現代日本外交史 - 冷戦後の模索、首相たちの決断 (中公新書 2402)

著者 :
  • 中央公論新社
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121024022

感想・レビュー・書評

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  • 【由来】
    ・図書館の新書アラート

    【期待したもの】
    ・サラッと目を通して面白そうだったらちゃんと読む。

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

  • 冷戦後の日本の外交・安全保障の水位、経緯の概論。
    具体的には、海部政権の湾岸危機・湾岸戦争への対処、宮沢政権のPKO解禁〜民主党政権三大における対米関係の緊張、対韓関係の緊張、対中関係の緊張、第二次安倍政権における安保法制、慰安婦問題を『最終且つ不可逆的に解決』した日韓外相合意まで。
    どうしても、『概論』としてさらっとだが、流れをとらえるにはちょうど良い(いや、読みやすい分余計軽く感じるかも)
    5段階で☆7つくらい。
    出来れば、あとがきにあった『この三倍の分量』の原稿を『完全版』として改めて刊行して欲しい。

  • 平成に入ってからの日本外交を俯瞰する作品。
    主に首相の決断・志向にフォーカスを当てて分析を行っている。

    日本外交を俯瞰するときに押さえておかなければならないのは
    日本の台頭→日本の凋落(経済力世界第2位)→日本の凋落(中国に抜かれる)というプロセスであり、昔ながらの大国幻想は捨てなければならないし、かといって過度に卑小にとらえると、アジア以外とのつながり(バルト諸国・アフリカ)からの関心が薄れてしまうと言うこと。

  • 冷戦後からの日本の外交史が日本国内の政局と合わせて淡々と述べられていて勉強になるし、途中からそういえばこんなことあったなといった、歴史じゃなくて自分がリアルタイムで体験した話になってきて面白い。

  • 米ソ冷戦が終わり、日本は経済大国として平和を謳歌すると思われた。だが、1991年の湾岸戦争で状況は一変する。「非自民」の細川政権を皮切りに連立政権の時代に入った日本を、北朝鮮核危機、テロとの戦い、中国台頭による緊張の高まりといった安全保障問題が揺さぶる。さらに経済危機、歴史認識、沖縄米軍基地、北方領土など、冷戦後の25年は危機の連続だった。16政権の苦闘をたどり、日本外交の課題に迫る。

  • これまでの与党連立の組み替えがPKO法案や沖縄基地問題といった安全保障問題をめぐって行われてきたことを改めて学び興味深かった。また1992年のG7ミュンヘンサミット政治宣言に以下の記述があることは隔世の感がある。そのほかの興味深い記述は以下のとおり。
    「我々は、法と正義の原則に基づき外交政策を遂行するとのロシアの公約を歓迎する。我々は、このロシアの公約が領土問題の解決を通じた日ロ関係の完全な正常化の基礎となるものと信じる。」
    ・1996年の返還合意時には橋本は代替施設の規模や場所について考えはなく、官邸から意図的にリークした可能性
    ・冷戦後には日中関係から、対ソ連携や田中派・竹下派の支配という安定化の重しが取れた

  • 東2法経図・6F開架:B1/5/2402/K

  • 冷戦が終わり世界平和が訪れると楽観的に考えていたが、そんなことは全くなかった。むしろさらに悪化している感もあり。
    本書にて冷戦後の日本の外交史を俯瞰しても中心は安全保障がずっとあり、その重要性が益々高まっていることがよく分かる。それが寂しい。

  • 湾岸戦争時の海部・宮沢政権から第二次安倍政権までの約二五年、歴代政権の外交政策を概略。元新聞記者らしい、簡潔にして要を得た文章で歯切れ良く述べていく。

    どうしても内政で判断されて影が薄くなりがちな外交の評価を、なるべく内政の評価と切り離してそれとして述べようという姿勢が印象的。森政権のアフリカ外交、民主党政権のアジア外交への評価などがその一例だろう。

    ただ、この文体はなんだか新聞を読んでいるようでもある。なぜならば、それは著者の筆致もあるが、そもそも新聞取材と当事者の証言で主に構成される叙述だからということもありのではないか。つまり、「史料」解釈がないので、わりとスラスラ読めてしまうようにも思う。そういった叙述を「歴史叙述」といっていいのだろうか、という方法論的なところでかすかに戸惑いを覚える。民主党政権のときに外交文書も保存年限30年となったので、この本の叙述が公文書(+私文書)で検討されるのは随分先のことになりそうである。

  • 【日本にとって、「冷戦の終わり」は二度訪れたと言えよう】(文中より引用)

    冷戦後の日本の外交を「首相たちの決断」という軸に依って研究した作品。主体的な外交が求められるようになる中、時の権力者たちはどのように意思決定をしていったのか.......。著者は、『戦後アジア秩序の模索と日本』等で知られる宮城大蔵。

    外交と内政に強い連関関係が存在しているということを鮮やかに描き出した力作。55年体制が崩壊する中、90年代の外交(とその不在)は今日的にも極めて大きい影響を残しているんだなと再確認させられました。

    冷戦後の現代史についての作品としても☆5つ

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著者プロフィール

1968年東京都生まれ。92年、立教大学法学部を卒業後、96年までNHK記者。2001年、一橋大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(法学)。現在は上智大学教授。著書に『バンドン会議と日本のアジア復帰』(草思社、2001年)、『戦後アジア秩序の模索と日本』(創文社、2004年、サントリー学芸賞・中曽根康弘賞受賞)、『現代日本外交史』(中公新書、2016年)、共編著として『戦後日本のアジア外交』(ミネルヴァ書房、2015年、国際開発研究大来賞受賞)、『普天間・辺野古 歪められた二〇年』(集英社新書、2016年)などがある。

「2017年 『増補 海洋国家日本の戦後史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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