プロテスタンティズム - 宗教改革から現代政治まで (中公新書)

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著者 : 深井智朗
  • 中央公論新社 (2017年3月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121024237

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プロテスタンティズム - 宗教改革から現代政治まで (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • 神聖ローマ帝国のリフォームという側面があったルターの宗教改革運動は、信仰の根拠を聖書に置いたがゆえキリスト教の権威を揺るがし、いつしか宗派を超えてナショナリズム、リベラリズム、保守主義などの政治思想にも影響を与えた。宗教改革へ至る歴史を踏まえ、現代にまで与える影響とプロテスタンティズムの今日的意義(異なる価値感や宗派がどのように共存できるかという方法を示してくれる)を門外漢に理解しやすいように解説した良書。いろいろ勉強になった。

  • 宗教改革の立役者と言われるルターだけど、本人は当初、そんなつもりで95ヶ条の提言を発表した訳ではないらしい。印刷技術の普及で思いがけないスピードで広まってしまったという経緯は、今で言うところのブログやツイッターみたいなものかと想像すると面白かった。
    その後のプロテスタントと社会、政治との関わり、現代における考え方の相違など若干駆け足で解説されている。自分としては近代〜現代におけるプロテスタントのそれぞれの派閥やカトリックとの関わりなどを、もう少し掘り下げて知りたかったかな。

  • ルターの宗教改革の位置づけから、現代のプロテスタントの流れまでを詳細に記載している。
    ルターの宗教改革が新しい宗派設立を目的としたものではなく、あくまでも当時のカトリックが行っていた贖宥状などの腐敗した行いを正すための改革であり、今ではルター派は保守派としての位置づけであること、そして現在のプロテスタントの主流は聖書が全てであり、その正しさは個人が判断するものであるという解釈から成り立っているということであった。またカトリックは国が認めた国教であることから、教会も教区に一つが設立されて公立として運営されている(まさに日本の小学校のようなもの)であるのに対して、プロテスタントは自らが同じ新派を集めて自費で運営しており、そのことを彼らは誇りに思っているのであった。そして彼らはそれを実現するためにイングランドからアメリカに多くのプロテスタントが渡り、現在もその主流を担っているという真実には驚かされた。

  • タイトルとは違い非常に読み易く書かれている。ルターの宗教改革から今日までのプロテスタントの思想や分類等がわかり易い。

    今迄は一括りにプロテスタントと理解していたがこんなにも多様とは。。キリスト教を理解するのにも役立つ一冊。

  • 某所読書会の課題図書.1517.10.31にルターが贖宥状に対する疑問を投げかけた行為が宗教改革の始めとされるが,多分に脚色された部分もある由.しかしこれによってプロテスタントが派生したことを事実であるが,本書では保守主義としての,あるいはリベラリズムとしての プロテスタンティズムを詳述している.面白かった.本場ドイツの保守的な流れは全く知らなかったが,日本は例によってアメリカ的なプロテスタントとドイツ流のそれをうまくミックスしている感じだ.

  •  中世ヨーロッパの人々にとって大きな問題は死であった。食物が絶えず不足し、医療はほとんど成立せぬため、生まれてきた子どもが成長して大人になる確率は低く、平均寿命も短い。キリスト教を伝えにきた修道士に「隣人を愛するとは、隣人を食べないことだ」と教えられ、最終的にはペストの脅威にさらされた中世ヨーロッパの人々にとって、死は圧倒的な力であらわれ、戦う前から負けを宣告されてしまうような相手であった。予測できず、突然、逃れがたくさんやってくる死は、人々の生活の豊かさや充実などよりも、はるかに切迫した問題であった。(p.7)

     この提題が「広く読まれていることは、私が望んだことではありません。また私はそのようなことを意図したことはなかったのです。私はただこの町の人々とまたせいぜい近くの学者たちと議論し、その意見によってこれ(つまり提題)を取り下げるか、あるいはみなに認めてもらうかを判断しようと考えたのです。ところがこれが何度も印刷され、翻訳もされているのです。ですから私はこれを公にしたことを今後悔しています。」(ルター。pp.49-50)

     ルターは、神が人間を救うという行為を人間はただ受け取るのであり、神がなすことを信頼するのが信仰だと考えたのである。それゆえ救われるためには人間の側の努力ではなく、「信仰のみ」が必要となるのだ。
     この「聖書の身」「全信徒の祭司性」、そして「信仰のみ(信仰義認)」を宗教改革三大原理と呼ぶことがある。(p.63)

     新プロテスタンティズムの牧師たちの語ることが、強制され、行かねばならない教会の説教よりも宗教的に見て益が多いと感じればこの独占市場に変化が起こる。新プロテスタンティズムの教会と聖職者たちは、いわば自力でこの独占状態を破壊していく。勝負はサービスであった。(礼拝は英語で「サービス」という)
     また彼らは政治的な圧力に対しては、中世後期から発展したさまざまな政治的意識であるデモクラシー、人権、抵抗権などを受け入れ、それを味方につけ、その担い手となり、それだけではなく、このような政治的価値を使って既存の教会や政府と戦いはじめた。彼らがそれらの書価値を生み出したとは言えない。しかし、彼らはそれらの政治的思想の担い手であった。(pp.116-117)

     プロテスタントとは、カトリシズムとの戦いを続け、その独自性を排他的に主張してきた宗派であるだけではなく、複数化した宗派の中で、共存の可能性を絶えず考え続けてきた宗派であり、むしろ後者が私たちの今後の生き方だと主張するようになった。このような仕方で戦後もドイツのプロテスタンティズムは国家と歩みを共にした。(p.158)

    ヴァイツゼッカー
     若い人たちにお願いしたい。他の人びとに対する敵意や憎悪に駆り立てられることのないようにしていただきたい。ロシア人やアメリカ人、ユダヤ人やトルコ人、オルタナティヴな考えを持つ人や保守主義者、黒人や白人、これらの人たちに対する敵意や憎悪に駆り立てられることのないようにしていただきたい。若い人たちは、互いに敵対するのではなく、互いに手を取り合って生きていくことを学んでいただきたい。
     民主的に選ばれたわれわれ政治家にもこのことを肝に銘じさせてくれる諸君であってほしい。そして範を示してほしい。
     自由を尊重しよう。平和のために尽力しよう。公正をよりどころにしよう。正義については内面の規範に従おう。(p.164)

    ガウク
    おそらく将来世代は新しい記念の形を追求することになるでしょう。またホロコーストもすべての市民にとってドイツのアイデンティティの核心的要素とはもうみなされないかもしれません。しかし、これからも言い続けなければならないことは、アウシュヴィッツなしにドイツのアイデンティティは存在しないということです。ホロコーストを記憶する... 続きを読む

  • これまた素晴らしい本が現れた!

    まだ、50頁程しか読み進んでいないが、キリスト教徒のみならず、バッハ愛好者にとっても必読書となる事間違いない。

    ******************
    長いことキリスト教徒やっていながら、プロテスタントについて体系的に学ぶ機会が無かったので、この本に負うところは大きい。

    この本のおかげで、自分のプロテスタント立ち位置(出自)がよく分かった。

  • アメリカとドイツのプロテスタントの違いが知りたくて読み始めたが、ルターから始まり、プロテスタントの新旧を絡めて解説されていて理解が進んだ。

    アメリカのあの外交姿勢は伝道なのかも。と思うに至った。

  • ルター・カルヴァンらは旧プロテスタンティズム(以下P)、そして新プロテスタンティズムに分けての説明は新鮮で分かり易い。ルター主義がヒトラーを支持したわけではないが、共感度が高かったとの解説も分かり易い。そもそも旧Pは領邦国家と結びついていたこの説明はその通り。ワイマール共和国時代はルター派は居心地が悪く、むしろナチスの台頭に歓迎の気持ちがあったとのこと。政治的な背景の繋がりも面白い。

  • 書籍についてこういった公開の場に書くと、身近なところからクレームが入るので、読後記は控えさせていただきます。

    http://www.rockfield.net/wordpress/?p=9348

  • 経済学が絡むかと思いきや。そのままか。

  • 1517年、神聖ローマ帝国での修道士マルティン・ルターによる討論の呼びかけは、キリスト教の権威を大きく揺るがした。その後、聖書の解釈を最重要視する思想潮流はプロテスタンティズムと呼ばれ、ナショナリズム、保守主義、リベラリズムなど多面的な顔を持つにいたった。世界に広まる中で、政治や文化にも強い影響を及ぼしているプロテスタンティズムについて歴史的背景とともに解説し、その内実を明らかにする。

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プロテスタンティズム - 宗教改革から現代政治まで (中公新書)の作品紹介

1517年に神聖ローマ帝国での修道士マルティン・ルターによる討論の呼びかけは、キリスト教の権威を大きく揺るがした。その後、聖書の解釈を最重要視する思想潮流はプロテスタンティズムと呼ばれ、ナショナリズム、保守主義、リベラリズムなど多面的な顔を持つにいたった。世界に広まる中で、政治や文化にも強い影響を及ぼしているプロテスタンティズムについて歴史的背景とともに解説し、その内実を明らかにする。

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