欧州複合危機 - 苦悶するEU、揺れる世界 (中公新書)

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著者 : 遠藤乾
  • 中央公論新社 (2016年10月19日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121024053

欧州複合危機 - 苦悶するEU、揺れる世界 (中公新書)の感想・レビュー・書評

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  • 日本に住んでいると、どうしてもアメリカに比べ意識することの少ないヨーロッパであるが、本書の中では、EUを取り巻く危機について克明な分析がされているのであろう。

    正直私には読み通すのがきつく、途中からは飛ばし読みになってしまった。ただ、イギリスの離脱など、改めて世界史的な出来事に立ち会っているのがよくわかった。



  • 欧州で起きている様々な問題がよくわかる1冊。やや盛りだくさん過ぎるかもしれませんが、本当のところ何が起こっているのかが理解できる。力作です。

  • 20170315〜20170410 ユーロ危機、難民流入、テロ事件、イギリスの離脱…危機の本質を読み解く(本の帯)EUは解体するのか?著者は「解体」ではなく「改編」なのではないかと分析している。岐路に立っているのは間違いないだろう。
    そもそもイギリスのEC加盟だって、イギリスを引き込むことで(当時の)西ドイツとの政治経済的均衡を図ろうというフランスの思惑によるところが大きいようだし。イギリスのEU離脱交渉も一本道で進んでいくとは限らないだろうな。

  • 170309まで

  • 現在進行しつつある欧州複合危機を簡潔にまとめている良書。内容としては
    ① EU通貨危機(及び金融危機)
    ② 難民の大量流入
    ③ 民主主義の赤字(ガバナンスの危機)
    ④ EUの正当性の危機

    この4つの危機が同時に進行しているというもの。

  • 後半の「今後のゆくえ」についての考察部分は自分にはよく分からなかった(評価のしようがなかった)が、各危機の各論解説的な前段…ユーロ、難民問題、安全保障、イギリスのEU離脱…については、日頃ニュースに触れて「何となく」分かっているようでよく分かっていなかった内容について整理して理解することが出来、大変に有用だった。特に、ちょうど先に同じ中公新書の『ポピュリズムとは何か』を読んでいたのが…背景となるコンテクストが踏まえられ…よかったように思う。

  • EUの歴史から、ブレグジット後の世界まで、整理されて書かれていると思う。
    EUすごい!という雰囲気の中、地理を学んだ時の高校生の記憶からは、かなり印象が変わってきているのだなと感じた。
    問題解決のための手段だったEUから、問題としてのEUへ。
    EUについて、ざっくり知るためには十分な一冊だと思う。

  • 英国のEU離脱による欧州に与える影響について書かれた本。少々難しいところもあるが、欧州の歴史とともに、現在のEUが抱える課題を整理してくれる。大きな権力となったEUが、何を解決すべきか分かるのだが、特効薬的な解決策がないのが、現在のEUが持っている課題の一つだ。異なる文化、言語、民族が統合するのは簡単ではなく、長い時間が必要だ。人間の一代くらいでは足りないのだと思う。もっと長いスパンで欧州統合を考えなければならない。長期的な目で物事を見ないと、できることもできないし、不安定さから戦争などの危機にもなるだろう。欧州のゴタゴタを見ると、いかに地球上が不安定な状態で人間が生活しているのかが分かる。本書が執筆されたころはまだトランプが大統領に就任していない。筆者は2017年1月の状況を見て何を思うのだろうか。欧州状況は良い方に向かうのだろうか。

  • 第6章
    「グローバル化のもとで、自らの生が他の誰かと交換可能な、ありきたりのものではないかという不安にさいなまれる現代人は、その意味づけに苦悩した挙句、原初的なアイデンティティの投射先を探しに行く。ネーション(国家、国民)はその格好の対象なのである。」p.190

    「具体的には、一国における豊かな地方が、ますますグローバル化する資本市場へのアクセスに目を向ける。それにしたがって、自らに高い信用力が、同じ国の貧しい地方によって足を引っ張られるのに耐えられなくなる。」p.217

    第7章
    「しかし、日本でもなかなか語られない第三の側面こそ、EUを存続させている最大の要因かもしれない。それはPower(権力)である。つまりEUは、加盟国が単独では確保しきれない影響力を共同で保全する権力装置なのだ。これはあるから、加盟国はEUを手放せない。このような権力的観点から見たとき、大陸規模の『地域』というのは、仲間作りを近隣地域において展開し、貿易、通貨、環境など多くの交渉分野で影響力を保全し、世界的に投射する有力なメカニズムということができよう。EUは、このメカニズムの実践においていまだに最も優れている事例なのである。」p.227

    第8章
    「ダニ・ロドリックは主著『グローバリゼーション・パラドックス』で〈グローバル化=国家主権=民主主義〉はトリレンマ状態にあり、同時に三つは並びえないと論じた。(中略)規制緩和と自由化を軸とする単純なグローバル化主義者は、統治能力=国家主権と結び、この民主主義的側面、ならびにそれを行使する中間層以下の人びとを、えてして『非合理』と軽視してきた。EUもまた、複数の統治能力=国家主権を束ねるところまではよかったが、民衆と民主主義を軽んじた。今起きているのは、やせ細る中間層以下からのしっぺ返しである。」p.254-256

    「トリレンマの解消に魔法の杖はない。現在必要とされることを端的に言えば、グローバル化により置き去りにされた先進国の中流以下の階層に対して実質的な価値を付与し、支援インフラを構築する国内的改良と、放縦のままであるグローバル化をマネージする国際的組織化とを組み合わせることだろう」p.260

    終章
    「日本でもTPPをめぐって国論が二分したのは記憶にあたらしい。それは、二〇一六年参議院総選挙の際、東北や北海道といった農業地域で政権与党が劣勢だったことからすると、おそらくまだ尾を引いているといえよう。(中略)それでも決して止まぬグローバル化と、実質所得の伸び悩みを経由して有権者にマグマがたまりゆく現象とは、並行して進んでいる可能性が高い。」p.267

    あとがき
    「それは政治学というディシプリンで補って把握し、意味づけるように心がけた。この学問体系は、人間観に根ざし、秩序や自由、正義のあり方を問うものと教えられた。」p.274

    第4章までで「欧州複合危機」の具体的事例について記述し、第5章で「危機」、第6章で「欧州(EU)」の変容についてそれぞれ記述している。その後、分析と考察に入るという流れである。序盤の章で事実関係が整理できるため、その後の考察が頭に入ってきやすい。面白かったです。

  • 通貨、難民、安全保障、BrexitをEUにとっての複合的な危機と捉え、その全体像と歴史的文脈への位置付け、そして今後の展開を議論する。300ページ弱の中に相当な情報が詰め込まれていて、読むのにはそれなりの時間と気力が必要だった。しかし、ヨーロッパ、あるいはEUが置かれている状況をつかみ、分析的な視座を得ることができる。時事的なだけでない、広い視点をもたらしてくれる。

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欧州複合危機 - 苦悶するEU、揺れる世界 (中公新書)の作品紹介

EUは崩壊するのか、それとも…?一九九三年に誕生し、単一通貨ユーロの導入などヨーロッパ統合への壮大な試行錯誤を続けてきたEU(欧州連合)。だが、たび重なるユーロ危機、大量の難民流入、続発するテロ事件、イギリスの離脱決定と、厳しい試練が続いている。なぜこのような危機に陥ったのか、EUは本当に崩壊するのか、その引き金は何か、日本や世界への影響は…。欧州が直面する複合的な危機の本質を解き明かし、世界の今後を占う。

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