美しい都市・醜い都市: 現代景観論 (中公新書ラクレ 228)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121502285

感想・レビュー・書評

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  • 都市の景観論について諸々の話題を書き連ねた本。日本橋の高速撤去の話題(ちょっと過去)、アジア各都市の都市デザイン、幕張の開発経緯、街の監視カメラ社会など、一見バラバラなテーマは無関係に章立てられているが、いずれも現代における都市景観論の視点での著述。一部には強いメッセージも感じられるが、概ね著者自身の心のうちを綴ったエッセイのような感じ。最後のほうに書かれた平壌の都市デザインについての見解が新鮮で面白かった。

  • 人は生まれた場所や思い出に風景の美しさを見出すのでしょうか。

    だから私は広告やネオンで囲まれたまちや、ハウスメーカーが量産した欧米風が並ぶ住宅街にも美と愛おしさを感じることができるのかもしれない。

  • 現代の情報化時代における都市の知覚と評価のあり方について述べた本。
    芦原義信に代表される、ヨーロッパ都市計画への憧憬を掲げたこれまでの都市の捉え方とは異なる立ち位置をとっている。
    これまで美しさをよしとしてきた社会に対し、管理されることでなりたつ「美しさ」に、またそもそも主観によって判断される「美しさ」の定義に疑問を投げかけている。

    一元的な解釈ではなく、多方向・多視点的に都市の景観を評価することで、今までとは違う価値感を創造できる可能性があると指摘するような主張には、個人的に共感。

    主張が強い一貫性を持っていて、やや言い過ぎ、ぐらいの表現であるがそのため専門外の一般の人でもわかりやすいと思う。

  • すごくシンプルかつニュートラルな考え方で、読んでいて冷や冷やしなかった。
    景観論にきっと答えなんて無いんだよね。
    平壌の都市計画の引用の部分が特に面白かったな。
    この人の本をもっと読みたい。

  • イデオロギー・経済・メディア論と深くつながりを持つ建築の奥深さを感じる一冊。

  • 都市が気になる。
    私はきちんと整備された、生活観のない都市を美しいとかんじてしまうが、そんな簡単なものではないんだ。下北沢の道路を広くするから、街もちょっと変わってしまうような話を前聞いたけど、ああいうカルチャーで出来上がっているような街を残していくことも大切だよね。
    んー都市を考えるのは、深くておもしろい。

  • 都市計画シリーズ!

  • 激しく同感!!!
    こうゆうの考える人私だけじゃなかったんだー!いい景観って果たして何なんでしょうね。

  • 景観の美に対する認識を考えさせられる。自分もはじめは屋外広告物とかコンクリートや電線だらけの町並みは汚らしいと思っていたが、最近はむしろ修正された町並みの方に違和感を感じる。人々の生活がにじみでている景観が必ずしも美しいとは言わないが親近感が持てる。ランドスケープをデザインすることってどういうことなのかと考えさせられる一冊になった。筑波の都市伝説のことも載ってた。(2006/1/23読了)

  • 少し硬質な文章だけれど、あえてエッセイとして読む。
    「安全を標榜しつつ排除と監視に向かう社会」と同質のものが増えていくことについて。
    「美しい景観」論者にとっての「ユートピア」都市、平壌について。

著者プロフィール

1967年パリ生まれ。東北大学大学院工学研究科教授。博士(工学)。建築史・建築批評。1992年東京大学大学院修了。ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展2008日本館コミッショナー、あいちトリエンナーレ2013芸術監督。
主な著作に『過防備都市』(中公新書ラクレ、2004年)、『建築の東京』(みすず書房、2020年)、『様式とかたちから建築を考える』(菅野裕子との共著、平凡社、2022年)がある。

「2022年 『増補版 戦争と建築』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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