沖縄問題―リアリズムの視点から (中公新書)

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著者 : 高良倉吉
制作 : 高良 倉吉 
  • 中央公論新社 (2017年1月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121024183

沖縄問題―リアリズムの視点から (中公新書)の感想・レビュー・書評

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  • 筆者が複数人いるので書き方にばらつきがある。後半部は行政マンの仕事ぶりに触れられるがそこに関心が持てなければ少し退屈。同シリーズの『沖縄現代史』と同じようにデータを重んじ,煽情的な書き方にはなっていないのはよい。『沖縄現代史』と比べると,より一般向けで,琉球処分以前の歴史や行政マンの仕事に触れられているのは長所だが,やや散漫で驚きやパワーは少ない。

    (面白かったところ)
    ・サンゴ礁を起源とする世界がんの島は人骨にとって天然の冷蔵庫のような役割を果たした。
    ・首里城には「船楫を以て万国の津梁と為す」という文章が掲げられている。
    ・古琉球の時代に奄美諸島や八重島諸島を含めた政治・行政的な組織化が進んだ。現在も沖縄本島とは一定の心理的距離がある。
    ・島で使われた「琉球語」は古い日本語から分離し発展したものだった。漢文を王国の公用語として用いつつ,琉球語を表記するツールとしてひらがなも使用された。
    ・慶賀使・謝恩使のときには将軍の前で琉球の音楽・芸能を演じるなどソフトパワー戦略を用いた。
    ・琉球処分のころ,薩摩藩の圧力はあったにせよ王国は朝鮮王朝などと同種の国王を頂点とする秩序が形成されており民衆は重い負担にあえいでいた。中継貿易も王室の独占事業であり,民間が参入できたのは処分以後のことである。とはいえ,琉球処分は対中ネットワークの切断を招き,沖縄の経済的地位に一定のダメージを与えた。
    ・琉球王国時代には台湾との公式の交流はなかった。
    ・近代沖縄の前期段階では本土との格差は大きくなかったが,日本経済の伸長につれてその恩恵を受けることが少なかった沖縄県はしだいに低落し,日本が戦争の時代に突入したころには所得水準が全国平均の四割に満たなかった。
    ・戦後早い時期の日本では輸出産業育成のための単一為替相場(1ドル=360円)が設定されていたのに対し,沖縄では1ドル=120B円という輸入促進的な為替相場が設定されたため,基地依存輸入型の経済構造を形成する要因となった。この構造は現在まで尾をひいており,たとえば輸入製造業のための経済政策は観光業などが中心である沖縄の産業構造ではあまり意味をもたない。
    ・アメリカ支配時代には日本本土に遅れながらも高度経済成長に突入したが,実態は日米政府の支援金と基地収入が成長を支えていた。
    ・復帰以前は失業率1%未満であったが,復帰以後にはオイルショックや基地従業員の大量解雇,本土企業との競争激化により高失業率問題が発生した。現在にいたるまで沖縄は県民所得再開,学力最下位,ニート率全国1などの諸課題を抱えている。
    ・普天間基地の辺野古移設が反対される理由のひとつに,「そもそも基地の移転は基地の縮小とは異なり,沖縄米軍基地の恒久的設置につながる」という意識がある。

  • 312.199||Ta

  • 米軍海兵隊の普天間飛行場の移設をめぐる国と沖縄県の対立は根深い。保守と革新の単純化した構図でとらえられることの多い沖縄問題をどう考えればよいのか。本書では琉球処分、沖縄戦から米国統治、そして日本復帰という近代以降の歴史を踏まえ、特に沖縄県の行政に注目し、経済振興と米軍基地問題という二大課題への取り組みを追う。理想と現実のはざまで苦闘しつつも、リアリズムに徹する沖縄の論理を示す。

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沖縄問題―リアリズムの視点から (中公新書)の作品紹介

米軍海兵隊の普天間飛行場の移設をめぐる国と沖縄県の対立は根深い。保守と革新の単純化した構図でとらえられることの多い沖縄問題をどう考えればよいのか。本書では琉球処分、沖縄戦から米国統治、そして日本復帰という近代以降の歴史を踏まえ、特に沖縄県の行政に注目し、経済振興と米軍基地問題という二大課題への取り組みを追う。理想と現実のはざまで苦闘しつつも、リアリズムに徹する沖縄の論理を示す。

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