人口と日本経済 - 長寿、イノベーション、経済成長 (中公新書)

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著者 : 吉川洋
  • 中央公論新社 (2016年8月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121023889

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人口と日本経済 - 長寿、イノベーション、経済成長 (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • 筆者の立ち位置はケインズ主義+シュンペーター主義的な折衷的な位置におり、有効重要創出のためには技術革新が不可欠であり、そのために人口一人あたりの生産性を高めることで経済成長は可能であるとする。

    ここまでは至極当然なのだが、どうも最後の方で迷走が始まる。なぜか江戸時代の生活の話や、反知性主義への反論など本来の「人口成長と経済成長」という観点から急遽思想的な話に突入し、わかりやすい経済学の本が、二流の思想本になりはててしまっている。

    反知性主義や反成長主義に対しての反論したくなる気持ちはまだしも、その反論があまり拙い。

  • 漱石(の小説ではなく、よりマイナーと思われるエッセイ類)や老子、内藤湖南などが縦横無尽に引用され、昔風のインテリの著作という印象。こういう該博な「教養」を披瀝する人は、最近少なくなったなあ。
    内容が初歩的すぎるというレビューがあったが、一般向け新書ならそれで正しいだろう。門外漢の私などは、時に声を出して笑いながら、しごく楽しく読ませてもらった。
    「『イノベーション』の具体的提言がない」というのも、著者は起業家にあらず経済学者なのだから当然だろう。「過去の人類史において、人口の増減と経済成長はまったく比例していない」という事実を経済学的手法できっちりと立証してみせているのだから、自分の「仕事」はしっかりとこなしている。一般人が「なんとなく」で捉えていることをきちんと数字で説明する、それが学者と言われる人種の仕事だろう。
    強いて看板に偽りありと言うならば、人口と「日本」経済と言いながら、むしろ「世界」経済と言ったほうがふさわしいようなフィールドの広さだろうか。

    はたして「イノベーション」とやらが万能の秘薬のごとくすべてを解決するのか、それは私にはわからない。だが、すでに若い女性が減りまくっている日本において、人口減少は「必ず来る未来」である。それを恐れたり、嘆いたりできる段階はもう過ぎたのだ。ならば動機は何であれ(著者のような楽観論か、あるいは真逆の悲観論に由来するかを問わず)、昨今の我が国に横溢する「来たらどうしよう…」ではなく、「どのように迎えるか」に思考を切り替えるべきだろうとは思う。
    仮に一部論者が言うとおり「少子化が日本を滅ぼす」のだとしても、20年前に女児の出生を増やしておかなかった私たちに、もはやそれを避けうるすべは存在しないのだから。

    それにしても巻末の謝辞、「娘夫婦」なのに「隆志と桃子」という表記には驚かされた。愛娘がよその男の風下に立たされて平気なのかねえ…。

    2017/6/14読了

  • 現状世界第3位というGDP大国であり、経済成長せずに現状に甘んじることも一つの答えである。その上で、経済成長とは、何のためにあるのかを考えさせられた。

    今以上に生活が便利で豊かになることと、イノベーションによる経済成長は同義である。
    この先、超高齢化していく中で、より少ない若者が年寄りを支えていかなければならない。負担がかからないよう、若者が年寄りを支えずとも大丈夫なくらいに、年寄りが自立できるくらいには生活が便利で豊かになることが必要だ。
    故に、イノベーションによる経済成長を起こしていくことが必要なのである。

    個人的には、他の国の豊かさと比べても、日本は本当に生活水準が豊かであると思うので、これ以上豊かになりたいとまでは言わないが、現状の豊かさはせめて守っていきたいと思う。
    よって、筆者のいう通り、経済成長の果実を忘れて反経済成長になって、今以上に生活が不便になることは嫌だと思うので、国民の生活の豊かさを維持できるくらい程度での経済成長が必要であると思う。

    筆者は老人に対するサービスの向上によるイノベーションを提起していたが、年金暮らしの老人の一人当たりの消費は少ないなるので、財布の紐の固い彼らをターゲットとしたサービスは難しそうではあると思った。

  • 冗長的な解説。
    引用が多いのだが、その使い方が持論を補足するのではなく、紹介に止まっている。
    修士論文レベル。
    当たり前すぎる結論があんまりでは。

  • 人口減少が進み、働き手が減っていく日本。財政赤字は拡大の一途をたどり、地方は「消滅」の危機にある。もはや衰退は不可避ではないか――。そんな思い込みに対し、長く人口問題と格闘してきた経済学は「否」と答える。経済成長の鍵を握るのはイノベーションであり、日本が世界有数の長寿国であることこそチャンスなのだ。日本に蔓延する「人口減少ペシミズム(悲観論)」を排し、日本経済の本当の課題に迫る。

  • 人口減少と経済活動との関係性が大局的に理解できる。

  • 代理店営業会議資料作成のアイディア、そして、統計ソースとして購読。

    本書の最後に記されている、アニマル・スピリッツ(野性的本能)が必要とのシュンペーターの言葉には、仰け反ってしまうと同時に、実際には「学」を超えた思い切りも必要なのは、どの分野においても同じだなぁと再確認される。

    1番興味深く読めたのは、販売会議には何の関係もない最終章「人間にとって経済とは何か」。

    必ずしも「平等」とか「所得格差」へのこだわりはないし、経済のもたらす恩恵も理解しているつもりだが、「欲」や「要求」を満たすという為の行為以上を経済に求めたい。

  • 新聞で著者の記事を読み、図書館で借りて読む。
    なんといっても、景気が良くならないと
    今の若者は子ども産みたいって思わないよね。
    婚活とかもいいけど、すべての子育てしている人に社会がもっと寛容になって欲しいですね。

  •  解するに、日本に蔓延している「人口減少ペシミズム」とは、一つは国富の源泉たる労働人口の減少、もう一つは人口減少と同時進行する高齢化に伴って増大する社会保険料負担の2点に由来するのだと思います。

    前者の「国富の源泉たる労働人口減少」が真実なら、後者の社会保険料負担増加は必然なので悲観するのも無理はないですが、本書では前者のテーマを歴史的・統計的に論駁します。
    日本だけを見ても、人口と労働生産性が比例しないケースがたびたびあった。つまり両者は比例せず、別の要素が関わっていると解釈すべきである。とすれば、人口減少の中でも国富(本書ではGDPにフォーカス)を増進させることは可能であり、そうなれば社会保険料負担率も低減できる。

    乱暴に要約すると本書の趣旨はそんなところでしょうか。
    ただ、マクロにとらえれば人口減少の中でもGDPの伸長は図れても、ミクロに見た場合に問題はないのか、という点が若干気になりました。つまり格差拡大が進むのではないかという点が。

    しかし論理構成は明快で、参考になる統計情報も豊富。大変勉強になる1冊でした。

    本書の結びでは(上記の論理展開から)、企業は人口減少から将来を悲観して守りの経営を行うのではなく、積極的にイノベーションを起こしていくべき、と提言しています。
    これは昨今のキャッシュ経営に対する苦言ではなく、またバブルの頃のように営業CFがマイナスなのに更に銀行から借金して投資せよ、と言ってるわけでもないと思います。
    それは、「極端に守りの経営を行うのではなく、しかるべき研究開発を進め、前向きに経営すべきだ」という至極まっとうな提言だと私は受け止めました。

  • 子供の頃人口問題といえば人口爆発とか過密化とか習ったため、人口減少がそんなに悪いこと? 増え続ける人口を支える(望ましい)雇用が本当にあるの? と疑問で、少子化はともかく高齢化=長寿化は基本的にはめでたいことなのに…と素朴に思っていた身としては、そうそう、と膝を打ちたくなる話だった。少なくとも数がいりゃいいのではなく、イノベーションを創出するような高度人材じゃなきゃだめなんじゃないの、安い人件費で再び世界の工場になるような低所得を受け入れるんでなければ、と思っていたのよね。ただし、リクツでは人口減少⇒経済衰退ではなくても、「人口減少ペシミズム」に陥って、縮こまって投資、しかも近視眼的でない挑戦的な投資を惜しんでいたら、イノベーションなんか生まれないから、日本経済の先行きはやはりあまり明るくなさそう。そういえば、消費が落ち込んでいるのは何となく将来の不安に備えての節約のせい(そして節約自体が習慣化してしまったせい)というニュースを最近やっていたが、好景気と言われつつも企業が何となく将来の不安に備えて内部留保を貯め込むのを優先したツケが個人消費に回ってきたって感じなのも、投資抑制マインドが成長を阻害する構図に似ている。そうして先行き暗い感がますます強まり、さらに少子化が進みそうだわ。
    それにしても、20世紀半ばまで「人間五十年」だったのだなあ。

  • ★平易ではあるが、それで‥★人口が減ってもイノベーションで一人当たりの生産性を高めればいいし、そもそもイノベーションでしか経済は成長しない――を丁寧に語る。正直なところさほど目新しいところはなし。潜在的な需要に応えるプロダクトイノベーションの重要性は分かるが、それをどう実現するかが難しい。

    本編とは直接関係ないが、増田寛也の消滅可能性都市の議論は何が新しいのかと不思議だったが、人口移動の前提を変えたのが特徴というのは初めて知った。経済学で法則として必ず成り立つのはエンゲルの法則(エンゲル係数)くらいというのは笑えた。人文科学は科学(サイエンス)とは思えないたちなので、余計に納得。

  • 少子高齢化が進む中、人口が減少していく中、日本経済はどうなってしまうのか。その将来像について書かれています。世間で言われているようなストーリーでは、人口減少が経済成長を衰退させるというイメージですが、著者はそれにNOと言います。経済の成長は何によっておこるのか。それを歴史とその歴史上の著作によって解説されています。また人口と経済を結びつけた考え方の歴史も書かれており、それによって人口が増えても減っても問題視されてきた過去を挙げられています。
    人口の変化は必ず起こるし、それは確かに相当なインパクトがあります。しかしそれは巷で言われているような話ではない。そこを誤ると、将来のその変化に対して間違った選択をしてしまう可能性があるということを、最後に経済的な豊かさが必要かという議論も絡めて問題提起されています。

  • 吉川本は都合3冊目。新書の本書が最も短く簡明。シェークスピや漱石の引用も絶妙なアクセントとなっており、短時間でストレスなく読めるのが良。シュンペーター/イノベーション信奉者たる著者の真骨頂。

    第1章「経済学は人口をいかに考えてきたか」
    人口増加率より食料生産増加率のほうが低いため、貧困と不平等は必然であるとする「マルサスの罠」。この「不平等」あればこそ文明は発展するのだとするマルサスの理論が、富裕層の消費の拡大が経済成長をもたらすとするケインズ理論の基礎の一部であった可能性が示される。しかし、20世紀以降の人口停滞と投資機会の減少により、それまでは投資をドライブしていた「不平等」が過剰貯蓄・需要不足を生み、今や成長の軛(くびき)となってしまったとするケインズの言を紹介。最後に最適人口を実現すべく社会全体で「子育て支援」の可能性を探るスウェーデンの試みに言及する。

    第2章「人口減少と日本経済」
    最早覆うべくもない劣化を呈する日本財政。その背景に少子高齢化があるのは間違いないが、人口減が直ちに成長停滞を意味するものではないことが、過去100年強の人口とGDP伸び率の推移から示される。そして、人口停滞を補い経済成長をもたらす「労働生産性の向上」には、技術進歩すなわち「イノベーション」が必要であると説く。

    第3章「長寿という果実」
    マルサスによれば経済成長は人口増をもたらすはずだが、現代の先進国では所得増と人口減・寿命延長が同時に起こっている。この不整合の理由としては(ギリシャ亡国の遠因ともなった)富裕層の少子化戦略を挙げつつも、所得増加の国民健康への正の影響、並びに社会保障制度の充実による所得再分配に伴う所得平準化がその主因だとする。そして、この結果生じた日本人の平均寿命の伸長こそが戦後経済成長の最大の果実であると説く。

    第4章「人間にとって経済とは何か」
    リア王やバーナード・マンデヴィルの言を引きながら、著者は経済をドライブするのは「贅沢」「奢侈」、即ち人間の欲望であると喝破する。そして、GDP=「様々なモノ・サービスに対する人間の主観的評価の総和」としたうえで、屋もすれば飽和しがちなモノ・サービスに対する需要=人間の欲望を惹起する「イノベーション」こそが、GDP増大即ち経済成長に至る王道であるとする。

    やや不可解に思えたのが、歴史的にみて人口「停滞」が必ずしもマイナス成長を意味するわけではない、というのはデータからも理解できるが、今後日本が陥る明確な人口「減少」については今のところ少なくとも先進国にはトラックレコードがないのでは、と思えるところ。イノベーションが人口減少効果を上回ってパフォームする確たる保証はないと思うが。また、イノベーションを起こせというが、言うは易しでは。内部留保をため込む企業への批判も垣間見えるが、超々低金利=各種リスク平準化=投資機会の減少、を日銀をはじめとする中央銀行が先頭に立って推進する状況下では、「一体どないせっちゅーねん」という企業の呪詛が聞こえてきそうだ。

  • 過度の人口減少ペシミズムが問題であるという認識には共感するが、あまり楽観的に、イノベーションを起こせば大丈夫というほど楽観的には、なれない。
    安易にイノベーションを連呼されると、”Hey Hey Hey時には起こせよムーヴメント♪”って、歌ってるのを聴いてるような気になる。

  • 要再読。

    人口という切り口でこれまで経済学はどのように考えてきたのか、経済に与える影響として人口よりも大きい要素とは何か、その上で、現在の長寿、経済成長をどのように評価するのか。

    答えは考えなければならない。

  • 人口減少の現実を、豊富なデータで検証していきます。
    歴史的な背景も踏まえての検証は、説得力があります。
    人口減少をただ単に悲観的にとらえるのではなく、希望もあることを説きます。
    イノベーションが経済成長をもたらすことを、本書は説きます。
    示唆に富む本でした。

  • 最新作であることから時事ネタや現状をよく汲み取れた作品。経済初心者でも読める説明付きで、オススメ!人口減少による経済の衰退を危惧している現状を完全に覆す内容でした。悲観的な捉え方を真っ向から否定する本書に力強さを感じた。

  • 人口減少=日本経済の終焉に対し統計資料をもって反論している。人口が減少しても経済成長をすることは可能。そのためにはイノベーションが必要と説く。
    個人的には他の本でも読んだが、人類は一夫一婦制より、緩やかな一夫多妻制が自然だという話や寿命のジニ係数などの記述がある第3章が面白かった。

  • 筆者の主張には、概ね納得できるところも多いが、「人口の減少を一人当たりの生産性の向上で補う」(ざっくりした要旨)、というのも、いささか。
    地方の人口減少問題は?とか、結局一極集中なのかな、とも思った。
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  • 人口が減少していくということは必ずしも悲観することではないのではないか?

  • 人口が減るから/労働人口が減るから、日本の将来は暗い/低成長は避けられない。このような昨今の悲観論に異を唱え、経済成長にはイノベーションが鍵なのだ、と説く。
    しかし、いくらイノベーションが重要ではあっても、人口減少が成長の大きな足かせであるのは間違いないし、社会福祉の負担まで考慮すると、やはり悲観派に傾いてしまう。
    昨年来の評判の書であり期待していたが、マルサスやケインズの人口論など興味深い部分があったものの、全般的にやや散漫な印象を受けた。

  • 吉川先生と言えば、学部時代のマクロ経済の教科書書いてた人だよなぁくらいの認識。たぶん松原隆一郎先生の授業だったが、3回目くらいから眠すぎてリタイアした覚えが...。というくらいのつながりで気になって読んでみたが、面白い! 人口を切り口に現実問題と歴史を絡めながら、新書の形に落とし込む腕前は見事なもの。人口減少社会の悲観論へはシュンペーターが処方箋になるんだが、門外漢からすると創造的破壊って当たり前じゃん⁉︎ と思う理論なんだけどちゃんと経済学的理論づけがあるんだろうなぁ。漱石とか中谷宇吉郎とかの引用が出てきて、面白いなぁと感じた。

  • 良くも悪くも、言ってることはその通り、というところ。新書大賞2位か…

  • 豊富なデータで人口と経済について述べられていました。
    海外の事例や時間軸的には大昔と言っても過言でないほど古いデータも例示されています。
    最近の流行語なのでしょうか、やたらと「イノベーション」の文字が登場するのがやや本題とは不似合いな印象を持ちました。
    77ページには、
    ”スターバックスの誕生は、まさに「技術進歩」、イノベーションなのである。”
    との記述がありましたが、さすがにこれはちょっと違うんじゃないのかなぁと思ったり致します。
    イノベーションってのは、「技術革新」ではなくて、「新結合」という解釈が適当だと思うのですが。
    と、まぁ、本題とはやや外れる指摘をさせていただきましたが、人口と経済の問題を理解するための一冊としては何ら問題はないと思います。
    付箋は22枚付きました。

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