入門! 進化生物学 - ダーウィンからDNAが拓く新世界へ (中公新書 2414)
- 中央公論新社 (2016年12月19日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (271ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121024145
感想・レビュー・書評
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ダーウィンが提唱する進化学から現在までの発展内容までがまとまる.利己的個体の必要性など,直感とは異なるアルゴリズムを辿ってきたり,語られる生物の行く末が提示されたり,思いの外軽く読める.内容的には軽くないが.
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構成が分かりやすくて、読みやすい本だった。進化について様々な角度から書かれていたけど、特に自然選択による進化以外の進化の方法について書かれていた部分が面白かった。例えば、異なる種のDNAが侵入する水平伝播とか。スパイダーマンとかテラフォーマーズみたいでかっこいいなって。
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「入門」と呼ぶにふさわしく、とても分かりやすい。網羅的にまとまっているが、特に目新しい知識はなかった。分子遺伝学は基本的なことがよくまとまって記載されている。
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進化についてはいろいろと読んできているものの、新書であらためて読み直すというのも面白いかな、という軽い気持ちで読み始めましたが、このサイズに程よくまとめていただけて学び直しとしても十分な内容でした。
中立進化について触れらているところが特に面白いところではあるし、利他的と利己的という対比についても面白いところでもある。ただ中立進化のところはもう少し理解しやすくてもよかったかなとは思う。アリの社会性という面についての進化ももう少し掘り下げてもらいたいところ(ウィルソンの名前が出てきたので期待してしまった)。
新書なので保管場所も取らないので、後からまた調べ直しできるように本棚に保管します。 -
ものすごい量の生物エピソード。興味を引くように飽きさせないように、次から次へと繰り出される。
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【書誌情報+紹介】
初版刊行日:2016/12/20
判型:新書判
ページ数:288ページ
定価:本体880円(税別)
ISBN:978-4-12-102414-5
生物はなぜこんなに多様なかたちをしているのか? 餌の種類に応じてくちばしの形を変えた鳥、雄が交尾後の雌に貞操帯でフタをするトンボなど、多様な姿や驚きの行動が、どのようにして生起したのかを解説。さらに中立進化説、分子遺伝学や行動生物学といった最新の知見を紹介し、「挑戦する雄」が新たな種を生み出すとの新説や、過剰な適応は絶滅への道であることを提唱する。知的興奮に満ちた生き物好き必読の書。
<http://www.chuko.co.jp/shinsho/2016/12/102414.html>
【目次】
はじめに [i-ii]
目次 [iii-ix]
地球の地質学的歴史 [x]
第1章 多種多様な地球生物 001
1 地球生物の顔ぶれ 002
3つのドメイン 原核生物 真核生物のメンバー
2 動物界のメンバー 006
繁栄を誇る動物 虫の惑星 進化学と動物
3 目的を知り尽くしている動物 011
姿形に工夫を凝らす動物 生きる仕組みの工夫
4 計算された行動 017
ウミベガラスの計算 ヤドリコバチの知恵
【第1章のまとめ】 023
第2章 自然淘汰による生物の進化 025
1 先駆者たちの考え 026
幸運の手紙 新しい考えの芽生え 人為選択と自然淘汰 二人の偉人
2 ダーウィンの進化説 029
3 自然淘汰による生物進化 037
進化説の骨格 競争を引き起こす多産性 適応度と進化
4 人間中心主義が生む進化についての誤解 045
人間が一番進化している? 進化と進歩の混同
5 不正確な理解に基づく誤解 048
チンパンジーはいつか人間に進化する? 退化は進化の逆行現象?
【第2章のまとめ】 051
第3章 進化説の検証 053
1 化石が明らかにする進化的ルーツ 054
2 よみがえる化石動物 056
空白を埋める化石 日の目を見た絶滅動物 地質年代の区分
3 遺伝的変異の検証 065
遺伝的多様性 遺伝子のシャッフル 突然変異
4 自然淘汰の検証 072
人為淘汰 自然淘汰の行為者
【第3章のまとめ】 079
第4章 進化説の発展 081
1 類似器官と進化 082
相同器官と系統 相同器官のもうひとつの示唆 相似
2 自然淘汰に対する集団の反応 086
3つのタイプの淘汰 少数者有利の淘汰
3 新種の形成 093
生殖隔離と種分化 生態的地位と進化 適応放散
4 進化の判定基準――ハーディ・ワインベルクの法則 102
【第4章のまとめ】 107
第5章 生殖と進化 109
1 自然淘汰で説明できない形質 110
2 雄と雌の繁殖戦略 112
重大な配偶子の違い 求める雄と選ぶ雌
3 雄の繁殖形質の進化 117
雌を求める雄の戦い 受精競争 雄の配偶者ガード
4 雌の繁殖形質の進化 124
雌も場合によって闘争する 息子と娘の産み分け競争
5 雄と雌の相互作用 129
雌による雄選択 雄による雌選択
6 配偶システムの進化 134
単婚と複婚 一妻多夫
【第5章のまとめ】 137
第6章 利他性の進化 139
1 動物の行動規範 140
利他的動物観 利己的動物観
2 協力の進化 142
進化的に安定な利己的性質 持続できない利他的社会 互恵的利他行動
3 血縁淘汰と利他的奉仕の進化 151
自己複製のバイパス 包括適応度
4 ハチ目昆虫のワーカーの進化 157
ハチ目昆虫の高い血縁度 縁者びいき
【第6章のまとめ】 163
第7章 利他性の進化 165
1 遺伝子の実体と働き 166
遺伝因子の追跡 DNAの化学構造 遺伝暗号 遺伝子の形質発現
2 突然変異の分子遺伝学的仕組み 176
ゲノム――生物の設計図の解読 塩基配列の攪乱
3 塩基配列の比較 179
系統の推定 分岐年代の推定
4 形態形成に見る進化 187
個体発生と系統発生 形態形成で発現する遺伝子――ホメオティック遺伝子 いろいろな動物のホメオティック遺伝子
5 分子進化学に起こった革命 194
遺伝的浮動とピン首効果 自然淘汰をすり抜ける突然変異――中立遺伝子 中立説をめぐる論争 支持された中立進化 表現型の中立進化の可能性 意味深な最後の一文
【第7章のまとめ】 209
第8章 進化のもうひとつの肖像 211
1 進化を止めたボディプラン 212
維持される基本体制と変化する体部位 発生過程に見られる進化の停止 脊椎動物の奇妙な網膜 遺伝暗号
2 多様性の源泉 220
可変的な非ボディプラン部位 自動車の車台と車体
3 遺伝子の個体間交流 224
形質導入と形質転換 細胞内共生 共生微生物から細胞器官へ? クマムシの意味すること
4 動物の種間交雑 232
広範な動物種に見られる雑種 雑種からの種形成
5 挑戦する雄 237
雄の暴走 新地開拓を狙う雄 革新的な生殖の道
6 地球生命の宿命 244
大絶滅の原因 続く地球の脈動 見事な適応に潜む危険
【第8章のまとめ】 254
あとがきにかえて [257-263]
注 [264-271] -
生物はなぜこんなに多様なかたちをしているのか? 餌の種類に応じてくちばしの形を変えた鳥、雄が交尾後の雌に貞操帯でフタをするトンボなど、多様な姿や驚きの行動が、どのようにして生起したのかを解説。さらに中立進化説、分子遺伝学や行動生物学といった最新の知見を紹介し、「挑戦する雄」が新たな種を生み出すとの新説や、過剰な適応は絶滅への道であることを提唱する。知的興奮に満ちた生き物好き必読の書。