育成力 (中公新書ラクレ 311)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121503114

作品紹介・あらすじ

有森裕子、高橋尚子…。豪放磊落な性格と、「ほめて育てる」名指導で知られる著者の金言至言が一冊に。人を育成する立場に立つすべての人にヒントをもたらす、人材活用の指南書。

感想・レビュー・書評

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  • タイトルよりも、小出監督の人生訓的な内容でした。
    愛すべき人間性がにじみ出ていて、読んでいて温かい気持ちになりました。

  • マラソンの名伯楽、小出監督の指導論。
    その肝は、ほめてその気にさせることだけど、それはあくまで表面上の話で、裏側には多様な人生経験がもたらす人間観察力と、選手へのたっぷりの愛情があることを思い知らされました。
    簡易な語り口で読みやすいですが、噛みしめるべき言葉を多く含んだ1冊。

  • 良いところを誉める、明るいチームが勝つ

  • 誉めて伸ばしたいとは思うんだけど、なかなかできないんだよねえ。それは俺の未熟さなのか。少しずつでも実践していきたいものだ。

  • 前向き思考である事が大事。
    どうやったら前向きになれるのか、その方法が知りたくなりますね。

  • 【印象に残った言葉】

    僕はどの子にも最善と思える指導を行ってきた自負が
    あるから、試合会場に入ったらもう、細かいことに思
    い悩んだりはしない。
    そして、試合の結果を待つ。
    僕はそれを長年、続けてきた。

    育成とは、人間を知ることだ。
    そして、「君ならできるよ」と信じてあげることだ。

    育成力は人間力。

    育成といっても、結局は人間同士の交流だ。1人の人
    間として、1人の人間に正面から向き合う。そこから
    生まれる信頼関係によって、相手に自信をつけさせた
    り、励ましたり、目標を持たせたりということができ
    る。

    ホメ上手と言われるくらいがいい。
    その子に能力を発揮させるには、自信を持たせること
    が重要となる。

    それはお前が悪いんじゃない。教えている小出が悪い
    んだ。お前が心配するのとはない。必ず伸びるからも
    うちょっと我慢してくれ。

    夢を叶えたい、というのは人生の原動力になる。

    好きだから、走る。本当にそれだけだ。
    たった一度の人生、好きなことをしないで死ぬなん
    て、嫌なんだ。
    僕は夢を諦めたことなんて、一度もない。まじめに追
    いかけていれば、夢は本当に実現するものだ。僕はそ
    う信じている。

    結局は踏み出してみるしか、ないのではないか。仕事
    だって同じ。会社だって同じだ。
    だから、臆病者であってはいけない。

    運はみんな平等に持っている。
    つかめる人は、「絶対にこの運をとらけて逃がさない
    ぞ」という気持ちが強い人。これだけは間違いなく言
    える。

    初めて会ったとき、心を開かせる言葉を出せないよう
    では、指導者として失格。

    育成とは、まず愛すること。
    長所を見出してあげること。
    明るく、のびのびとした環境をつくって、思いっきり
    頑張らせてあげること。

    マラソンは正直だ。トレーニングは嘘をつかない。そ
    して、マラソンには性格が出る。

    選手たちの性格に輝きがあると、監督も「この子を強
    くしてあげたいな」と思うようになる。言動でそれが
    わかる。そう思わせる性格の選手は、強くなってい
    く。

    Qちゃんはそういう選手の1人だった。何に対しても
    一生懸命で、素直だった。


    Qちゃん「お願いします、監督。私を強くして下さ
    い。給料も入りません。ご飯だけ食べれればいいで
    す。」

    子供たちに本当に大事なのは、いろいろな経験をさせ
    てやり、その中から一番やりたいこと、好きなことを
    めいいっぱおやらせてあげることだと思う。

    「Qちゃんな、ケガしたのはQちゃんのせいじゃな
    い。小出が悪いんだ。でも、もしこのケガを押し切っ
    て出場したら、オリンピックに勝てないよ。これをい
    い教訓にして、せっかくケガをしたんだから、これか
    ら気をつけようって思えばいいんだよ。」

    将来はモノになるぞって、勇気づけたかった。

    運が巡ってきたとき、しっかりとつかませてあげるの
    も、指導者の大事な仕事。

    並み外れた強靭な精神力。

    有森「みんなが一時間頑張るなら、私は二時間頑張れ
    ます。」

    俺の考えたこと。
    成功したのが選手の能力をならば、失敗したのは指導
    者のおかげ。

    やる気を引き出すきっかけは「言葉」だ。

    どんなことが起きても、「なんでもないよ」と思える
    心。

    朝はいつも、仏様に、お茶とごはんと線香をあげる。
    本当はやったってやらなくたって、関係ないんだけど
    ね。死んだ後はわからないんだけど、先祖から続いて
    いるものだから、いまは僕がやるんだ。

    明るくなれなかったら一流にはなれない。

    あのね、お前はいい経験をしたな。今は大変だと思う
    けど、お前はまだ今の年の倍以上生きるんだぞ。いま
    ここでもって、はっとして、最高のいい勉強をしてい
    るんだよ。

    人間は一日一食食えれば、生きていける。お前はそれ
    を経験したほうがいい。

    小出はなぁ、オリンピックでお前に今メダルをとらせ
    たいんだ。世界選手権よりオリンピックのほうが大き
    いんだよ。さつかくここで故障した。ここで無理し
    て、これ以上やだちゃうと、骨折してオリンピックは
    無理だったかもしれない。せっかく故障させてくれた
    んだから、次は気をつけろってことだから。
    指切り。

    人間はどんなことがあっても、人を恨んだりしてはい
    けないよ。恨むっていうのでは、決して自分が幸せに
    なれないよ。

    指導者というのは、選手よりも多く考えていなくては
    いけない。

    とくにマラソンっていうのは、何日か前にもう結果が
    決まっているものだ。そこまで一生懸命やることが大
    事なのだ。「もう優勝たな」っていうところまで、つ
    まり「もうやり残したことはない」というくらいまで
    仕上げておくことが大切になる。
    Qちゃんにも、試合の前に、
    「Qちゃん、もう勝負は決まっているんだよ。だから
    堂々としていな」と言ったことを、未だに覚えてい
    る。

    人生っていうのは、「自分はなんのために生まれて来
    たのか」っていう問いに、答えを出すための長い旅だ
    と思っている。そのうち、「何のため」の答えがより
    具体的になり、そのために一生懸命やっている。
    いつも「何のために生まれて来たのか」について考
    え、悔いのないように生きている。

    「あ、そうかぁ。そんなに儲かるの。だったら◯◯さ
    ん、あなたがやりなさい。あなたができないのなら、
    会社がやりなさい。小出はお金はいらないの。お金は
    儲けなくていいの。今ご飯食べるだけはあるの。だか
    ら、もういらないの。だから、あなたがやりなさい。
    あなたは儲かる、儲かるってすすめるけど、そんなの
    儲かったためしがなおんだぞ。結局はあなたが儲かる
    だけなんだから。

    カネがなくなったって、昔の貧乏時代に戻るだけだか
    ら、何も怖くはない。

    練習はつらい。だから、それをやっているだけで偉い
    と思う。

    お父さんお母さんの気持ちになって、選手に接してあ
    げている。

    やっているだけで立派で、本当に凄いこと。だから選
    手を粗末にしちゃいけない。

    指導者は、ふだんはバカを言ってもいいけど、イザと
    なったら、愛情が伝わらないとダメだ。

    人間は、足腰が立つうちは、頑張って、出来るだけ、
    動いておく。

    人間ってスキがあることも大事。

    女性は一途であるがゆえに、ある一点を超えるとかな
    り強い。

    死について達観できるからこそ、人生は楽しい。

    自信がつくと、人間っていうのは明るくなる。
    経験を積んでいくと、ゆとりができる。これも人間を
    明るくする。ゆとりと自信。

    かんっていうのは、知識があるから働くものだ。

    かんを働かせるために、指導者はマメでなければなら
    ない。
    知識や情報を日常的に仕入れている。それをさまざま
    な判断のときに、総動員している。それがかんがはた
    らくだ。
    かんというのは、一種の総合力。

    走ることには、感動がある。
    走るというのは、シンプルだから良い。

    人を助けて来た人は助けられる。

    教えられながら、教える力を身につけていった。

    負けたくないから自ら練習をやるようになった。


    闘争心こそ、何かを成し遂げる力。

    頼るべき人がいない。自分で研究するしかない。そう
    した環境で、いわば指導者としての第一歩を踏み出し
    ていった。
    今思うと、俺もそう。GKのとき。高校の球技大会
    の時。

    このときも、夢に近づいたという感じがずっとあっ
    た。

    早く出てくれ。そうでないと、おれ、死んじゃうか
    ら。四年も待てないよ。

  • ご存知、小出義雄さんが、高校教師やマラソンの監督として過ごした日々の中から

    マラソンだけに限らず、人を育成するための方法論を書き綴った本。

    小出監督の育成方法の特徴は「ほめること」「常に明るく振舞うこと」

    最近よく感じるのだが、ああしろ!こうしろ!という指導は

    単に自分に都合のいい様に考えているだけであって

    教えられる側のことを本気で考えているのではないということ。

    本当に教えようと思うのであれば、小出氏の指導のように

    自らが、心の中でやろうと思うこと、自信を持つようにすることなど

    一番大切なように感じるようになった。

    しかし、実際にその通りにできるようになるには訓練が必要であることも、感じている。

  • 小出監督による育成についての本。語り口がやわらかで、小出監督の話を聞いているかのよう。中身も、彼の「君ならできる」という言葉、「夢の実現」などの言葉がぴったりくるような内容で、やはり格言というのは経験から出てくるものなんだなあと思った。先日読んだ「走れ!セナ」にもあったように、やはり「やりたい」「したい」という気持ちが大事なんだと思った。私も、自信を持って、この仕事が好き、この生活が好き!と言って生きていきたい。

  • ★21子供のいないところではこの父親はろくなことをしてなかったらしい。ところが、子供の前では本を読んだり、勉強したりしていた。そして、子供がたまたま勉強の出来が悪かったりすると、「次に頑張ればいい、おまえだったらきっと出来るよ」と、いつも言ってくれたと言う。
    ●すばらしいね。正に親父の背中。背中で語る。
    ★38「せっかく」と言う言葉を大切にしている。
    ●人間万事塞翁が馬ってやつか。
    ★96知識や情報を日常的に仕入れている。それをさまざまな判断のときに総動員している。それが「勘が働く」だ。勘は一種の総合力なのではないか。
    ●そうゆうことなのか。勘だけを勘違いすると先天的なものを思ってしましそうだ。。

  • 小出監督の人間力、さすがですね。
    尊敬します。

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著者プロフィール

有森裕子、高橋尚子ら五輪メダリストを育てたマラソン指導の第一人者。1939年4月、千葉県生まれ。順天堂大学で箱根駅伝を3回走り、卒業後は教職に。86年、市立船橋高校で全国高校駅伝優勝。その後、実業団チームの監督を経て、2001年に佐倉アスリート倶楽部設立。

「2013年 『30キロ過ぎで一番速く走るマラソン サブ4・サブ3を達成する練習法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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