トルコ現代史 - オスマン帝国崩壊からエルドアンの時代まで (中公新書 2415)
- 中央公論新社 (2017年1月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121024152
作品紹介・あらすじ
1923年に建国したトルコ共和国。革命を主導し、建国の父となったムスタファ・ケマルは、共和主義・民族主義・人民主義・国家資本主義・世俗主義・革命主義という6原則を掲げ国家運営の舵を取った。それから約1世紀、数度のクーデタ、オザル首相の政治改革を経たトルコでは、エルドアンが政敵を排除しながら躍進を続けている。ケマルが掲げた6原則を通して、トルコの百年の足跡を振り返る。
感想・レビュー・書評
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非常に読みやすく、ドラマチックで面白い。しかし内容は大変充実している。個人的な見解だが、本書はまさに新書らしい新書といえ、中公の歴史本では傑作の1つではないか?とさえ感じた。
著者が若くて驚いたが、若さゆえ?の謙虚な(読者のことを考えた)姿勢で書かれたのだと思う。
私が「黒海の国際関係」という本を読むにあたり、ほぼ無知だったトルコについて、政治史の概略を知ることができた。
元来は(エルドアン前までは)エリート層や軍の主流が世俗主義者であったということが興味深かった。軍というと、私は勝手に保守的・伝統主義的なイメージを持っていた。だが、この国の保守主義とはケマルによる共和国建国の理念を堅持することのようだ。(最近では新オスマン主義というような、建国以前の過去に回帰する保守主義もあるようだが。)また、軍が、クーデター後には国難への対処を図り、権力を再度立法・行政に返還する…という行動法則も独特だと感じた。
最近のタイ・ミャンマー情勢ではないが、軍部クーデターやその動機についても知りたくなった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/689620 -
建国から2016年までのトルコ共和国の歴史をふりかえる本。約300ページと新書にしては少し厚めではあるが、これを読み込めばトルコ国内の状況と対外政策の経緯の概略を掴むことができる好著。入門書に最適だと思う。
今年でトルコは建国百周年を迎えるそう。本書執筆時からの変化としては内政ではISの弱体化と震災、外交ではウクライナ戦争であろう。NATOの加盟国であるトルコはウクライナ戦争以降も欧米と歩調を合わさず、ロシアと関係を保っている。その背景には昔からの現実主義的な政策運用があるようだ。
また特筆すべきは政軍関係だろう。共和国史の中で何度も軍部によるクーデターが起き、政権が崩れたこともあった。ここからわかるように、トルコ政治では軍のシビリアンコントロールがきいていなかったようだ。ただ、2016年にもクーデターが起きた経験から、政府優位にするための改革がなされた。
本書の理解をさらに進めるためにはトルコの統治構造を知るべきだと思う。トルコ国内の人種問題や対外関係についてはさらに勉強したい。 -
227-I
閲覧新書 -
トルコは来年、建国100周年を迎えるんですね。
私が面白く読んだのは、エルトゥールル号事件について。せっかく明治の日本人がトルコの方々を助けてくれたおかげで、トルコは親日家の方が多いです。いつまでもこのいい関係を築いていきたいですね。
もっとトルコのことを知りたいです。 -
【行進の足跡】文化や歴史については日本人の間でも何となく知られているトルコ。同国がくぐり抜けてきた波乱の現代史を振り返りながら,今日に到るまでの政治・経済・外交の歩みについて記した作品です。著者は,トルコへの長年にわたる留学経験も有する今井宏平。
著者があとがきで述べているとおり,トルコの現代史に関する手頃な作品というのがあまりなかったため,新書という手軽な形でこのような本が世に出たことそのものが嬉しい限り。代表的な人物の写真等も掲載され,トルコについて勉強したいという方に,取りあえずオススメできる一冊でした。
〜トルコ共和国のあゆみは,新たな国家建設の指針であった六本の矢との対話であった。〜
久しぶりにイスタンブールへ行きたい☆5つ -
重厚で読み応えのあるトルコの現代史だった。三度にわたる共和制の成り立ちを丁寧に紐解いていて勉強になる。その中でも第三共和制から現在に至るまでが本書の主眼となっていて、文字通りのトルコ現代史を知ることができた。ところどころに挟まれたコラムも面白い。
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あまり馴染みの無いトルコについて建国から現在までわかりやすくまとめた一冊。政治と軍部の関係、世俗主義、そしてクルド問題などこれ一冊で概略がつかめる。何より著者が若いことにより驚愕した。
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1923年に建国したトルコ共和国。革命を主導し、建国の父となったムスタファ・ケマルは、共和主義・民族主義・人民主義・国家資本主義・世俗主義・革命主義という6原則を掲げ国家運営の舵を取った。それから約1世紀、数度のクーデタ、オザル首相の政治改革を経たトルコでは、エルドアンが政敵を排除しながら躍進を続けている。ケマルが掲げた6原則を通して、トルコの百年の足跡を振り返る。