日本の戦時下ジョーク集 満州事変・日中戦争篇 (中公新書ラクレ 249)
- 中央公論新社 (2007年7月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121502490
感想・レビュー・書評
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「世界には」
日本は世界で一番、笑いの種類が多い。
「先生」
昔の雑誌には必ずジョークコラムというものがある。
吉本発「お笑いブーム」
お笑いは昔から今までずっと続いている伝統文化の一つ。 -
20180325読了
2007年発行。昭和6年(1931)から昭和15年(1940)にかけての昭和初期にお笑いブームがあった。当時の傑作ジョークをあつめたもの。なんだか聞いたことがある名前だなと思えたのはエンタツ・アチャコ、エノケン、古川ロッパのあたり。政治や戦況のネタはさすがに時代を反映している。戦地への慰問袋へ入れるため、漫才の台本がさかんに作られていたとは。第二次世界大戦にさしかかると、横文字の芸名を漢字に改名したり、国策にかんするネタは禁止されて事前検閲の影響がみてとれ、庶民に人気のあった漫才師が政府のスポークスマンを担わされていく様子がうかがえた。戦争の悲惨さを語り継がねばならないのはもちろんだけれども、戦時下にあって庶民の暮らしを支えていた要素を多面的に知ろうとする態度も大切。 -
新書文庫
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「戦争は悲惨だ」という話が多いけど、本当にそうなの?
そんな疑問をいつも持っています。
きっかけは10年以上前に読んだ山本夏彦さんの「『夏彦の写真コラム』傑作選1 1979~1991」(新潮文庫)でした。
「戦前はまっ暗」なんて言葉をよく耳にしますが、山本さんは「エログロ時代、ネオンの氾濫する時代」だったとしたうえで、「あれがまっ暗ならいま新宿歌舞伎町に代表されるエログロ時代もまたまっ暗だと言わなければならない」と喝破しています。
同様の問題意識を持ちながら、本書を手に取りました。
戦前どころか戦中も笑いに溢れていたのですね。
戦後、漫才ブームが何度も訪れましたが、実は今につながる漫才は日中戦争下で花開いたなんて初めて知りました。
第二次世界大戦をネタにしたジョークなんてのもかなりあって、人間は本当にたくましいと実感します。
戦時だから笑いは不謹慎なんてことは全くなくて、実際にはその逆なんですね(もっとも、たとえば禁演落語のように時局にふさわしくないため当局から制限された笑いも多かったですが)。
だからといって私自身、戦争を歓迎しているというわけではもちろんありません。
戦時下の人たちも、平和に暮らす私たちと同様に笑いを楽しんでいたと考えると親近感を覚えますし、そうして戦時下の実相を知ればこそ、戦争をしてはいけないという気持ちが逆に強くなるのです。
反戦平和を訴える人たちは、ですから「戦争は悲惨だ」などと悲惨な面ばかりを強調し過ぎない方がいいのではないかと老婆心ながら思います。
実際白けるし。
では、本書から気に入ったジョークをひとつ。
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●「物は見様」
太公望、釣りの話に油がのって、
「じっさい、大きな魚でした。水から引上げたら海面が三寸程低くなりましたからね」
(『ユーモアクラブ』春陽堂文庫出版、昭和13年11月号)
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スケールの大きなジョークだと思いませんか?
「暗闇にヘタを付けたような茄子」
くらいのスケール感があります。
ちなみに本書は「満州事変・日中戦争篇」。
続編の「太平洋戦争篇」も既に入手済みなので早速読みまっす。 -
戦時,お笑いが求められた~吉本興業は明治の創業で,通天閣まで買収していた:横山エンタツ・花菱アチャコ,ミスワカナ・玉松一郎などが売れっ子で,エンタツ・アチャコで売り上げを伸ばすためバラバラに売り出され,売れっ子の引き抜きもある。秋田實が又売れっ子作家で引き抜かれる。柳家金五楼は兵隊落語だが,太平洋戦争開戦前に寄席は自粛を余儀なくされた~1973年生まれの人よりは少しばかり身近で,1956年は未だ戦後の雰囲気があった。後半は同時発売で太平洋戦争篇
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個人的に面白いと感じた「世界の日本人ジョーク集」
の著者の本ということで購入したのですが、
ちょっと期待していたものとは違いました。
やはり、そのジョークが言われた時代背景についての
説明などもあるものの、まさしく「ジョーク集」でした。 -
『ジョーク集』というタイトルですが、やはり半分は当時の政治や世界情勢の流れを説明している、半分歴史書のような形なので、純粋にジョークだけを求めている人には物足りないかも知れないですね。
でも私の感覚だと、歴史的な事も学べるし、当時のジョークに付いても知る事が出来るし、一粒で二度美味しいという感じです。
戦時下と言っても、ジョークの内容は今と殆ど変わらないんですね。
勿論その時の時事ネタみたいなものもありますが、そうじゃないものも沢山あって、普通に楽しんで読みました。 -
「お父さん、ぼくは歯科医師になろうか眼科医になろうか迷っています」
「何を迷うことがあるのだ。歯科医にきまっているだろう。人間には眼は二つしかないが、歯は32本ある」
これが昭和7年の小ネタ。