「愛国」問答―これは「ぷちナショナリズム」なのか (中公新書ラクレ87)

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  • 中央公論新社 (2003年5月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121500878

「愛国」問答―これは「ぷちナショナリズム」なのか (中公新書ラクレ87)の感想・レビュー・書評

  • 香山リカの『ぷちナショナリズム症候群』(中公新書ラクレ)をめぐって、香山と保守派の論客の福田和也がおこなった対談です。香山の本は、現代の日本社会に蔓延する、ナショナリズムというより「ナショナリズム的な雰囲気」を、社会の病理現象として読み解いています。

    『ぷちなしょ』刊行後に保守からの目立った反論がなかったことに肩すかしのような気分になったという香山に対して、福田は現在の保守論壇がタコツボ化していると指摘し、彼らに「香山さんをおもしろがるだけの感度がない」と述べています。しかし、そういう福田自身もつまらなそうな態度だなあというのが、本書を読んでの感想です。

    香山が社会の病理現象として指摘している「ぷちナショナリズム」は、大きく分けて2つあります。一つは「勝ち組」のナショナリズムで、非常に洗練されたライフ・スタイルと、弱者に対する想像力の欠如が同居しているタイプのもの。もう一つはいわゆる「負け組」に広がるナショナリズムで、中流階級が消滅しつつある中で、「生活が苦しくなっても家を失っても、君たちは世界に誇れる日本の国民なのだ」という呼び声になびくタイプのもの。

    このどちらに対しても、福田はまともに相手にする必要があるとは考えていないようです。ジェンダーについてのDNA決定論のような疑似科学に対しても、香山はそうした言説が広がっていることに危機感を表明しますが、福田の方は「ああいうエセ科学的な話って、百年来ずっとあったじゃないですか」で終わり。「ブルジョア・ボヘミアン」というアメリカの洗練された勝ち組の保守主義についても、「何となく不愉快ですな」とつれない対応です。「だいたい右の良さっていうのは、洒落がわかる、粋がっているところでしょ」という、一回りした保守の立場をとる福田にしてみれば、気分の保守もデオドラント主義の保守も平板に見えて仕方ないのかもしれませんが、少しは香山の議論に乗っかってみたらどうなのかと思ってしまいます。

    『ぷちナショナリズム症候群』自体がおもしろくないというのはあるだろうが、対談本を出す以上、もう少しおもしろくする努力をしてほしいものだと思いました。

  • 過大解釈しすぎなところもあるような。最後の福田さんのあとがきが…。むりやり対談してやっつけでこの本作ったのか?って思わされるよ。

  • [ 内容 ]
    9・11以降の米国は、得体の知れない恐怖に生活を脅かされた結果、「他者」を切り捨てた。
    最後に残るアメリカ人とは何者か?
    そして私たちは、最後に残るニッポン人となるのだろうか。

    [ 目次 ]
    第1章 不安神経症の時代(言論は自由になったか 批評の欠落 ほか)
    第2章 ぷちナショナリズム2003-窪塚洋介から日本語ラップまで(その後の「新人類」たち 糸井重里の罪 ほか)
    第3章 デオドラントされた中間層に潜む暴力(“ボボズ”の誕生 ドライな無関心、その裏にある不安 ほか)
    第4章 怪物と化したアメリカ(リヴァイアサンとしてのアメリカ 香山リカの「転向」宣言? ほか)
    第5章 日本の選択肢-「奴隷」の尊厳を求めて(アメリカへの抵抗はテクノロジーへの抵抗だ アメリカに他者は見えているか ほか)

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 「ネットってすぐに鬱の気分が移るというんです。本当にネガティブネットワークみたいになってしまう。」

    ↓のと同じようにあったから読んだ。
    もうちょっと内容が古いよね。新書だとほんの5年前だとこんなにも古く感じるのだと思った。
    まぁ、今でも通ずるところもあるけれどね。
    香山さんが齊藤孝の「声に出して読みたい日本語」シリーズを流布することで日本人だという自己肯定欲を上げているだなんて、なんだか唖然としてしまったわ。
    こういう風に私が思ってしまうこと自体、それはもう手中にはまっているのだというならば、それは言っているほうがどうかと思うわ。
    ステレオタイプなものの見方だとは思うけれど、こういう人の精神的なものを扱っている専門科の人の中にはすぐに人をどっちだこっちだとカテゴライズする傾向があるような気持ちを増幅させた1冊だったのだ。

  • とにかく香山リカも福田和也も毒舌だから読んでいて小気味いいことたびたびです。ドナルド・キーンも相田みつをもさり気なくこき下ろされているので好きな人は気をつけて。

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