貧困と地域 - あいりん地区から見る高齢化と孤立死 (中公新書)

  • 84人登録
  • 3.50評価
    • (2)
    • (1)
    • (4)
    • (1)
    • (0)
  • 5レビュー
著者 : 白波瀬達也
  • 中央公論新社 (2017年2月19日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121024220

貧困と地域 - あいりん地区から見る高齢化と孤立死 (中公新書)の感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 『貧困と地域――あいりん地区から見る高齢化と孤立死』
    著者:白波瀬達也(1979-)

    【書誌情報】
    初版刊行日 2017/2/20
    判型 新書判
    ページ数 240ページ
    定価 本体800円(税別)
    ISBNコード 978-4-12-102422-0

     「日雇労働者の町」と呼ばれ、高度経済成長期に頻発した暴動で注目を集めた大阪のあいりん地区(釜ヶ崎)。現在は高齢化が進むなか「福祉の町」として知られる。
     劣悪な住環境・生活保護受給者の増加・社会的孤立の広がり・身寄りのない最期など、このエリアが直面している課題は全国の地域社会にとっても他人事ではない。本書は、貧困の地域集中とその対策を追った著者による現代のコミュニティ論である。
    http://www.chuko.co.jp/shinsho/2017/02/102422.html


    【メモ】
    ・調査の背景が説明されてます。
     Web中公新書 『貧困と地域』/白波瀬達也インタビュー
    http://www.chuko.co.jp/shinsho/portal/102043.html


    【目次】
    まえがき [i-v]
    目次 [vi-xi]
    地図 [xii-xiii]

    序章 暴動までの歴史的背景 001
    1 「ドン底」の町 002
      戦前の釜ヶ崎
      戦後から高度経済成長期にかけて
      急激に膨らんだ人口
      不安定な職業と住まい
      学校に行かない/行けない子どもち
      暴力団の跋扈と犯罪の多発
    2 相次ぐ暴動と余波 015
      暴動の発生
      釜ヶ崎対策の展開
      大阪市の民生対策
      大阪府の労働対策
      
    第1章 日雇労働者の町として 021
    1 スラムからドヤ街への段階的移行 023
      発展から取り残された地
      歌われた釜ヶ崎
    2 あいりん地区指定による変化 028
      繰り返された暴動
      あいりん対策のはじまり
      もう一つのあいりん対策
      あいりん地区の住民意識
    3 寄せ場を拠点化した新左翼運動とキリスト教の取り組み 036
      革命の拠点?
      労働運動の高まりと公園の封鎖
      キリスト教の活動
      釜ヶ崎キリスト教協友会の結成
    4 建設業に一元化される日雇労働 046
      重層的な下請け構造
      一九八〇年代の好況
      出稼ぎ外国人の増加
    5 一七年ぶりの暴動とバブル崩壊 051
      不正への怒り
      バブル崩壊の衝撃
      機能不全に陥った失業保険
      日雇労働者の高齢化問題
      バブル崩壊後の暴動

    第2章 ホームレス問題とセーフティネット 065
    1 寄せ場機能の衰退とホームレス問題 067
      野宿者を生み出す背景
      生活保護の適用と野宿者の減少
      再び定住空間となったあいりん地区
    2 あいりん地区におけるセーフティネットの多層性 077
      四つの取り組み
      あいりん対策によるセーフティネット
      キリスト教系団体によるセーフティネット
      社会運動団体によるセーフティネット
      生活保護によるセーフティネット

    第3章 生活困窮者の住まいと支援のあり方 091
    1 居住支援のかたち 093
      ホームレス支援のステージ
      住まいから排除されやすい野宿者
      無料低額宿泊所の位置づけ
      住まいをめぐる利害の一致
      居住支援の展開
    2 サポーティブハウスの取り組み 104
      その仕組み
      入居経路と入居期間
      入居者の属性
    3 サポーティブハウスの成果と課題 112
      社会的孤立への対応
      直面する課題
    4 住宅扶助の引き下げがもたらす弊害 119
      大幅に減額された家賃
      住宅扶助引き下げのねらい
      あいりん地区に与える影響
      生活困窮者の住まいをめぐる構造的問題

    第4章 社会的孤立と死をめぐって 127
    1 社会的孤立を生み出す背景 128
      大都市の一人暮らし高齢者
      互いの過去に踏み込まない
      日常化する孤立死
    2 社会的孤立の帰結としての孤立死 138
      頻発する異状死
      西成区における社会的孤立・孤立死対策
      あいりん地区における社会的孤立・孤立死対策
      求められる新たな地縁の創造
    3 無縁仏に対する集合的弔い 146
      公的機関による集合的弔い
      社会運動団体による集合的弔い
    4 あいりん地区における個別的弔い 156
      カトリック系施設「ふるさとの家」の取り組み
      僧侶たちの取り組み
      死が紡ぐ新たな地縁

    第5章 再開発と向き合うあいりん地区 163
    1 西成特区構想とは何か 165
      橋下市長の登場
      釜ヶ崎のまち再生フォーラム
      (仮称)萩之茶屋まちづくり拡大会議
      まちづくりと西成特区構想の邂逅
    2 何が議論され、どう決まったか 172
      税収と歳出のアンバランス
      老朽化した「あいりん総合センター」の行方
      公開会議での激しい攻防
      示された方向性  
    3 岐路に立つあいりん地区の多層的セーフティネット 180
      変化しはじめた町
      山積する課題
      トータルケアは可能か
      社会資源の統合困難
      手厚いケアの表裏をなす「強い管理」
      再開発と手厚いケアの両立困難
      地元住民とは誰か

    終章 地域の経験を活かすために 199
      この地域が刻んだ歴史
      貧困と対峙する地域社会 
      あいりん地区の行方

    あとがき(二〇一六年一二月 白波瀬達也) [207-211]
    関連年表 [212-216]
    主要参考文献 [217-222]



    【抜き書き】
    ◆172頁
    橋下が西成特区構想を立ち上げたとき、まちづくりの担い手たちは、それと距離をとるべきか、それとも今までの蓄積を施策に反映させるために積極的に関与すべきか葛藤があった(ありむら・寺川二〇一四)。
     しかし、かねてから釜ヶ崎のまち再生フォーラムと深いつながりがあった経済学者の鈴木亘が西成特区構想の有識者座談会の座長となることで、草の根のまちづくりと大阪市のプロジェクトが邂逅することになった。大阪市特別顧問として市政に強い影響を及ぼすことができる立場でありながら、同時にあいりん地区のまちづくりの経緯や担い手を熟知していた鈴木が両者の媒介者となることで、西成特区構想は大きく前進したのだ。


    ◆197頁
     西成特区構想は、衰退著しいあいりん地区に大きな変化をもたらす起爆剤となった。〔……〕西成特区構想は、もはや後戻りできない段階まで進んでいるが、あいりん地区に暮らす「サイレント・マジョリティ」が被るリスクについて一層敏感である必用があると筆者は考えている。

  • あいりん地区の歴史的変遷が丁寧に説明されていた。特に,日雇労働者の街から単身高齢の生活受給者の街への変化が印象的。
    さまざまな団体の支援がセーフティネットになっているが,逆にさまざまな団体が支援をおこなってきたがゆえに連携がとりにくくしているということも学べた。
    「西成特区構想」のくだりでは,トップダウンだけでなくボトムアップもあったことが述べられていた。街づくりは誰にとっての街づくりなのか,というのを考えさせられた。

  • 368.2||Sh

  • 「日雇労働者の町」と呼ばれ、高度経済成長期に頻発した暴動で注目を集めた大阪のあいりん地区(釜ヶ崎)。現在は高齢化が進むなか、「福祉の町」として知られる。劣悪な住環境、生活保護受給者の増加、社会的孤立の広がり、身寄りのない最期など、このエリアが直面している課題は、全国の地域社会にとっても他人事ではない。本書は、貧困の地域集中とその対策を追った著者による現代のコミュニティ論である。

全5件中 1 - 5件を表示

白波瀬達也の作品

貧困と地域 - あいりん地区から見る高齢化と孤立死 (中公新書)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

ツイートする