっちだ。

著者プロフィール

1943年生まれ。京都大学大学院博士課程修了、農学博士。現在、国立民族学博物館教授、総合研究大学院大学併任教授。専門は民族学、民族植物学、山岳人類学。1968年よりアンデス、アマゾン、ヒマラヤ、チベット、アフリカ高地などで主として先住民による環境利用の調査研究に従事。1984〜87年にはペルー、リマ市に本部をもつ国際ポテトセンター社会科学部門客員研究員。主な著書に『インカの末裔たち』(日本放送出版協会、1992年)、『ジャガイモとインカ帝国』(東京大学出版会、2004年)、『ラテンアメリカ楽器紀行』(山川出版社、2005年)、『雲の上で暮らす——アンデス・ヒマラヤ高地民族の世界』(ナカニシヤ出版、2006年)、編著に『世界の食文化——中南米』(農産漁村文化協会、2007年)。アンデス・ヒマラヤにおける高地民族の山岳人類学的研究により今年(平成18年)度の秩父宮記念山岳賞などを受賞。

「2007年 『アンデス高地』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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