「負けた」教の信者たち - ニート・ひきこもり社会論 (中公新書ラクレ 174)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121501745

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  • ニートを題材にした、精神科医が描く時評

    読了日:2006.07.02
    分 類:教養
    ページ:254P
    値 段:760円
    発行日:2005年4月発行
    出版社:中公新書ラクレ
    評 定:★★+


    ●作品データ●
    ----------------------------
    テーマ:ニート・ひきこもり
    語り口:エッセイ
    ジャンル:雑学
    対 象:一般向け
    雰囲気:時評
    結 末:-
    ----------------------------

    ---【100字紹介】-----------------------
    増大するニート、高齢化するひきこもり…
    コミュニケーションの格差化傾向が進んでいる。
    ネット時代の少年犯罪など、メディアを騒がせた社会事象を、
    気鋭の精神科医が独自の理論や主張で読み解く。
    海外事情の紹介も。
    -----------------------------------------

    「負けた」教の信者たち。ちょっとショッキングというか、センセーショナルというか、いまどきって感じぃ?みたいなタイトルですね。菜の花自身もこのタイトルにひかれて、本書を読みました。一体、どんなことが書いてあるんだろう、どきどき…。

    タイトルってとっても重要ですね。著者は精神科医。まさに上のような効果を狙って、このタイトルをつけたことが「はじめに」で明かされます。うむむ、まんまとはまったというわけか!そして俄然、期待が高まるわけです。何しろ、菜の花の気持ちを思い通りにして本を手にとらせたこの精神科医の書く「社会問題」は一体、どんな切り口なんだろう、と。

    本書は「中央公論」という月刊雑誌に連載されたものを再構成したもの。元は「時評」だったようです。そのためか、まとまっているようで、内容的には結構ばらばら。重複も多いですね。思いつくままに書いているな、というのもよく分かります。びしっとした研究書という感じがないために、堅苦しさを感じずにさらりと読めるかもしれません。一歩一歩を論理的に、理詰めな感じで語らなくてはいけない!というタイプの人には向かないかも。副題に「社会論」なんて難しそうな言葉を入れていますが、あくまで一般向けですので恐れをなすことはありません。


    ニートやひきこもりというのは、現代社会の抱える大きな問題のひとつですが、この問題、どこかどういう風に問題になっていて、放置するとこれからどうなっていくのか、これに更にネット社会の話、外国の事情なども交えて、大変にぎやかな「最近の社会問題」をてんこ盛りで語ります。菜の花のような、世間から隔絶された生活を送っていた人には「あ、こんなのことあったんだー、でそれはこういうことだったのかー」と、色々と吸収どころは多いかもしれません。

    主張をはっきりさせるために、やや過激、大袈裟な言い方が多用されますが、それを気にしない人なら、一度読んでみると興味深いかも?な一冊。


    ●菜の花の独断と偏見による評定●
    ---------------------------------
    文章・描写 :★★+
    展開・結末 :★+
    キャラクタ :★★★
    独 自 性 :★★★+
    読 後 感 :★★+
    ---------------------------------

著者プロフィール

斎藤環(さいとう・たまき) 精神科医。筑波大学医学医療系社会精神保健学・教授。オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパン(ODNJP)共同代表。著書に『社会的ひきこもり』『生き延びるためのラカン』『まんが やってみたくなるオープンダイアローグ』『コロナ・アンビバレンスの憂鬱』ほか多数。

「2023年 『みんなの宗教2世問題』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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