理科系冷遇社会: 沈没する日本の科学技術 (中公新書ラクレ 366)
- 中央公論新社 (2010年10月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121503664
作品紹介・あらすじ
日本ではすでに良い技術者が足りていない。そして、基礎研究で米欧はもちろん、近々中国にも抜かれる情勢になっている。理科系の人が育ちにくい現状に鋭い分析を加えた警世の書。
感想・レビュー・書評
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親が理系出で長年嘆いていたのでちょっとキニナル。
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これまでの人生で理科系である自分が冷遇されていると言う自覚はなかったが、改めてそう言われてみると大学院2年分の余分な教育費と学生生活の自由時間を犠牲にして文系より報われたとは到底思えない。冷遇、なのかな。
30年以上前、我が母校の理数科は普通科より志願倍率が高く学力レベルも高かったが、最近はそれが逆転しているという。この状態を見ればさもありなん、か。
本書は日本の科学技術レベルがヤバい状態になっていることを延々と綴っているが、何故理系人材が冷遇されているのかについての考察はない。理系人材の産み出す価値が文系人材より低いのか、はたまた単に文系に搾取されているのか?どっちにしても自分自身の問題だよね。理系人間には何か決定的なものが足りないのかも。 -
社会
サイエンス -
もっともそうなことを言っているが、データを並べているだけで結論がない気がする。
中高生の理科・数学離れとポスドク問題、その先の研究開発の問題については述べているがその中間がない。
優れた研究者、技術者を増やすにはパイの大きさを大きくする必要がある。優れた人間はパイの一かけらなのだから、大きいパイがあるほどいいはずだ。が、著者が成功した理数系の人間であるために、ドロップアウトした理数系の人間のことに想像が回っていない気がする。
中高生を理系に向ければいいというだけでは済まない問題が日本には多すぎる。 -
日本の科学技術の現状を様々な観点から分析、欧米からの遅れを指摘している。ただ、今後の提言はその課題を個別に改善すべき、と並べただけで戦略的ものは無い。東アジアでの科学技術協力構想も、中国、韓国から相手にされるのか疑問。
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日本の科学技術の危機的な状況についての記述はよくある内容.
この手のデータをあまり見ていない人には良いかもしれない. -
難しかったけど、勉強になりました。
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ポスト・待遇の面で研究者は恵まれない。日本では競争的資金も少なく,透明性の担保されたテニュア・トラックもない。日本の科学技術を活性化するため,いろいろと改善の余地あり,という話。
文科系にひきかえ理科系は…という,文系との比較論ではなかった。確かに,文系も別に厚遇されてるわけではないな。 -
『基礎研究で米欧はもちろん、近々中国にも抜かれる情勢になっている。』この一文をはじめて読んだときは、ここまでひどいのか、と感じずにはいられませんでした。理系亡国を警告する本です。
僕はもともと理科系じゃないんで詳しいことはなんとも言える立場ではないんですが、少なくともこの本を読んでいる限りでは芳しい状態じゃないようですね。今、結構仕事でコンピューターを使っているので、こういう開発をするのも、理系の人たちだと思っていますんで、もうそろそろ無関心のままではいられないだろうと思って、ここに紹介することにしました。
日本の技術を根本から支えているのは彼理系出身の人間たちであるはずなのに、大学の授業だって文系の学生とは比べ物にならないくらいに猛勉強するはずなんですけどね。そうして、博士号までとっても報われないんですってさ。
事業仕分けのときに
「1番である必要はあるのですか?2番じゃダメなんですか?」
という名言のもとに理系関係の研究費用が相当削られたそうですが、一体どうなるんでしょうね。想像もつきません。いま、中国がこの分野でも確実に日本を追い上げているそうですが、経済に続いてこの分野でも日本は中国に水をあけられるのでしょうか?