「この人、痴漢!」と言われたら: 冤罪はある日突然あなたを襲う (中公新書ラクレ 316)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121503169

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  • 数々の痴漢虚偽告訴や、片岡さんの高知県白バイ事故、志布志町選挙違反でっちあげ事件など、警察による証拠偽造・隠蔽、犯人捏造の例は枚挙にいとまがない。そんな犯人捏造事件の大量の事例と、警察、検察、裁判官が一体となって、無実の人を犯人に仕立て上げてしまう、構造的な組織欠陥について記述した一冊。

    数々の事例は興味深いが、単なる事例コレクションといった感じに終始してしまい、著作としての面白みは、あまりない。最後の「冤罪被害者にならないために」もあまり参考になるとは思わないので、星2つ。

    最も大切なことは、警察は市民の安全を守る組織ではなく、犯人を作り上げるための、恐しい機関だという認識を持つことだと思う。暴力団のような高圧的な取り調べ、脅しや騙しによる自白強要は、21世紀の現在も日常茶飯事で、犯罪捜査には怠慢どころか、捏造や偽造すら横行している。下手に犯罪捜査(聞き取りなど)に協力しようものなら、犯人にでっちあげられる可能性が高いので、警察は頼らず、助けず、近寄らず。「警察を見たら泥棒と思え」が、冤罪時代を生き抜く知恵だ。

    実際、本書に紹介されている浜田寿美男教授(「自白の心理学」は読んだ)の言葉にも、「警察を敵と思っている人は、なかなか落ちません」というアドバイスがある。警察と相対するときは、自分がその犯罪を犯したかどうかは一切関係なく、常に「警察は自分を犯人にでっちあげようとしている」という認識を持つことが大切だ。

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