シンプル人生の経済設計 (中公新書ラクレ 68)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (198ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121500687

感想・レビュー・書評

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  • これまで常識だった終身雇用・年功序列が崩壊し、日本は今後、富める者と貧しいものとの格差がますます開いていくと著者は述べます。本書は、そうした「超階級社会」の到来に向けて、われわれはどのように生きるべきかを説いた本です。

    著者は、「超階級社会」ではたった1%にすぎない「勝ち組」をめざすのではなく、飲んで歌って恋をする「ビンボー人」の人生を謳歌するべきだと主張します。本書では、「勝ち組」に比べて圧倒的に所得は低いけれども、自分の好きなことをして生きている人のことを「ビンボー人」といい、そうした人生をめざすために、サラリーマンはまずしなければならないのは、専業主婦・子ども・マイホームという「三大不良債権」を減らすことだという提言がなされています。「三大不良債権」とはずいぶん刺激的な言葉に感じられますが、著者の主張の核心は、サラリーマンの雇用と賃金の仕組みが大きく変わったのに、夫婦生活や子どもの教育についてのこれまでの常識にしがみついていてはいけないということにあるというべきでしょう。

    約10年前の本なので、現在検証してみると著者の予測には当たっているところも外れているところもあります。日本経済は比較的早くデフレを脱出するという予想のもとで、住宅ローンがサラリーマンにとって大きな負担になると本書には書かれていますが、この点では著者の予測は外れたようです。ただ、デフレが克服されて景気が回復しても、格差の拡大の趨勢はとどまらないという予測は、これから明らかになっていくように思われます。そういう意味では、著者の提言している幸福で充実した「ビンボー人」という人生のモデルの有効性が試されるのはこれからが本番なのかもしれません。

  • 1つの考え方としてはありだと思います。ただ、こういう話を読むと、なんか数字にだまされている感がしないでもない。

  • [ 内容 ]
    「勝ち組」の椅子を目指して熾烈な出世競争に明け暮れる-。
    そんな生き方が説得力を失いつつある中、幸福で充実した人生へのアプローチをユニークな経済的知見から解き明かす。

    [ 目次 ]
    第1章 飲んで歌って恋をして-シンプル人生への招待
    第2章 リストラなんか恐くない-雇用と賃金の大変化に備える
    第3章 身軽に生きるために-人生の三大不良債権を処理する
    第4章 破局からいかに身を守るか-住宅ローン地獄脱出の知恵
    第5章 ある2つの人生に学ぶ-森永式シンプル人生の実際
    終章 だから必要な「森永式シンプル人生十箇条」

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • >好むと好まざるとにかかわらず、日本のサラリーマンの人生設計の大前提となってきた終身雇用、年功序列などの社会システムは完全に過去のものとなる。この流れはたとえ景気が回復しようとも絶対とまることはなく、むしろ流れのスピードは加速度的に増していく。能力主義、成果主義の名のもと、社会は1割から2割の「勝ち組」と8割から9割の「負け組」とに2極分化していく。究極的には、1%のスーパーエリートと99%の一般サラリーマンとに2極分化した中流なき超階級社会が出現し、「負け組」があたりまえになる時代がやってくる。
    ―私たち一般サラリーマンが、負け組に分類されるのを防止する方法はあるのだろうか?http://p.tl/9c_Y

  • ビンボー人生のすすめ
    勉強していい大学行っていい会社…
    の人生は終わった


    これからは経済成長は望めないから
    ほとんどの人が給料半減する
    一割のエリートに富が集中すれ時代

    『頑張れば報われる』
    が通用しない時代

  • 最初に度肝を抜いたのが、著者の言うサラリーマンの三大不良債権である。これは、つまり、専業主婦、子供、住宅ローンの三つである。これらが、将来、サラリーマンを破綻に追い込む元凶である、と著者は言い切る。確かにとも思うが、子供はどうだろうか。もし、万人がこの考えに賛成となると日本も終わり、という感じである。しかし、こういう考えが出てくるほど、日本の現況は厳しいものであり、年功序列、終身雇用の廃止がこの論の根拠となっている。賛成なのは、仕事の不倫である。これは、正業の他に特技を生かした副業を持て、というもので、まさに我が意を得たり、と思わず唸った。私など、数年間のフリーター経験者であり、今の時代、自分のスキルだけが生き抜くための術である、と言える。この本は、要するに金持ちになる必要はない、その代わり、少ない稼ぎでシンプルに生きられれば十分幸せなのだ、というのである。環境的視点からも見てもこれは正しい。20世紀の大量生産、大量消費が、つまりこの今の時代の破綻を生んでいる元凶だと、私は感じるのである。この本はこれからのデフレ時代を生き抜くための教則本である。仕事がつまらない、漠然と不安を感じる、という人は必読である。

  • 明日リストラされるかもしれないと戦々恐々のサラリーマン向け。
    「たとえ所得は(サラリーマン時代より)少なくとも、自分の好きな仕事や好きなことをして生きていく」のがこの人にとってもの凄く価値があることらしい。
    …………それで生きていけるサラリーマンばっかりだったらいいけどね。  
    ついでに「マイホーム(ローン)」「専業主婦の妻」「子ども」は人生の三大不良債権だそうだけど、日本のサラリーマンがこれだけ鵜呑みにすると日本人がどんどんバカになりそうだ……。
    2002年の本なのでちょっと古め。

  • 最低。

    どんな有益な資産運用とか、経済の仕組みとか、そういうことが書いてあるかと期待して読み始めたら・・・

    子供を持つな?
    専業主婦を働かせろ?
    マイホームを諦めろ?

    まず、子供を持つな、という、ことごとく自分のことだけしか考えていない感じに腹が立つ。
    次に、専業主婦が家計のお荷物だ、働かせろ、という表現そのものに、完全な女性蔑視を感じてしまう。私の先入観もあるだろうけど、腹が立つ。働かせるて金は持ってこさせるけど、きっと家事は絶対に分担しようとしないだろう、というにおいがするのだ、なぜか。
    最後に、マイホーム、老後のことや、怪我をしたときのことなどを考えたら、家があるのとないのとで、どうしようもない差が生まれる、ということをまったく無視しているところが腹立たしい。

    ああ、しょうもないものを読んでしまった・・・

  • 2002年、まだ日本がやっと立ち直りかけてきたとき。
    いま、この本に書いてあることがほとんど現実となっている。
    三大不良債権のうち、とりあえず、2つはケアしていますが、、それと、都市部では「自動車」も不良債権のひとつになると思います。

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著者プロフィール

経済アナリスト、独協大学教授

「2022年 『楽しい!2拠点生活』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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