バルカン―「ヨーロッパの火薬庫」の歴史 (中公新書)

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  • 中央公論新社 (2017年6月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121024404

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バルカン―「ヨーロッパの火薬庫」の歴史 (中公新書)の感想・レビュー・書評

  • バルカン情勢について知りたい人は、必読。人種・宗教などさまざまに入り組んだ複雑な場所。

  • 『バルカン―「ヨーロッパの火薬庫」の歴史』というタイトルからバルカンの近現代政治史の1冊かと思い込んでいたら、とくに前半は文化史・文化人類学的な記述が意外な印象を受けました。
    著者の精緻な記述により、近現代においてバルカンの人々のアイデンティティがどのように遷移していったか、また、どのような内的/外的要因によってnationalなアイデンティティが形成されていったのかをたどることができて興味深かったです。情報量が膨大すぎて一度読んだだけではまだまだ理解不足な点も多々あるので、また読み返してみたいと思います。
    1点だけ気になったのはやはりタイトルでしょうか。新書とはいえ、ちょっとミスリーディングなタイトルな気がします。政治史と思って手に取った人にとっては「思っていたのとちょっと違うかな」となってしまい、nationalな問題や文化史的な側面が気になる人は「政治史の本かな」と手に取らなくなってしまいそうな感じがしてしまいました。

  • 課題意識のはっきりした良書。島国に住んでると理解することすらも阻むような難問である。

    今ではバルカンは後進性や暴力といった言葉と共起されることが多いが、オスマン帝国時代はxx人だという民族的なアイデンティティは意識されておらず、宗教的な帰属の方が重視されていた。その信仰だって、田舎にいけばイスラム法もユダヤの儀式もキリスト教の聖人も等しくありがたがるような東洋的な汎神論に近いもので、身分的な制約やお互いの軽蔑はあってもそれなりに共存していた。

    それがオスマン帝国の崩壊とともに、分割を目論む西ヨーロッパの列強の思惑とともにネイションの概念が移入される。
    ところが、西側と違って、東南ヨーロッパでは一つの民族が大多数を占める地域というのは存在しない。トルコ人、セルビア人、ギリシャ人、アルバニア人、、、、
    国境を引いてみても必ず国境外にも大量の居住民を残すため、「未回収」の自民族を自国に収めるべく膨張政策の余地が常に存在する。
    宗教だって、一つの国家には一つの宗教が原則(オランダが新教を選択することはスペインからの独立を意味していたように)なので、強制改宗、大量の難民、大規模な殺戮や強制住民交換(これはイギリスの悪意で分離独立したパキスタンとインドのイスラム教徒とヒンズー教徒の交換もあった)が発生した。
    国境を接してあおっていたオーストリア帝国とロシアの利害が対立すれば、第一次世界大戦までは一直線だ。その後バルカン諸国が東西陣営に分割されても、基本的に1918年時点から国家間秩序はかわっていない。

    要するにバルカンが火薬庫なのはもともとそうなのではなく、国民国家という枠組みがもたらしたのだというのが本書の趣旨だが、国民国家モデルが有効なのは思いのほか狭い世界でしかなかったといまさら言ってみてもオスマン時代に戻るわけにもいかず、詮の無いことである。

  • 書籍についてこういった公開の場に書くと、身近なところからクレームが入るので、読後記は控えさせていただきます。

    http://www.rockfield.net/wordpress/?p=9916

  • 南東ヨーロッパに位置するバルカン半島。オスマン帝国時代、住民の多くを占める正教徒たちは平和裡に暮らしていた。19世紀、帝国が衰退すると、彼らは民族意識に目覚め、ギリシャ、セルビア、ブルガリアなどが独立を果たす。だがそれら新興国家に待ち受けていたのは、欧州列強の思惑と果てなき民族対立だった。ユーゴ紛争とともに20世紀が終わるまでを描いた、いま最も注目される歴史家の名著を翻訳。監修・村田奈々子。

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バルカン―「ヨーロッパの火薬庫」の歴史 (中公新書)の作品紹介

南東ヨーロッパに位置するバルカン半島。オスマン帝国時代、住民の多くを占める正教徒たちは平和裡に暮らしていた。19世紀、帝国が衰退すると、彼らは民族意識に目覚め、ギリシャ、セルビア、ブルガリアなどが独立を果たす。だがそれら新興国家に待ち受けていたのは、欧州列強の思惑と果てなき民族対立だった。ユーゴ紛争とともに20世紀が終わるまでを描いた、いま最も注目される歴史家の名著を翻訳。監修・村田奈々子。

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