- Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121024206
作品紹介・あらすじ
かつて「アジアの病人」と呼ばれたフィリピン。近年、サービス業主導で急成長し、経済規模は10年強で3倍となった。人口は1億人を突破し、国民の平均年齢は25歳。「アジアの希望の星」との声さえ聞かれる。一方、貧富の格差はなお深刻で、インフラも不十分。ドゥテルテ大統領の暴言や強権的手法は世界から危惧されている。経済成長著しい島国の魅力と課題に、IMFでフィリピン担当を務めたエコノミストが迫る。
感想・レビュー・書評
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本書は主に現代のフィリピンについて、経済を中心に政治、歴史を多面的に分析したものである。フィリピンは2050年まで人口ボーナスが持続すると推定されており、またBPO産業を成長産業として今後の経済成長が大いに期待されている。ただし、今後さらに大きな成長を実現するためには製造業の育成は急務であるが、現状ではエレクトロニクス産業以外では他のASEAN諸国に対して遅れているのが実情である。特に、雇用創出力の高い自動車産業を育成できれば、製造業による経済の牽引も期待できる。
政治面ではエドサ革命以後、安定した政治を実現しており、特にノイノイ・アキノ政権以後は治安の改善等が図られ、持続的な経済成長の基盤が作られてきていると言える。ここで、日比関係に話を移すと、日本はフィリピンにとって主要貿易相手国の一つであり、また多額のODAを拠出してきた経緯がある等、その結びつきは強く、戦中日本軍の進駐で多数の犠牲者を生んだにも関わらず、両国間の関係は良好と言える。我々はそのことに甘んじず、日比関係を友好に保ち、台頭する中国に連携して備えていく必要があるだろう。
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https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/689617 -
研究に必要で読んでいますが、フィリピンのことを知るのにとても役立っています。難しすぎず易しすぎず、繰り返し読んで理解していこうと思える本です。
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フィリピン投資亜案件のため、購読。
フィリピンの強みである英語とBPO(Business Process Outsourcing)産業、そして人口1億人と平均年齢25歳という若い国。
もちろん、問題も山積み。①失業率②貧困と格差③インフラ④製造業の低迷。⑤埋め込型民主主義
しかし、日本との関係は良好であり、戦後の日本の対応が良かった。
東南アジアへの投資も視野にしていこうか悩む。 -
こちらは主として現在のフィリピンをまとめた本。
新聞等で既知の情報も多く、あまり新鮮味はなかった。 -
フィリピンという国について知りたいと思って手に取ったが、内容がアカデミックすぎたからか自分の関心には合わず最後まで読まなかった。
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フィリピン留学に行くなら、この程度の知識は必要かと思います。
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ドゥアルテ大統領で悪目立ちをしてしまった感はあるものの
しかし、どのような道行を経てそこに来たか知らない人は多いだろう。
この本はASEANの中での差異も取り上げながら、
簡潔にスペイン植民地時代から歴史も抑えてあり、
概要をとらえるのにとてもよくまとめられた本だ。
名目GDPは3000億ドル弱でASEANでもトップ集団ではないが
人口は1億を超えて2番手、さらに平均年齢25才という人口動態の特徴がある。
働き盛りがこれからバンバン増えていくという爆発力を秘めているわけだ。
今、日本とフィリピンの関係は悪くはないと思われるが
第二次世界大戦時には激戦のあった場所も多くあって、
日本への感情は穏やかでない時期もあった。
(以前読んだマッカーサーの回顧録でも
互いに大きな被害が出た戦いであったことがよくわかる。)
それがどのようにして、今フラットなところまでこれたか
改めて見ておくことは価値のあることかとも思う。 -
これまでの途上国の成長パターンとは異なるフィリピンの発展が本物となるか、ここ数年が勝負。