- Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121024305
作品紹介・あらすじ
スマホやパソコンでは、嬲、娚、娵、啌、鯲、蟶、妛といった不思議な文字を打つことができる。しかし、いったいどう読むのか、何に使うのか-。これらの漢字の由来を徹底調査。また、江戸時代の五代目市川團十郎が先代「海老蔵」を憚って自分はザコエビだから「鰕蔵」と称したという説を検証する。さらに「止めるかはねるか」等、テストの採点基準を科挙にさかのぼって大探索。漢字の不思議をめぐる楽しいエッセイ。
感想・レビュー・書評
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「漢字」について調べたい人向き
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良書。論文めいた言い回しも散見されるが、内容がよく整理されているため読みやすい。仕事柄「謎の漢字」に触れる機会が多いため、取り上げられる漢字のあれもこれも身近に感じられて大変面白く読めた。
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漢字の不思議な文字 えびについて 科挙と漢字の関係がよくわかった
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笹原先生がエッセイ!とな?
一見、いつもの、これまでの笹原さんの新書といった感じがするが…。
うん、たしかに「麩菓子」と「竹輪麩」を「逸品だと思う」と言ってみたり、子供を資料館の外で待たせておいて調査に勤しんだりよいった、ちょっとした身の上話が出てきたのが新鮮かな?
三つの内容からなる。
第一はJIS漢字。
その制定に国土地理院発行の『国土行政区画総覧』が大きな役割を果たしていることなどが書かれる。
日本で人名の調査がきちんとなされていないということを初めて知った。びっくり。
第二は海老蔵の漢字表記の話。
五代目が、初代、二代目に自分が及ばないと謙遜して「鰕蔵」とした話などを、資料をもとに追いかける。
第三は科挙の漢字の字体の評価。
宋代あたりは、用字の適切性が見られ、点画の位置や形などにはそれほど厳しくはなかったらしい。
逆に清代には、特定の書体でなくてはいけなくなったり、正字、俗字の区別にやかましかったりと、細部にこだわるようになる。
このあたりの話になると、日本の漢字教育のことも思い出され、対岸の火事とも言っていられなくなる。
書道の発展にもマイナスの影響があった、という指摘も考えさせられる。
昔読んだはずの宮崎市定『科挙』、村上哲見『科挙の話』をもう一度読みたくなった。 -
ふむ
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正しくは読み終わっていない。第三部の科挙の話がちんぷんかんぷんで読み飛ばしてしまった…。簡単に読める本ではなかったね。
「令和の令の字をどう書くか」という時事的なことへのアンサーもあっておもしろかった。正しい漢字とは何なのか、正しい書き方とは何なのか、というかことを考えたいと思う。
あとこの感想をスマートホンで打てていることをJIS漢字に感謝。 -
12月12日 漢字の日
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全き知らない世界で、興味もなかったのですが、普段使うことがほとんどないレアな漢字が地名に由来することを知りました。日本国中の地名を調べ上げ、漢字を拾っていった人々の苦労と熱意が伝わってきます。
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ブクログには,しょうもない粗探しばかり書いている。
正確に言えば,探したアラを書くためにブクログを使っているのだが。
たまには,著者が喜ぶようなことも書いておこう。
本書の「第3部 科挙と字体の謎」は,繰り返し読むにたえる圧巻だと思う。
漢語音の四声を数字で書いているのは,日本語音のルビをつけるのに支障があるためか。ピンイン表記でよかったと思うが。 -
『スマホやパソコンでは、嬲、娚、娵、啌、鯲、蟶、妛といった不思議な文字を打つことができる。』
この「嬲」は「嫐」でないと本文の意を汲まない
この紹介文にもある「妛」の様な幽霊漢字は有名な謎だったが、それ以外にも盛りだくさん
笹原先生の研究の経過の一端が実況形式で見えてくるつくりであるが、その分「鰕」の項は読みづらさを感じたところも -
スマホやパソコンでは、嬲、娚、娵、啌、鯲、蟶、妛といった不思議な文字を打つことができる。しかし、いったいどう読むのか、何に使うのか――。これらの漢字の由来を徹底調査。また、江戸時代の五代目市川團十郎が先代「海老蔵」を憚って自分はザコエビだから「鰕蔵」と称したという説を検証する。さらに「止めるかはねるか」等、テストの採点基準を科挙にさかのぼって大探索。漢字の不思議をめぐる楽しいエッセイ。