- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121501714
感想・レビュー・書評
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久々再読。農業社会、産業社会、消費社会という社会の移り変わりで子どもや教育のニーズ、世の中の価値観が変化して来たことは納得。子どもが消費者化してしまうような社会の在り方を実感する。じゃあ、子どもを信用せず、厳しくドライな教育を小学校でも行うべきという筆者の主張については、小学生と日々接した実感からとは思えないし、自分にも実感もない。問題が多々起こる高校現場での実感と解決法を小学生段階から行うというよりも、そういう高校生になる要因は何なのか、小学校・中学校時代にどのような経験を積むべきかを考えたい。
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まとめとして「グローバル化」が原因としているが,最終的な論の帰結としては些か弱いと感じた。
子供を一人の個として扱うのは大事な事であり,人権を尊重しなければならないのは当たり前の話として,個の前の社会化に至る去勢はよくわかる話。その“個”が個のまま育つてきている事に警鐘を鳴らす。
でもやっぱり国民国家教育が原因では無いかと思う,それは日本という国の教育に対する考え方,というところにおいて,だが。
自分の子の子育てしか見ていない親と違い,教師は自分を通り過ぎる子供達を幾世代にもわたって見続けてきておりその変容について最も身近に感じている,というのにはふむふむなるほど尤もだと頷く。
なんであれ子供達は大変だ。
そして読み進めて行くうちにある事が確信へと変わったのが……最近ネトウヨと呼ばれるものたちがネットで騒がれているが,まさにコレ(オレ様化)した者達ではないか,と。 -
納得するところがそれなりにあった気がする。
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「プロ教師の会」代表が「子どものオレ様化」を軸に、教育を論じているのが本書。
「オレ様化」とは? ただ生徒がエラソーになったというだけのことではない。かつて「生徒」というものは、人格的にも知識的にも半人前で、教師から一方的に「贈与」を受け取る存在だった。しかし社会の近代化にともなって、子どもは変わった。大人と対等の存在、教師と対等の1人の「個」として現れてきた。教師-生徒関係が、「贈与」から「商品交換・等価交換」になってきたのが、教師の権力の失墜→学級崩壊→不登校・いじめ・援助交際・ひきこもり、へとつながっていくのだ……と本書は説く。
いつの時代も子どもは変わらないとか、子ども1人1人に合った教育をしなければならないとか、子どもが自ら学ぶ姿勢を大事にとか……そういう考え方を著者は教壇に立ち続けた経験から「甘い」と切って捨てる。子どもたちにまず必要なのは「個性化」ではなく「社会化」であると。
「子ども」と「学校」の関係だけでなく、「子ども」と「社会」との関係を織り込んで展開される論理は、教師としての実感に支えられているぶんだけ、他の教育論者に比べうわすべりしていない。第1章の論理に従って、第2章で宮台信司、和田秀樹、上野千鶴子、尾木直樹などの教育論が批判されるが、一理あるなぁと思う。
しかし、本著に従えば、「子ども」の変化に対応するには、「学校」を変えるだけでは足りない。「社会」が子どもに注ぐ視線も変えなくてはいけない。それをどうするかまではさすがに荷が重いようで、明確に言及はされていない。それは読者1人1人の課題となるだろう。
また、本著で展開されているのは、しょせんは「精神論」であり、学校のカリキュラムをどうするか、入試をどうするかという現実的な施策を超えたところに成立していることを忘れてはならない。難しいのは、「そっから先」なんである。
先生や親が子どもと友だちのような関係を結びたがったり、小学生のうちから「個性を伸ばす」教育を施したり、学校に「市場原理」を持ち込もうとしたり……つーのは、この本をあてにすると、かなりヤヴァイことのように思える。「ゆとり教育」か「詰め込み&反復」か、「生きる力」か「学力」か。そういう二項対立の図式からすこし視点をずらして考えるために、悪くない本だと思う。 -
2007年くらいに買って読んだんじゃないかなぁ…と思います。
小林よりのり氏推せん!!
ワシ様もオレ様が嫌いだ!!
と帯にイラスト付で描いてあります。
この本は、今パラパラ見ると、アクがない感じにすら、受けてしまう…。
その理由は簡単。
大筋が社会通念的にOK採用されているように感じるから。というより、次の段階へ行ったって感じ?
ただ、買って読んだころは、そうではない世の中の空気が流れていたと思う部分アリ。 -
300252905 S370.4-ラク-171
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かなり昔に読んだ本であるが、前々から読み直したいと思っていたので読んでみた。
んーむずかしい…。その辺にある教育論とは掘り下げの程度が全然違うと感じる。ところどころ著者が使っている用語の意味がわからない部分がある。
しかし内容としては、説得力がありかなりおもしろい内容やと思う。筆者は、学校が社会において果たすべきことは「のびのび」ではなく「厳しく」だと言う。「個性化」の前に「社会化」を目指すべきであるとも。
第二部の学者の教育論に対するコメントは、ちょっと見方が穿っているかなと思う部分があった。
二三一ページにある「管理はしないよりはしたほうがいい」という記述に安心した。その通りで、教育において管理することの悪影響を考えながらも、やはり管理してしまうし、そうすべきであると思う。
諏訪哲二さんの本は、考えを深める上で参考にしたいものです。