ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か (中公新書)

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著者 : 水島治郎
  • 中央公論新社 (2016年12月19日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121024107

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ポピュリズムとは何か - 民主主義の敵か、改革の希望か (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • 2017年。トランプ大統領誕生。英国がEUから離脱した。欧州で吹き荒れる反EU・反移民の声。ナショナリズムと自国利害中心主義の潮流は世界をどこに運ぶのか。今年の重要なキーワードとなるのが「ポピュリズム」だろう。本書はポピュリズムの特徴と成立背景を、南北アメリカと欧州の事例を引いて分析し、ポピュリズムがもつ二面性(抑圧と解放)とデモクラシーが孕む逆説を明らかにした良書。


    まず、ポピュリズムとは何か。二つの定義がある。1)直接国民に訴える政治手法。2)既成政党やエリートを批判し国民をひとつにまとめる下からの政治運動。本書は現在の世界の大衆迎合主義をエリート批判を中心にする下からの政治運動と捉え、エリートと国民の対比のなかで展開される政治運動としてポピュリズムを分析している。
    興味深いのが、ポピュリズムがもつ二律背反な特性だ。ラテンアメリカの事例からポピュリズムが社会を活性化させる効果を指摘している。これを著者は解放型ポピュリズムという。国内における圧倒的な経済格差と民主主義の未成熟にあるラテン諸国は、労働者や貧困層を基盤とし、社会経済上の平等を求める分配型のポピュリズムを志向する傾向がある。ここでは富を独占する外資や大地主、彼らと癒着した政治家やエリート層が攻撃対象となる。これにより停滞した既成政党に緊張感を与え、幅広い層の政治参加と既成政治に改革を促す契機となりポピュリズムは各々の民主主義にとって良い意味がある。


    これに対して欧州は逆に抑圧型のポピュリズムだという。福祉国家の発達により再分配が進んだ西欧は、ラテンアメリカのような貧富の差は少ない。むしろ公共部門から便益を受けている人々(公務員・生活保護受給者・福祉給付の対象者や給付対象者となりやすい移民、難民など)が批判の標的となる。さらにそれを許容し支援する既成政治家やエリート層がポピュリズム政党の格好の攻撃対象である。つまり国家による再分配の受益層とそれを助けるエリートが「特権層」とみなされる。ここに切り込み引きずり下ろすことを主張するのが欧州ポピュリズム政党の特徴である。


    そして最も興味深く且つ頭を抱えたくなる問題は、現代のポピュリズム政党のリベラル性であり、デモクラシーとの親和性である。
    本書では欧州各国のポピュリズム政党の誕生から躍進までの過程を歴史を踏まえ丁寧に辿っている。元ナチ協力者の生き残りや極右が結成した党として出発した政党が、徐々にデモクラシーの枠内でリベラルに転向し、有権者の支持を獲得することに成功したポピュリズム政党(フランス・ベルギー・オーストリア)。設立当初から民主制のなかでリベラル型の政党として進化してきたポピュリズム政党(オランダ・デンマーク・スイス)。などなどお国柄各国様々な成立背景がある。

    ここから分かる厄介なことは、リベラルゆえの「不寛容」。デモクラシーゆえの「親和性」。という問題である。
    現代のポピュリズム政党は民主主義の理念やリベラルな価値を援用して排除の論理を正当化する。つまり人権尊重、男女平等、政教分離といったリベラルな価値に基づいて、男女平等や個人の自由を認めない政教一致なイスラム教を批判する。エリート支配への批判、民衆の政治への直接参加といったデモクラシーの理念に基づき、国民投票を行い、急進的な政策を押し通し既成政治打破を訴える。
    実はデモクラシーやリベラルの論理を突き詰めれば詰めるほど、反イスラム排斥を訴えるポピュリズム、純粋な民主主義を訴えて国民投票でマイノリティ排除やEU離脱を決めてしまうポピュリズムの主張を正当化してしまう。西欧のポピュリズム政党の事例からみえてくるのはこうした矛盾だ。ポピュリズムはデモクラシーの内なる敵という意味もここにある。世界は今後このパラドックスと向き合わないといけない。... 続きを読む

  • 本書は、現在、世界的に広がりつつあるポピュリズムについて俯瞰的に眺め、ポピュリズムとデモクラシーの関係や今後の行方について考えるための一冊。

    本書の帯に「世界を揺さぶる「熱狂」の正体」とあるが、本書はまさにポピュリズムなる「熱狂」を、「一方的に断罪せず、その本質を見極めよ」(本書の帯より)と訴える。本書は、ポリュリズムについて考えるための第一歩として手に取れる一冊だ。

    本書を読み進めていくと、うすら寒いものさえ感じる。本書で取り上げる事例は、多くがヨーロッパ諸国におけるポピュリズムであるが、西洋近代的価値観を共有する日本でもまた、似たような事例をいくつも思い浮かべてしまうからだ。

    ここに描かれたのは、主に西洋近代的価値観を持つヨーロッパ諸国のポピュリズムの姿だが、これが明日の日本の姿なのかもしれないという思いは拭きれない。だからこそ、ポピュリズムとの向き合い方を考える上でも、さまざまな示唆に富む一冊でもある。

  • ヒステリックに否定したりせず価値中立的かつていねいにポピュリズムの概要と実例,その影響まで説明していると思う。ヨーロッパとアメリカの最新事情だけでなくラテンアメリカにおける起源までしっかり遡れていて視野が広がる。東京議会選の結果を見ると今後注目されること間違いなしの分野なのでヒットしてほしい。

    (ポピュリズムの定義)
     ポピュリズムの定義は大まかに分けて二種類ある。①政党や議会を迂回して有権者に直接訴えかける政治手法という定義。②人民の立場から既成政治やエリートを批判する政治運動という定義。基本的にイデオロギー性は薄く,ポピュリズムを具体的な政策内容で定義するのは難しい。したがって,近年欧米諸国で台頭しつつある「ラディカル・デモクラシー」の運動(イギリスのコービン,アメリカのサンダース,フランスのメランションなど)は一見するとポピュリズムの政治姿勢と対照的であるが,共通点も多いといえる。
     ポピュリズムは民主主義の敵のように扱われることが多いが,民主主義というよりも,代議制民主主義(間接民主制)への攻撃を行う点にポピュリズムの特徴がある。民主主義における法の支配や権力抑制を重視する「実務型」の民主主義の解釈を行う者にとってはこの点が危険視される。特に問題となるのは,多数決原理を重視しすぎるあまり少数派の権利が脅かされることである。
     ポピュリズムも悪いことばかりではない。野党としてのポピュリズム政党の存在は,排除されてきた社会集団の参加を促し,かつ既成政党に緊張感を与えることで,デモクラシーの質を高める方向に作用する。たとえばポピュリズムの起源となったアメリカ人民党は,19世紀末の「金ぴか時代」に独占資本主義の弊害を解消するべく立ち上げられた政党であったが,既存の政党が「革新主義」改革を掲げるきっかけをつくり,やがて既存の政党が改革に着手すると支持を失って消滅していった。逆にポピュリズム政党が政権を獲得し,さらにそれが安定的なデモクラシーを実現していない国の場合では,ポピュリズムがデモクラシーに対する脅威として立ち現れる。その典型例がクーデタにより憲法を停止したペルーのフジモリ政権である。フィリピンのドゥテルテ政権にも同種の傾向が見られ注視が必要である。

    (ラテンアメリカ)
     ポピュリズムの起源はアメリカ大陸である。アメリカ合衆国における人民党の成立が起源であるが,ラテンアメリカでは実際にポピュリズム政党が政権を獲得し,さまざまな改革を進めていった。ラテンアメリカにおけるポピュリズムの台頭を考える際に重要な背景は,この地で歴史的に形成されてきた社会経済上の圧倒的な不平等である。寡頭支配層の権力独占に終止符を打った直接の契機は世界恐慌にともなう一次産品の輸出減少であり,その後アルゼンチンのペロン政権に代表されるようなポピュリズムの嵐が巻き起こった。現在のラテンアメリカは一人当たりの国民所得で見おるかぎりでは中進国に位置するが,所得分配の在り方に目を転じると厳しい不平等が残っている。そのため,ポピュリズムが台頭する土壌は残されていると言える。ベネズエラのチャベス政権もポピュリズム政権に分類できる。

    (ヨーロッパ)
     1970年代以降,ラテンアメリカで下火となったポピュリズムは,舞台を変えてヨーロッパで台頭するようになった。理由は次のようなものが考えられる。①冷戦の終結にともないイデオロギー対立が消滅したため。革新政党のアイデンティティ喪失はもちろんのこと,保守政党も「反共の砦」としての地位を失い,それまで黙認されてきた腐敗が取りざたされるようになって,既存政党全般が大きなダメージを受けた(例:イタリア)。②組織・団体の弱体化。→このように既存の政党・団体が弱体化し,社会に対する把握力が大きく低下したことで,政党エリートや団体指導者がもはや「... 続きを読む

  • 著者の水島治郎氏は、オランダ政治史、ヨーロッパ政治史を専門とする政治学者。
    今年2016年は、英国でEU離脱を問う国民投票で離脱賛成票が過半数を占めたこと、米国大統領選挙で公職経験のないトランプが当選したことなど、世界の潮流のターニングポイントとなった年と言えようが、それらの背景には近年の先進各国におけるポピュリズムと呼ばれる政治運動の躍進がある。
    私はそうした世界の潮流の変化に懸念を抱くひとりであるが、一方で、BREXITもトランプの当選も、民主主義の根幹である多数決(米国大統領選挙の仕組みは少し違うが)の結果であることに違いはなく、所謂ポピュリズムと民主主義の違いは何なのか、疑問に感じてきた。
    著者は本書の目的を「この現代世界で最も顕著な政治現象であるポピュリズムを正面から取り上げ、解明を試みることである」と述べ、ポピュリズムを理論的に位置付けた上で、ヨーロッパやラテンアメリカの具体的な事例を分析しつつ、それを明確にしてくれている。
    本書の主張は概ね以下である。
    ◆ポピュリズムの定義には、大きく、①固定的な支持基盤を超え、幅広く国民に直接訴える政治スタイル、②人民の立場から既成政治やエリートを批判する政治運動、の2つがあるが、現代のポピュリズムの多くは②の性格が強い。
    ◆近代デモクラシーには、「立憲主義的解釈」と「ポピュリズム的解釈」の2つの解釈がある。前者は、法の支配、個人的自由の尊重、議会制などを通じた権力抑制を重視する立場で、「自由主義」的な解釈。後者は、人民の意思の実現を重視し、統治者と被治者の一致、直接民主主義の導入など、「民主主義」的要素を前面に出す立場。どちらをとるかでポピュリズムへの評価が変わるものの、ポピュリズムはデモクラシーを否定するものというより、むしろその一つの重要な側面、即ち、民衆の直接参加を通じたより良き政治を積極的に目指す試みと密接につながるものである。
    ◆現在のポピュリズムは、かつてのフランス等に見られた極右的、反民主的な姿勢を事実上払拭した上で、他の政党と同様、民主政治の通常の参加者として、既にその地位を確保している。そして、現代デモクラシーの依拠するリベラルな価値、デモクラシーの原理を積極的に受け入れつつ、リベラルの守り手として、男女平等や政教分離に基づきイスラムを批判し、また、デモクラシーの立場から、国民投票を通じ、移民排除やEU離脱を決するべきとのロジックを展開する。つまり、現代のポピュリズムは、デモクラシーの「内なる敵」として現れているのであり、その論理を批判するのは容易ではない。
    ◆更に、現代のポピュリズムには、既成政党に緊張感を与え、沈滞した既成政治に改革を促し、活性化させる効果も指摘されており、ポピュリズム政党と既成政党が対峙しつつ、争点を明確にして有権者の支持を競うのであれば、デモクラシーにとって一定の意味を持ち得る。
    21世紀のデモクラシーは、好むと好まざるとにかかわらず、この手ごわい「内なる敵」と正面から向き合い、いずれは乗り越えねばならないが、まずはその「内なる敵」を理解するために、大変有意義な一冊と言える。
    (2016年12月了)

  • イギリスのEU離脱、反イスラムなど排外主義の広がり、トランプ米大統領誕生……世界で猛威を振るうポピュリズム。「大衆迎合主義」とも訳され、民主主義の脅威と見られがちだ。だが、ラテンアメリカではエリート支配から人民を解放する原動力となり、ヨーロッパでは既成政党に改革を促す効果も指摘される。一方的に断罪すれば済むものではない。西欧から南北アメリカ、日本まで席巻する現状を分析し、その本質に迫る。

  • いま世界で起こっている排外的な動きの根っこに何があるのか、大変勉強になりました。そしてヨーロッパの奥深さを再認識させられました。

  • 「この厄介な珍客をどう遇すべきか。まさに今、デモクラシーの真価が問われているのである」

    結びの言が重苦しく心中を巡ります。ヨーロッパやラテンアメリカで台頭するポピュリズムについて詳述した本ですが、読みながらそれらの出来事を対岸の火事と眺めていた人はいないと思います。「日本にもこの波が迫り来ている」、その確信こそがこの本を手に取らせるのでしょう。

    極端に過激で差別的な主張であれば、一般大衆に大きく広がることはないでしょうし、真っ向から否定することも可能です。しかし、ポピュリズムの厄介な点として、著者も再三にわたって指摘するのですが、「『リベラル』な『デモクラシー』との親和性が高い」という点が挙げられます。すなわち、ポピュリズムは広く承認されているリベラルやデモクラシーといった体制の中で主張を展開し、排除の論理を正当化しようとするのです。

    「人民」ということばが秘めた危うさにも目が向けられています。「われわれ人民」と言った時、そこには「われわれ」ではない者を排除する排他的な思考が隠されています。「○○ファースト」と言えば、そこには「○○」ではない者への差別、偏見、排除へとつながる危険性が隠されています。ポピュリストのことばには敏感でいたいものです。

    分かりやすく、一見耳障りのよい主張に惑わされてはいけないと思います。そこに差別や排除の論理は隠れていないのか。そのことばに「責任」はあるのか。ポピュリストを伸長させるのが私たちの一票ならば、それを食い止めるのも私たちの一票なのだ。そのことを忘れずに政治を注視していきたいと思います。

  • 日本では、ポピュリズム=極右排外主義のイメージがあるが、実際はそんな単純なものではない。
    冷戦が終わり、左右間での対立がなくなった現在、そしてグローバル化・情報化が進行した結果、トランプの言ういわゆる「忘れられた人々」からの反動とみるべきなのだろう。
    ではグローバル化・情報化を抑えればよいのか?
    そんな単純なものではないだろう。ポピュリストはグローバル化に対して問題提起をしているが、解決方法は提示していない。
    目に鱗だったのは、なぜ欧州であれほど難民を嫌うのかということに対しての回答で、単に文化的・宗教的嫌悪感ではなく、難民が受ける便益もまた既得権益とみなしており、その既得権益から排除されている階層からの反発という面があるとのことであった。

  • 南米やヨーロッパ・アメリカで躍進著しいポピュリズムだが、一口にポピュリズムといっても、途上国と先進国ではその支持基盤や主張、政治活動の手法に大きな違いがあるとのこと。
    そして、先進国のポピュリズムは、民主主義の原点ともいえる国民投票や、リベラルの基本理念である「政教分離」「男女平等」等に依拠しており、簡単に否定し去ることはできない。
    本書を読んで、ポピュリズム=大衆迎合=悪政と簡単には決めつけられないことがよくわかった。ポピュリズムは今後世界をどう変えていくんだろう。

  • 「ー」

    エリートと人民の対比を軸とする政治運動。
    エリート以外は人民なのか。人民の中に階層はないのか。
    私には難しい本でした。

  • 20170610飛ばし読み。要再読。

  • この水島氏の文体(スタイル)がもっとポップなものであったら(優しく語りかけるような、柔らかいものであったら)、もっとバカ売れしているのではないだろうか。と思うくらい面白い。
    ただ文体が硬質で、生真面目であるため少々とっつきにきい感がある。しかし各国のポピュリズムの伸長を具体的に丁寧に書いてあるので、非常に分かりやすい。この本を読んで腑に落ちたことは多い。
    おもしろかったです。

  • 最近、報道番組で「ポピュリズム」という言葉を聞くが、政治に明るくない私にとっては謎の言葉だった。
    (「ポピュリズム」は「大衆迎合主義」や「人気取り政治」とも説明される、とのこと。)

    本書では南北アメリカ、ヨーロッパ諸国の事例をあげて、ポピュリズムの様々な有り様が解説されており、分かりやすかった。
    日本はポピュリズムとは関係ないと思い込んでいたが、「維新」の躍進はポピュリズムの波だったのかと、認識を新たにした。

    あとがきによると、
    ・本書の執筆作業は2年余りに及ぶ。
    ・イギリスのEU離脱を問う国民投票が行われ、トランプのアメリカ大統領当選が決まった2016年の締めくくりに刊行、
    とのこと。
    更に今年2017年は、フランス大統領選挙も控えており、世界の政治から目が離せない。

    このタイミングで本書に出会えてよかったと思う。

  • 20170420〜0506 英国のEU離脱、反イスラムなど排外主義の広がり、トランプ米大統領誕生…世界で猛威を振るうポピュリズム。大衆迎合主義とも訳され、民主主義の脅威とみなされがちだが、ラテンアメリカでは、エリート支配から人民を解放する原動力となりヨーロッパでは既成政党に改革を促す効果も指摘されている。
    では、我が国ではどうだろうか。維新の会を著者は例示しているが、ポピュリズムも自民は内方しようとしているように思える。文章は、読みやすかった。

  • ここ10数年、日本も含めて世界をにぎわせている「ポピュリズム」というものに焦点をあてて、わかりやすく解説してくれる1冊です。
    テレビや新聞などの報道をみていると、「ポピュリズム」=極右で、民族主義的・排外的なイメージが強いですが、本書を読むとその性格が大きく変わってきていることを強く感じます。
    ヨーロッパにおけるポピュリズム勢力の伸長に際して、「リベラル」と「デモクラシー」という西洋近代世界が最上位に掲げてきた価値観をうまく活用していることがひしひしと感じられます。
    日本における報道(国内外どちらについても)においても、「ポピュリズム」というパッケージでとらえるのではなく、それぞれ異なっている各現象を個別に丁寧に伝えてほしいなと感じられました。

  • 民主主義が内に抱えるポピュリズムについて、他国でのポピュリズム政党が国内で一定の支持を集めるの過程を丁寧に辿っていて、南米でのポピュリズムと西欧諸国でのポピュリズムの違いにも言及している。
    日本でも大阪維新について触れられているけれど、忘れられた中間層(サイレント・マジョリティ)の受け皿になっているかと言われると疑問符がつくが、全体として読みやすく、丁寧にまとめられた良書だと思う。

  • ポピュリズムなんて聞いたことなかったんだけど、こうして見てみると今はポピュリズムだらけなんだなあと納得。
    民主主義=言いたいことが言える、みたいなイメージがあるので、ポピュリズムvsデモクラシーみたいな風にはあんまり思えなかった。
    むしろ民主主義がなかったらポピュリズムも出てこれないよね?と思う。
    なので、前提みたいなのがピンとこなかったわけだけど、大変おもしろく読めました。
    前半のポピュリズムの歴史、みたいなのは頑張って読みましょう。
    やはりハイライトはEU離脱騒ぎの解説と思います。
    どうしてこんなことになったのか、不思議でしょうがなかったけど、これを読んで少し理解した気になりました。
    まさかトランプ騒ぎと根が同じだとは。
    昔何かの映画で見た、鬱屈とした白人肉体労働者達がパーッと思いだされた。
    こうしてみると離脱賛成派というのは、日本でいうところの団塊の世代ということに近いんだろうか。
    だとすると厄介だねーwとよその国のことながら同情する。

  • 今まさに知りたいことが簡潔にまとめてある。情報量も圧倒されるほどではないけれど、知識の幅が着実に広がる。久々に新書の力を感じる、分かりやすくて良い一冊だった。

    世界中でポピュリズム大旋風が巻き起こっている中、いわゆる「エリート」層がどう考えていくのかが非常に重要だと改めて思う。我々には我々の世界しか見えていない。彼らの視野と「取り残された者」たちのそれは交錯することはあるのだろうか。政治を語る上で不可欠な知識を得るとともに、これからの社会を担うために必要な姿勢とは何か、考えさせられた。

  • ポピュリズム≠右翼、左右というより上下の構造。最近では移民受入れと結びつくが、イスラムの思想が排外的故に多文化思想に反するという考えに基づく。

  • 「上」を批判する「下」からの運動であるポピュリズム,南米とヨーロッパを例に解説されています.

    冷戦終結によって対立軸がなくなって,連立政権が誕生したり,政党の支持層が流動化して,政党が政治エリートの集団という批判が出てくることが背景にあるということがわかりました.

    特にポピュリズムとメディアについて関心があったのですが,この本ではヨーロッパのポピュリズムではサイレント・マジョリティが相手だからインターネットやテレビが使われるという説明があります.

  • 【181冊目】2016年はまさにポピュリズムの年だったといって良いだろう。その代表が、代表的なデモクラシー国家と思われていた英国におけるEU離脱国民投票と米国におけるトランプ大統領の誕生だ。しかし、実はイタリアやフランス等の先進諸国、あるいはハンガリー等の東欧においてもポピュリズムが表出させたと思われるような現象が起こっている。フィリピンで犯罪者を超法規的措置によって殺害しつつも圧倒的な人気を誇るドゥテルテ大統領が誕生したことは、アジアとてポピュリズムから自由な地域だとは言えないことを示している。こうした政治情勢を目の前にして、この本に引かれない人がいるとしたら、それはニュースに触れていないか、あるいは政治や社会に興味が全くないかのどちらかだろう。

    著者は、オランダの政治研究者であるが、本書ではポピュリズムを横軸と縦軸の事例研究で見せてくれる。すなわち、初期のポピュリズムとしてアルゼンチンを、そして、ポピュリズムが政治経済的に安定していると思われていたヨーロッパ諸国においても勃興していく様を明らかにしてくれる。
    本書の興味深い点は、ラテンアメリカにおけるポピュリズムの発展と西欧諸国における発展は、その背景にある事情・論理が全く異なるということにまで言及していることである。すなわち、前者は社会経済的な格差を縮小させるため数々の福祉政策を御旗として掲げ大衆の支持を得ていくのに対し、後者は社会に根ざしたリベラルな価値観を守るためには移民・難民を排斥しなければならないと唱え、それらの排斥に二の足を踏む既存のエリート層を民意に鈍感な人々として対置するのである。

    事例研究を通して著者が明らかにするのは、ポピュリズムのポジティブな面である。すなわち、初期は極右の強力なリーダーによって率いられていたと思われたポピュリズム政党は、自らの生き残りと大衆からの支持を獲得するため、自らその主張や体質を変えていく力がある存在であるということである。さらに、最も重要な事は、ポピュリズム政党は、大衆の政治参加を促し、政治という場面を活発にする。のみならず、大衆からの支持を獲得していく様を見せつけることによって、既存政党に改革を促すという効果をも持っているのである。ただし、筆者は最後に、ポピュリズムが野外にとどまらず、与党や大統領になってしまった場合、それは本当に良いことなのかということについて簡単に疑問を呈す。

    筆者が正しく指摘するとおり、ポピュリズムとはデモクラシーに対置される概念ではなく、むしろ内在するものであろう。2016年の米国大統領選挙を見ていると、対置を唱えたくなる気持ちも分かるが、それは各州の代表人総取り制という米国の独特なシステムの帰結であって、対置することを正当化しない。むしろ、いにしえの人々が指摘したように、大衆による政治は衆愚政治に陥る危機を常にはらんでいるのである。三権分立において司法が独立しているのは、そうした場合におけるセーフティーネットの側面があるとぼくは前々から考えてきたし、また、英国が議院内閣制を採用しているのは、民意をすくいあげるシステムを担保すると同時に、国を率いる行政府の長を衆愚政治の醜い産物にしないためのものだと考えてきた。
    人々の不満を放置しておくことは絶対に良くないし、そうした不満は革命やテロといった形で噴出してきたことは歴史が教えるとおりである。しかし、国を率いる人間に求められるのは、場当たり的に人々のガス抜きをすることだけでなく、崇高な理念の実現と将来を見据え国を良い方向に導くことである。実は大衆もそれを望んでいるのであって、そういう意味で政治家とは、医師と共通する性質を持つ職業なのだろうと思う。すなわち、個別具体の要求の実現というよりも、むしろ、「良い結果をもたらしてください」という曖昧な希望を叶え... 続きを読む

  • 世界同時多発のポピュリズム。民主主義と相反するものではなく、「デモクラシーに内在する矛盾を端的に示すもの」「デモクラシーの原理を突きつめれば突きつめるほど、それは結果としてポピュリズムを正当化することになる」やはり民主主義は道半ばなのだ...ヨーロッパがやけに詳しいわりに韓国が入ってないのが?著者の専門はヨーロッパらしい。私としては韓国こそポピュリズムが行きすぎてパンギムンが大統領選辞退するような明らかに政治が後退するような状態になっているのだが。今、書くなら入れてほしかった。選挙制度に応じていかにのしあがり、イスラム憎悪に便乗していかに大衆の心をつかむ。読んでいるうちに疑問がわく…背景にあるのは多様性なのか。総中流社会でなくなったことで、互いに憎しみの心がわくのか。私たちはまだまだ未熟者だと気づかされる。

  • 元大阪都知事の橋下氏を含めて、ポピュリズムが席巻した。トランプ氏を含めて今後も流れは止まらないと思われます。

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