英語を子どもに教えるな (中公新書ラクレ 120)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121501202

作品紹介・あらすじ

英語も日本語も身に付かない「帰国生」を数多く指導した経験をふまえ、著者は早期教育の現場をルポし、警鐘を鳴らす。国際社会を生き抜くために必要な力を問い、それを養う方策を提案。

感想・レビュー・書評

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  • これは面白かったですね~。自分も子供に対する英語教育慎重派なんですが、かといって全くダメと思っている訳でもなく…みたいな、微妙なニュアンスが、この本の中で言語化されて、自分的にも随分腑に落ちました。なるほど。加えて、英語教育のみならず、子育て全般に敷衍して当て嵌められる内容も多く、反省や励みになることもしばしば。直接的に子育てをうたった本より、よほどためになりました。

  • こ、これは… 子どもに早い時期から英語を学ばせようという親御さん、そして現地で子育てをする駐在員必読です。
    市川さんの説く内容は、理屈じゃなく、ご自身が実際にアメリカで日本人のお子さん向けの塾を開き、1000人以上のお子さんの「実例」を見てきたことがベースにあるだけに説得力があります。

    帯には「早期教育は、英語も母語もダメにする」とありますが、「必ず」ダメにするということではなく、「安易に行うと」ダメにする、という意味です。内容的には。

    では、ダメにしないためにはどういう意識・行動(親の接し方、言語環境の与え方)が必要か?についても説かれており、私自身子どもの英語教育についてはまさに悩みどころなだけに、大いに考えさせられました。

    そういう意味で、書名も正確に言えば、『英語を子どもに「安易に」教えるな』となります。
    ごく一言で言えば、学校任せ、環境任せにすると「必ず」失敗します。親の関わり方がとても大切です、そして、それはとてもシンドいことを親も覚悟しなければなりません、ということになるかと思います。

  • 著者は語学塾での指導経験により、日本語も英語も身につかない帰国生の指導経験を持つ。米国と日本とでは教育法方が異なっている。米国では自分を主張できない、良好なコミュニケーションが取れない子どもは、カウンセリングの対象となる。原因にはネガティブなものとポジティブなものがあるようだ。
    日本国内では、バイリンガルを目指すために幼児教育、インターナショナルスクールへの入学をする子達がいるが、これも同様。しかも、お金がかかる。
    英語を話す、というだけではだめなのである。自分を主張でき、国際感覚をはぐくむことが求められる。


    親が留意すべき10のポイント
    1学習の開始時期にこだわるな
    2脳の世界は謎だらけ、教材・教授法に惑わされるな
    3親子の「対話の質」を高めよう
    4「聞く力」「質問する力」を鍛えよう
    5「読み聞かせ」で「聞く力」「読む力」を養おう
    6子どもの「感性」を磨こう
    7子どもの「選択力」を育もう
    8子どもの「リサーチ力」を高めよう
    9外国人との「生きた交流」を体験させよう
    10英語力は一生かけて身につけるものと覚悟する
    米国教育の戦争記述
    sneak attack on Pearl Harbar
    原爆についても本土決戦の回避、戦争終結の早期化の利点とする。

  • 分かりやすく面白かった。なるほどと思うことばかり!早期英語教育、バイリンガル教育、幻想にとらわれている日本人。幼少期に大切なことは英語を学ばせることではないのだとよく分かりました。

  • ふむ

  • 中途半端なら子供に英語は教えるな、ということ。
    それは確かに共感できる。

    ただ完璧具合が、
    ーーーーー
    「親の英語力がとても高い」「精神的にも金銭的にも、完全に子供のサポートができる」くらいなレベルでそれ以下は中途半端。もっと他のことをしなさい。
    ーーーーー
    という考えは、ちょっと極端すぎるかなと感じる。

    でも、すごく子供の英語教育について考えさせられる良書。
    また読みたい。

  • タイトルは過激だけど、
    「いい加減なら英語を学ばせるのは無意味どころか害になる」という意味でつけられたのだと思う。
    中身は、どう無意味や害なのかを辛口で書いているが、逆にばっさり書かれていて、モヤモヤ思って部分が言語化されてすっきり読みやすい。

    英語をどうして習得して欲しいか、どうすればいいか、日本語はどう力をつけるか、地に足をつけて考えるきっかけになった。

  • 帰国子女だったら、インターナショナルスクールに通ったら英語がペラペラになるんだろうな、子どももそうさせようかな、となんとなく思っていたけれど、「自然にバイリンガルになる子はいない、そんなのは幻想だ」という著者の主張に驚かされた。
    確かに、帰国というだけで英語力を期待されるプレッシャー、日本語がおろそかになるセミリンガルになる可能性だってある。

    そもそも、英語がペラペラとは何か?
    大切なのはその中身だと、当たり前のことを再認識させられた。

    周りが続々と英語教材を導入しているのをみて少し焦りを感じていたが、流されて始める必要はないと思い直した。

    ただ、幼少期からの方がリスニング力は身に付くようには思うので、もっと他の本も読んで研究してみたい。

  • 表紙が変わったので別の本かと見間違えた。すでに立ち読みで読んでしまった。

  • 繰り返し大事だとされているのは、まずは論理的な思考能力を高めることで、母語を粗末にしてはいけないということ。

    これには全く同意。
    大抵の人はすでに同じように考えていて、真新しいことではないのでは...。

    この本が面白いのは第一章だけ。
    ここだけは著者が自分の経験に基づいて、自分の言葉で語っている。

    他の章は、何かの引用だらけでつまらなかった。
    この本に期待したことは、本の帯にある在米13年間塾講師として著者が実際に見てきた海外駐在員の子女の英語上達のプロセスや異文化で直面した問題であって行政の施策だのその他の学術書の引用、引用、引用はまったく期待していなかった。

    一生懸命調べたんだろうけど、彼の経験からもっと論を作って一冊の本にまとめたほうが良かったと思った。

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著者プロフィール

1963年生まれ。探研移動小学校主宰。探究ジェネレーター。学習院大学大学院人文科学研究科心理学専攻博士前期課程修了。アメリカで日本人駐在員の子供が通う学習塾を運営。英語環境下での日本語習得の最前線で教育に携わる。2003年に帰国後、2004年~2016年まで東京コミュニティスクール(東京都中野区)という小学生対象のオルタナティブスクールの初代校長を務め、認知科学の知見を活かした、探究する学びを開発・実践してきた。現在は、学校外で大人と子どもがともに探究して学ぶ場づくりに取り組んでいる。NHK for School メタモル探偵団、NHK E テレ高校講座「総合的な探究の時間」に出演及び監修。著書に『英語を子どもに教えるな』(2004年)、『探究する力』(2009年)、翻訳書に『科学が教える、子育て成功への道』(キャシー・ハーシュ=パセック、ロバータ・ミシュニック・ゴリンコフ著、今井むつみと共訳、邦訳2017年)。

「2019年 『クリエイティブ・ラーニング』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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