声に出して読めないネット掲示板 (中公新書ラクレ)

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著者 : 荷宮和子
  • 中央公論新社 (2003年12月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121501141

声に出して読めないネット掲示板 (中公新書ラクレ)の感想・レビュー・書評

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  • 著者と若者の年の違いが目立ち、実際どこへ向かっているのかがわかりにくい。2ちゃんねるの折鶴オフを取り上げ社会と政治観をぶった切ってるつもりだろうが、著者が上世代だということを振り回しすぎてぶった切りになっていない。この著者は、古いと言われようと、鶴を全部自分で折るのだろう。

  • 著者は自らを「台詞にこだわるタイプ」とし、第2章では「折り鶴オフとは−台詞で読み解くインターネット」と題して2chを読み解いていくのだが、これはかなりおもしろかった。

    折り鶴オフというものは以前にどこかでそういうことがあったというのは読んだことがあるような気がするのだが、本書ではじめてその詳細を知った。なんというか実に2ch的だなあ、と。

    いや、決して悪い意味だけではない、とくに小さな発言がきっかけとなり、お互い見ず知らずの人間が触発され、折り鶴を折る過程で平和や反戦とは?
    という普段考えなかったことに戸惑いつつも「しない善よりする偽善」を合言葉にひと夏のムーブメントとして盛り上がり、やがてリアルワールドに帰着するという過程はドキュメントとしてみてもちょっと感動的ですらある。

    ただ、最後の最後は「でもやっぱり2chだなあ」という結末になってしまうのだが…(思えば2002年ワールドカップ放送に絡んで「江ノ島ゴミ拾いオフ」なるものが開催されたときもそうだった)。

    そこから第3章「『反戦思想』の消滅」、第4章「『殺伐』とした国・日本」と展開されていき、そこでの著者の主張もなかなかに興味深いのだが(ちょっと飛躍しすぎ?
    という点も無きにしも非ずだけど)、実はそれよりも興味深かったのが著者の「ブチ切れぶり」である。

    多少のユーモアを交えつつも論理的に展開していく文章が、突如ボルテージがあがりブチ切れ、日本を殺伐とした国にしてしまった支配権力層を滅多切りに罵倒する様は、読んでいて一種の爽快感さえ漂う(書物の中で「下司野郎」という活字を目にしたのは何年ぶりだろう?)。

    それは女性が権力(=往々にして男性)と対等に議論するためには「『強者』の座についている人間を愚弄するための言語を身につけること」が必要だという著者の考え方に基づくものだが、これにはなるほどと納得させられた。

    とはいえ誰かを罵倒する文章に爽快感を覚えるというのは、一歩間違うと2ch内の罵倒の嵐を「むしろ心地よく感じる」ようなところにも繋がりかねないので注意しないといけないが…。

    本書の主張とは関係ないが、あちこちにつけられている注釈の内容が著者自身も認めるところであるオタクっぽくてなかなか笑えるのが一服の清涼剤かな(笑)。

  • 2003年、広島平和記念公園の折り鶴が放火されるという事件が起こった。その直後、「2ちゃんねらー」たちを中心にして、「しない善より、する偽善」という合言葉のもとに、折り鶴を折って広島に届けようというオフ会が実現された。本書はこの事件の顛末を追いかけながら、殺伐とした書き込みとその裏で芽生えつつある希望について語ったもの。

    要するに、折り鶴オフ会を新しい「連帯」の形として理解する試みだと言ってよいのではないかと思う。ただ、著者がみずからの政治的なスタンスを前面に押し立てて議論を進めている点が、多少気になった。「ヒロシマ」に関わる以上、そうしたところにまで話が及ぶのは当然なのだが、手塚治虫以後の戦後マンガ史に反戦思想を読み取ろうとする議論が生煮えのまま提出されていたりして、読者は行き先の分からない議論に引っ張り回されることになる(大塚英志の名前が上げられているので大塚の議論に依拠して進められているのだろうが、本書を読んだ限りではその内容がよく分からない)。

    「左寄りだからいかん」と言っているのではない。ただ、2ちゃんねるや折り鶴オフ会が投げかけている問題を、「右か左か」という切り口だけから読み解くのは、的外れとは言わないまでも、一面的ではないのかという気がしてしまう。そういう感じで、どうにも対象に迫りきれていない本という印象なのだが、それだけにかえって折り鶴オフ会という「祭り」の乱雑さというか、祝祭性みたいなものが強く印象づけられた。

  • 2ちゃんねるの巨大匿名掲示板。
    ほとんど見ることもなく、読むこともなく過ごしてきたが少し驚いた。
    通常は一言述べればそこに責任が生じるものだが、匿名なので言い放題なのか・・。
    一言の責任は重いはずだが・・。
    本に書かれていた最後の一言、
    「最後まで希望を捨てちゃいかん・・あきらめたらそこで試合終了だよ」
    そう、その通りだ。

  • [ 内容 ]
    誹謗中傷罵詈雑言。
    殺伐とした国・日本の殺伐とした巨大匿名掲示板。
    インターネットに寄せられた膨大な声を“女子供文化評論家”の著者が読み解く。
    あなたは「ネット向き人間」か否か。

    [ 目次 ]
    1章 「2ちゃんねる的なるもの」とは何か(あなたは「ネット向き人間」か否か;燃やすに事欠いて広島平和記念公園の折り鶴かよ!?)
    2章 折り鶴オフとは―台詞で読み解くインターネット(言い出しっぺ;「どうせ無理だから」まず行動 ほか)
    3章 「反戦思想」の消滅(「過ちは繰り返しません」;大衆娯楽の「光」と「影」 ほか)
    4章 「殺伐」とした国・日本(2ちゃんねるの悪名;「お金」と「誠実さ」の距離 ほか)
    終章 大人がすべきこと(ネットだからできること;しない善よりする偽善 ほか)

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
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    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 2011.3.12

  • 2ちゃんねるにふみこめなかっただけに興味深い。折り鶴オフ、こんな風にすすんでいたんだと、関心する部分があった。
    エージェント774。目にしたことはあったが、名無しを表していたとは。。。

  • わたしの言いたい(が、上手くことばにできない)ことをすべて言ってくれた気がする。ネットが殺伐としているわけではなく、世の中が殺伐としているのだ。(2009.12.10)

  • 匿名掲示板の文字の向こうにだって、必ず誰かの存在がある。
    善か悪かの二極では測れないのだ。

  • 先日、見ようと思っていた番組を見逃した。爆笑問題の太田光が総理となって、ひとつの議題の是非を出演者ならびに視聴者に問う、という内容のバラエティ番組である。

    「選挙カーや選挙ポスターを廃止します」。当日提出されたこの「マニフェスト」に、中島義道『うるさい日本の私』を読んだせいで、日本中にあふれるスピーカー騒音に敏感なからだになってしまった私は、興味をそそられた。番組終了後、公式HPにはネット投票の結果が表示されていた。賛成票が9割近かったのを、私は複雑な気持ちで眺めていた。

    なにも、拡声器での候補者名連呼や、誰も聞いてない駅前演説をうるさいと感じる自分の感性が、他の日本人とそんなにズレていないことを確認したかったから、見逃したことを悔やんだのではない。ただ、太田総理の話に苦々しい気持ちで耳を傾けていたであろう、(ゲストとして毎回招かれる)現役国会議員たちの顔が知りたかった。日本では、選挙期間中での戸別訪問が法的に禁じられている。ポスター掲示はともかく、選挙カーや街頭演説を使う以外に、有権者に直接政策を訴える手段がどれだけあるのか、という彼らの反論こそが見たかったのだ。

    拡声器を通し、不特定多数に向けられた声は空疎に響く。それでも政治家は、国民に対してことばで理念を語らねばならない。そんなもどかしさを体験することは誰にもあるだろう。

    著者の荷宮は、数年前に2ちゃんねる上で盛り上がった「折り鶴オフ」について詳述している。広島の原爆記念公園に飾られていた千羽鶴が燃やされてしまい、それを知ったある住民(高校生)が「政治的信条は抜きにして」、連帯して鶴を折ろうと呼びかけた。関連スレッドの動向を追った著者が、心に残ったとして紹介しているのが、「しない善よりする偽善」という書き込みである。

    電車やバスの車内で老人に席を譲るのに、なにかしらの恥ずかしさや後ろめたさを感じる人はいるだろう。人はときにそれを偽善と呼ぶ。折り鶴もそうした行為といえる。それでもなお、自発的に鶴を折ろうと声をあげる人びと(特に若者)がいたことに、著者は素直に共感している。このことは、政治の世界でもあてはまるはずだ。

    迫る総選挙。政治家に「する」偽善はあっても、有権者に「しない」善はない。

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