入門 公共政策学 - 社会問題を解決する「新しい知」 (中公新書)

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著者 : 秋吉貴雄
  • 中央公論新社 (2017年6月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121024398

入門 公共政策学 - 社会問題を解決する「新しい知」 (中公新書)の感想・レビュー・書評

  •  政策問題とは「社会で解決すべきと認識された問題」である。ここで気をつけなければならないのが、社会での「望ましくない状態」が自動的に「問題」とはならないということである。「望ましくない状態」=「問題」ではないかと違和感を覚えられるかもしれない。しかし、「望ましくない状態」があったとしても、誰かが気づかなければ、もしくは、それを「望ましくない」と認識しなければ問題とはならないのである。(p.36)

     ポリシーミックスにおいて重要なのは、複数の手段による「相乗効果」を発揮させることである。例えば課徴金という単独の手段のみで個人や企業に負荷をかける行為を制限したとする。基準や金額を厳しく設定すればある程度制限できるが、抜け道を探すような個人や企業が出てくるかもしれない。しかし、地道な努力であるが、環境保護の意識啓発を同時に行うことでそのような個人や企業が行動を変えるかもしれない。すなわち、複数の手段をうまく組み合わせることで、政策目的を達成できる可能性が高まるのである。(pp.81-82)

     政策を適切に実施するためには、実施の仕組みのデザインとマネジメントが不可欠である。まず、政策が「実施可能性」の観点からデザインされていなければならない。また、マニュアルや主体間の調整といった実施の仕組みを現場からの視点でデザインする必要がある。そして、実際に実施していくうえでは組織間のコミュニケーションが必要であり、さらに、評価と連動したマネジメントによる改善が求められる。(p.211)

  • 社会で対応すべき「政策問題」の解決案としての「公共政策」を改善するための学問である「公共政策学」の特性と具体的な内容について解説。
    公共政策学の来歴を振り返った後、「政策問題の発見と定義」→「解決案の設計」→「政策の決定」→「政策の実施」→「政策の評価」という政策のプロセスの各段階ごとに、少子化対策、中心市街地活性化政策、生活保護政策などの具体的な政策をモデルケースとして、公共政策学の基本的な考え方や手法を説明している。最後に、公共政策の改善に向けた方策を検討している。各内容のポイントを適宜まとめながら次のステップに進んでいくなどわかりやすい構成となっているなど、入門書として非常に優れた内容になっている。
    公共政策の改善のポイントとして、政策分析における非専門家知識の取り込み、政策問題のフレーミング戦略の重要性、政策実施の仕組みのデザイン、マネジメントの必要性などが大切であるとよく理解できた。

  • 書名が示すとおり「公共政策学」の入門書
    網羅的に説明されているために理解が難しい用語や事象
    の説明に不足を感じる。
    新書という形式のため仕方ない面もあるが、さらに学習したければ紹介されている参考文献等を読み込む必要がある。
    政策の形成は中央省庁で執行が自治体という構図がやや強調されすぎている嫌いがある。
    組織間の協調の必要性を説いているが、第一線からの政策形成もありうることにも言及して欲しかった。

  • 本書は、公共政策学(公共政策を改善し、政策問題を解決することを目指す学問)の成立過程を述べるとともに、国や地方自治体において、政策問題がどのように発見され、政策がどのように設計され、決定され、実施され、評価されるかを具体的な政策を元に述べるものである。本書を読んで痛感したのは、自らの興味関心が公共政策学や行政学ではないのだなということ。しかし、現役の公務員が公共政策学を学ぶことも大切かなあと思う。

  • 何をするにしても利害関係者が増えてきて、それらを説得する理由探しの学問だという事。確かにそれはそうなんだけれども、その分スピードが遅くなっては意味がない。大事な考え方であるのはわかるが、即断即決する重要性を忘れてはいけない。

  • 公共政策学の学問の成り立ちや、政策問題の設定、政策設計、決定、実施、評価の過程について、具体的かつ身近な事例に基づいて説明されています。

    専門的な用語もわかりやすく解説されていますし、各章・チャプターごとにまとめが入っていたのもよかったと思います。

    個人的には、政策問題のフレーミングの重要性や、現状だけでなく将来予測に基づいて政策設計をすること、さらには政策設計にも戦略が必要という辺りが特に印象的でした。

  • 「公共政策学」の入門書です。
    法学や政治学、行政学、経済学、社会学等の専門科目を、焼き鳥の串のごとし横から刺してまとめあげる分野が公共政策学です。

    専門科目を一通り学習した公務員試験の受験生にオススメです。
    来年公務員になるという人は、とりあえず読んでおけという一冊だと思います。

  • 公共政策を問題・設計・決定・実施・評価に分けるプロセス論を基礎とした公共政策学の入門書。入門書としてそれぞれのプロセスを考える事例も含まれており、分かりやすい内容となっています。

    公共政策とは何か、よく分からないという方にも十分理解できる入門編で、学生さんや一般の市民の方も読んでいただける本だと思います。

    ただ、それぞれを考えるときの政策思考力的な観点は別の書籍に譲るというイメージでしょうか。この書籍のプロセス論をベースに政策OSとしての政策思考力が重要になると思います。

    宮脇淳・若生幸也『地域を創る!「政策思考力」入門編』(ぎょうせい、2016年)http://amzn.to/2t3SDu8 あたりもお読みいただくとより理解が深まるかもしれません(難易度は上がりますが…)。

  • 第5章 実施ー霞が関の意図と現場の動き
    「政策実施において各主体が果たす機能について、政策実施論では「政策デリバリー機能」と「政策管理機能」の二つが指摘されている(真山1991)。政策デリバリー機能とは政策や行政サービスを住民に提供する機能であり、政策管理機能とは政策を実施する機関を管理する機能である。
    (中略)都道府県は自ら政策を実施するものもあるが、国ー都道府県ー市町村という関係の中で、市町村を管理する仕事が多くなる。例えば、食育推進という政策においては、都道府県は食育推進推進基本法に基づいて食育推進計画を策定し、食育推進活動を行っていく。それと同時に、市町村の取り組みもサポートしている。愛知県では農林水産事務所において「地域食育推進支援会議」が開催され、市町村、関係団体、学校関係者、ボランティアといった関係者が参加し、関係者間の連携が促進されている。」

  • 社会問題はますます複雑になり、既存の学問では十分な解決策を提示できない――そうした意識から生まれた「公共政策学」。政治学や行政学、経済学など多分野の知識を総合化した新しい学問だ。専門家のみならず、市民の「知」も取り入れるなど、問題解決に役立つ学問へと進化している。本書は、少子高齢化、シャッター商店街、生活保護、学力低下など、日本の課題を例に取り、公共政策学のエッセンスを伝える入門書である。

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入門 公共政策学 - 社会問題を解決する「新しい知」 (中公新書)の作品紹介

社会問題はますます複雑になり、既存の学問では十分な解決策を提示できない-そうした意識から生まれた「公共政策学」。政治学や行政学、経済学など多分野の知識を総合化した新しい学問だ。専門家のみならず、市民の「知」も取り入れるなど、問題解決に役立つ学問へと進化している。本書は、少子高齢化、シャッター商店街、生活保護、学力低下など、日本の課題を例に取り、公共政策学のエッセンスを伝える入門書である。

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