未来型サバイバル音楽論―USTREAM、twitterは何を変えたのか (中公新書ラクレ)

  • 712人登録
  • 3.73評価
    • (32)
    • (98)
    • (63)
    • (9)
    • (2)
  • 77レビュー
  • 中央公論新社 (2010年11月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121503701

未来型サバイバル音楽論―USTREAM、twitterは何を変えたのか (中公新書ラクレ)の感想・レビュー・書評

  • 発売直前に、Twitter上で話題になった、津田大介氏と音楽プロデューサー・牧村憲一氏の共著。ソーシャルメディア時代における、これからの音楽の在り方について、まとめた貴重な一冊。

    音楽業界をテーマに描かれている書なのだが、人ごととは思えない業界は沢山ある。出版業界、TV業界、そして我が広告業界も・・・

    そのためこの本を読みながら、サバイバルのポイントを「ビジネスにおいてサバイブするために、どうあるべきなのか」という公の側面、「強大化しつつある個人のパワーを、どのように活用できるのか」という私の側面、双方から考えてみることにした。

    ◆本書で主張されているサバイバルのポイント
    ・一人1レーベル立ち上げよう。レーベル=音楽と限定せず、意思を持った人が連携しあうことで、新しい文化が作られていく。
    ・ipadに象徴されるように、映像、音楽、絵など様々なものが「文化があるべきところ」に回帰する時代。だから、発信する人たちは一人何役もすればいい。
    ・パターンを知る、研究する。過去のモノをきちんと伝承していくという考え方をした上で、それを深く追求するか、拒否するかが重要。
    ・いい役割をするミドルマン=ニューミドルマンの重要性は増してくる。
    ・何を目標にしているのか、どういうことを表現したいのか、今の時代において何がヴィヴィットなのかというところを押さえて、どう演出するのか、誰を連れてきたら面白いものができるのか、という視点で考えることがキーポイント。
    ・「場」をどう作っていくかということと、継続することが大事。
    ・コミュニケーションを売る、キャラクターやストーリーを打ち出して、パーソナルを消費してもらう、ということが求められている。
    ・常に情報が更新されていくリアルタイム感の中で、瞬間的に物事を決断し、即座に行動に移していくことが新しいプロデューサー像。
    ・自分の美意識にこだわること、投資すること、新しいアイディアを考えることに時間とエネルギーを惜しまないこと。

    初めは、ビジネスにおいて求められること、プライベートにおいて求められること、分けて抜き出してみたのだが、途中でそれは意味のないことであることに気がついた。全ての項目が、公私双方において”重要なこと”として、当てはまってしまうのだ。

    すなわち、この変化の時代において最も重要なことは、公私の境目をなくしていくということなのかもしれない。もはや、発信側と受信側という境目など無い時代なのだ。

    これをポジティブに捉えるか、ネガティブに捉えるか、どちらでも構わないが、自分の立ち位置を認識しておくこともまた、必要なことなのだろう。

  • 著者の両名が考えるソーシャル時代における、音楽ビジネス「未来型レーベル」への過去実例を踏まえた考察が大変面白かったです。

    ただ、発刊年数が2010年のため、今現在の音楽業界の実情とは食い違っている点はいくつかありますが、まさに一人一レーベルが実現できる時代とインフラが整ってきていると強く感じれます。

    自身も同様の業界に足を漬けている分、興味深く読了できました。

  • "今後生き残っていく音楽とは?"
    音楽ビジネスについては全然詳しくないが、この本を読めば音楽というコンテンツがどういう経路で世の中に出るのか、時代によってどう変化していったのかが理解できた。1人1レーベルという考え方はこれからの社会では当たり前になっていくのだろう。
    現にTwitter上でも大手事務所に所属せず、音楽で生計を立てている人をちらほら見かける。今後もそういう人はどんどん増えていくことだろう。
    自分が知らない分野の内容ですが、非常に読みやすくて内容も判りやすかった。思った以上に楽しめる一冊です。

  • 今までの音楽(ビジネス)の形を振り返りつつ、今はどうなっているのか、これからはどうなっていくのか、って話。
    これからは今までのように「所属」が何よりも有利で重要ということにはならない。
    個人の意思で、個人の意志で、道を切り開ける時代になってきてるんだなぁ。

    これは絶対に音楽に限らない話だと思う。
    わたしの未来にも少ーし明かりをともしてくれた一冊。
    腹を据えて柔軟に!

  • 80年代から10年代今日までの音楽ビジネスの変遷を語る。まつきあゆむ氏やDOMMUNEなどの活動を知る人には新しさはないが、今後の運動の起点になり得ると思う。

    新しさや奇抜な発想はないのだけど、これまでの流れを再確認することで見えてくるものはあるのだろうと思う。80年代の話にはあまり食指が動かなかったが、00年代からの流れは意外と忘れられていて、ナップスターとその周辺のムーブメントが歴史になりかけていることに気付いた。

    本文で著者の津田さんも言っているけど、「一人レーベル」という単語を掲げたのは、それを立ち上げることを勧めているのではなくて、単純化すると、一人「でも」できるよという、何か活動することの勧め。それと同時に、津田さんの意図は知らないけど、これはゲリラ戦の勧めなのだろうと思った。

    あれ、そう書いてから気づいたけど、本の名前はサバイバル音楽論じゃないか

    今の音楽ビジネスの状況を考える上では、主に著作権法や、レコード会社の異常、販売上の課題が考えるべき重要な問題だと思うに至った。

    そのうち、著作権法と販売上の課題は、前者は知ることが重要だと、後者は、土壌が整いつつあってかつ発展途上なので、議論と活動の必要があると言うにとどめて良いかと考えた。そう考えると、レコード会社(を始めとする緒環境)の問題や弊害の解決に向けた活動が必要だろうかと考えた。

    ちなみに、特別レコード会社の内情について詳しくもなければ、これまで注視してきた訳でもないので、あくまで感想として。それから、「音楽ビジネス」は、「音楽で金を稼ごう」というのではなく、「音楽享受の一連の運動を豊かにするための一連の活動」という意味として使っています。

    そこで考えたのは、レコード会社を始めとする緒環境によって音楽の享受が貧しくなる原因は、緒環境と製作者の不和、緒環境によって製作者が管理される状況ではないかということ。

    例えば、宇多田ヒカルの原盤権問題なんかは正にこれで、広く認知された問題ではあっても、これが解決すればという期待は十二分にある。

    管理から脱する方法として、より強い力をと考えるのは普通の流れだと思うけど、詳しくは知らないが、それはうまくいかなかったのだと思う。一人のアーティストが力を持ったとしてそれが上手く正しく活用されることはあまり期待できないし、力を集結しようという方法には、啓発に多大な労力が要る。

    そこで考えられる上策こそが、ゲリラ戦なのだと思う。そしてその方法が、「1人1レーベル」と、その勧めとしての「せっかく土壌が整いつつあるのに」という働きかけなのだと思う。

    ゲリラ戦によって成し得るのは環境の変化なので,その運動に対して応える他の運動が必要だと思う.それを行なうのは例えば,ゲリラ戦を展開・応援する若者だったり,ゲリラ戦を支援・協力する大人だったり,将来を担う子供たちの教育だったりする.

    ひとつ本書でほうと思ったのは,津田さんや牧村さんの年代の人は,物心がついたときから音楽を再生する環境があった訳ではないという話.自身もそうであったわけではないけど,これはあまり考えたことがなかった.今の子供たちは4,800円でiPod Shuffleを買うことができる.

    更に,音楽の情報を探すためにiPod touchを買うという選択肢もあれば,トランセンドの2000円ちょっとのMP3プレイヤーでも再生機器は再生機器だから,恵まれている.

    しかし逆に,僕らの世代に関しても,世の中の音楽再生事情が恵まれた状況になったことで,音楽はステータスとしての役割を失なったし,音楽は高いという意識になってきたんじゃないかと思う.贅沢品に逆戻り.

    「高いから」と言って音楽に興味を持たない人や,そういった人へ... 続きを読む

  • 日本に住んでる音楽ファンは一度読むべきだと思う

  • ビジネス視点というよりも文化として残したい二人の音楽好きの論だった。
    この手の本は 作り手などではない門外漢の方が書かれている場合がほとんどな気がしますが、著者の牧村さんが実際に細野さんのレコード会社や 渋谷系の渦中にあり、フリッパーズギターとCDを作っていた経験がおありで、生の経験が知れてよかった。
    Spotifyの登場以前の書籍なので、ストリーミングサービスについての記述がないので、まとまっていて読みやすいが、今は、この解釈では通用しないのでは?と疑問に思う点も多々あった。
    過去の構造をよく知ることが出来て、温故知新ができる。レコードからCDに移行したこの経緯は今の時代に反映できることが多々あると思った。
    音楽がビジネスとしての価値を失っていくので、本当に音楽に対する愛情の純度が必要なことを気付かせてくれた。
    個人的にレンタルショップが地方で生き残っている理由が気になっていたが、他の娯楽が無く、生で音楽と出会える体験に時間をかけることに地方の人間は価値を感じているのは私にも通じていたので納得できました。

  • 関係性がよりフラットにフリーになる、んだろう。

  • 音楽業界にもICTにも確かな見識、知識を有する著者らの音楽論は興味深かった。
    いくつものイノベーションにより音楽業界には相当な逆風が吹いてきたと同情すらしていたが、本書を読んでその考えは変わった。そもそもが”その筋の人”が暴利を貪っていた業界であり、むしろ現在は庶民のための健全な世界になってきただけとも言える。

  • 2010年の本ですが、書いてある内容が2014年にも当て嵌まったり、すでに古くなっていたり…。

    当て嵌まる方はさておいて、古くなっている部分があるという所で、昨今の音楽や情報機器、メディア関連の状況の変化が目まぐるしいことが実感できました。

    著作権に関しての説明が知りたい所がコンパクトにまとまっていて音楽を使用する人には便利です。

  • 2010年の発行で内容は古くなっているのだが、音楽業界の歴史と展望、あり方が対談形式で面白く書かれている。

    音楽業界に限らず、ビジネスのヒントが置かれている内容だった。

  • 面白かった。
    いろいろなアーティストの販促の具体例、今までのレーベルの話があってよかった。

  • 的確な分析で、レコードメーカーの人間としては耳の痛い話も多い。ただ、この本が出た二年前に予想されたほどにはTwitterやUstreamが劇的に音楽のありようを変えているかというと、そうでもない。考えるべき問題は相変わらず山積している。

  • 音楽業界の変化について、プロダクトの変化・ネット環境によるアーティストとリスナーのコミュニケーションの変容等の観点から論じた新書。感想としては、悲観的な報道が多い音楽業界について、まだまだ明るい未来を切り開ける可能性はあると感じた。

  • 音楽業界あと5年後の姿はどうなってるんだろうと考えさせられる。

  • 「未来型サバイバル音楽論ーUSTREAM,twitterは何をかえたのか/津田大輔・牧村憲一」
    津田大輔さんの「情報の呼吸法」がとても面白く、津田さんの虜になってしまい読んだ一冊。
    CDの売上が98年のピーク時6000億から09年2500億になった背景には何が起きたのか?から始まり、ライブシーン・日本音楽と欧米の音楽、CDレンタル、著作権、ソーシャルメディアを活用した事例、レーベルなどを含め、今後大手メジャーレコード会社に頼らず“一人レーベル”としてどのように食べていくのかが提唱されている。
    実際に似たようなモデルで稼いでいるミュージシャンも紹介されている。これからバンドマンとして稼いでいこうと思っている人は何かヒントがあるかもしれない。
    大量消費社会が終焉を迎える―ライブなどよりプリミティブな 音楽体験が注目されることは既に現時点で起こっている事実であり、 それによってCDなどが爆発的に消費されることが今後なくなっていくことは必須だ。
    多くの人に音楽を聞いてもらうためのプラットフォームは構築されている。DIYで音楽を販売するビジネスモデルもある。これからの音楽業界は明るい!

  • 発行から1年半余り経って目新しい話はあまりないが、総括的に読むには悪くはない。

  • 現状の問題点が網羅されている良書。レーベルの歴史をまとめた本は、ありそうでなかったので、価値があると思う。
    ただ、普通に問題意識を持っている人が読めば、何も発見は無いと思う。今、これを読んで、驚くことがあったら、自分の不勉強を恥じるべきじゃないかな。現状確認&頭の整理として読む価値はあるかも。

    音楽ビジネス書レビューはブログに書きました。
    http://yamabug.blogspot.com/2012/02/blog-post.html

  • タイトルに音楽論とありますが、音楽業界とその周辺産業の過去、現在と今後について論じています。アーティストとファン(消費者?)が直接コミュニケーションを取れる場が整った今、音楽業界がどう変わっていくか楽しみです。
    まずはDOMMUNEを視聴するのと、頑張っているアーティストをフォローしてみよう。

  • この本が出版されたのは、2010年11月なので、それからさらに音楽業界の状況は変化してるはずですが、興味深い内容が多かったです。

  •  メディアジャーナリストと音楽プロデューサーのコラボレーションを通じて、今後の音楽業界のあり方を考えていく試みのようだ。

     かつて音楽メジャーは、レコードやCDの売上と、著作権・著作隣接権の管理の仕組みを以って莫大な利益を得ていた。彼らがその仕組みを維持できた理由は、かつて音楽を消費者に届けるためには、レコーディング、プレス、流通、マーケティングなどに対する主にコスト面での参入障壁が高かったためだ。
     この仕組みも悪い面ばかりではなく、莫大な利益の一部を使って新人育成や、メジャー内の小レーベルの維持などを行っていた良い面もあり、一概に否定できることではなかった。しかし、バブルが崩壊しCDの売上が落ちていくに従って、この、暗黙の仕組みは崩壊し、利益を優先した音楽作りが業界の主流となってしまった。

     そうした中で、音楽メジャーは、CDや音源の販売だけでなく、ライブにおける物販や、コミュニティの運営による利権にその手を延ばしつつあるらしい。その一形態が、360度契約という考え方だ。
     これは、ライブ活動のコストを折半する代わりに、その音楽活動から得られる全ての利益も折半するという形態の契約だ。これからのアーティストは、こういった選択肢も含めて自身の音楽活動をデザインしていかなければならない。

     こういったやり方に馴染めない場合には、他の方法もある。インターネットの普及と、USTREAM、twitterの開発、収録機材のコモディティ化は、レコーディング、プレス、流通、マーケティングなどに対する参入障壁を格段に低くした。アーティストと周辺の少数で、音楽のための音楽作りをすることが可能な環境は整ってきつつある。
     だがこのやり方にも、まだまだ問題も多い。こうしたインターネットにおける音楽利用には、著作権、特に著作隣接権の管理の仕組みが出来上がっていないのが現状だ。このため、原盤権を侵害しかねない音楽利用には慎重にならざるを得ない。音楽を普及させたいという意志があっても、古いタイプの業界慣習がそれを邪魔しているのだ。

     著者それぞれの立場から、自身の経験などを交えつつ、今後の音楽業界のあり方を考えていくわけだが、現実はなかなか彼らの考えるように素直には進まないようだ。音楽がオイシイという考え方は廃れるといっても、現実を見れば、CDに付加価値をつけてひとりに何枚も売るというようなやり方が、ひとつの完成を見つつあるのだから。
     しかしツールの発達は、音楽を広めたい人間にとっての選択肢を増やしていることは間違いない。これを現実社会の仕組みに落とし込むまでの活動を誰がやっていくのかを、これからは考えていく必要がありそうだ。

  • ビジネスに使える考え方が落ちている。
    音楽業界(レーベル)側の語り口と考え方なので、広告業への直接のヒントにはならない。

  • 1970年代以降の音楽の歴史と、これからの音楽について考察した本。

    音楽はこれまで技術的な変化の影響を受け続けてきた。

    そもそも音楽とは、演奏の一瞬にだけ出現し、一瞬後には消える「瞬間芸術」であり、人の記憶に残るだけだった。
    それを保存可能にしたのは「楽譜」である。
    それ以降、レコード、CD、デジタル技術などにより、音楽は「保存」と「複製」の性能がどんどん高まり、現在に至る。

    本書でも論じられているように、音楽も美術も文学も医学も工作も、それらは元々は1つの「技=ラテン語でars(アルス)」であった。
    「ars」は英語の「art(芸術)」の語源でもある。

    例えば、レオナルド・ダ・ヴィンチは絵画、彫刻、土木建築、工学。医学といった分野で活動していたが、これらは当時にしてみれば1つ、あるいは近接した分野でしかなかった。

    しかし、それぞれの分野が高度化するにつれ、その「技=ars」は分業化、専門化していくことになる。
    音楽家と作家と芸術家が分かれ、さらに音楽家の中でも「作曲家」「演奏家」に分かれていく。
    その後、音楽は「作曲」「作詞」「編曲」「演奏」「著作権管理」「音源製作」「商品製造」「マーケティング」「流通」「小売」といった細かい分業体制の中で行われるビッグビジネスになった。
    しかし現在ではCDの売上はピーク時だった1990年代の半分以下まで現象し、かと言って音楽配信はそれを補うほど成長していない。

    一方で、ライブやグッズ販売は近年伸び続けているという。
    また、Twitter、Ustream、Youtubeなどのツールや、コンピュータによる音楽制作環境は、現在の分業体制から、「ars」へ回帰できる可能性を広げている。

    この傾向は、今後、音楽以外の「ars」にも同様に起こるだろう。

  • ① マネタイズの変化
    かつてのレコード会社は新人育成・レコーディング・CMとのタイアップによる広告などに投資しCDの売り上げにより利潤を得ていた。しかしデジタル化とコンテンツの多様化によりCD売り上げ市場が縮小化してきた現在ではレーベルも新しいビジネスモデルの構想が迫られている。筆者二人はライブ収入と物販収入に価値を見出している。特にTシャツなどは原価率が低く済むので、「高く、狭く」売るようなファンを囲い込むビジネスの行い方が今後優勢となってくるとみている。この閉鎖性とブランディングは相性が良く、どちらも未来型レーベルのキーとなる概念のようだ。またライブやフェスは年々市場規模を拡大している分野である。この状況下でレーベルが打ち出しているアーティスト活動の全てにレーベルが噛んでいくような経営戦略を360度契約という。
    しかしいかにライブ産業がこれから興隆していこうと、一定の観客数に満たない場合アーティストに補填させる「ノルマ制」などを採用しているライブハウスは淘汰されていくだろうと予見している。

    ② アーティストの個人発信
    ネット上に様々なプラットホームが生まれたことは間違いなくアーティストの個人発信を容易にした。アーティストは宣伝・販売を個人で行うことが可能になったためである。現在ではMySpaceなどのプラットホームで自身の曲をリスナーにストリーミング再生させ、購入するリスナーにはMP3でアーティストとリスナーが直接取引するといったかたちである。またユーストリームでライブの映像を中継されることも多くなってきた。これも新しいタイプの広告といえよう。このようにアーティストが自ら(あるいはごく小規模の協力者と)宣伝・販売などを手掛ける構想を筆者は「一人1レーベル」と呼んでいる。

    ③ 新時代の著作権
    DOMMUNEとはUstream上にあるライブ・ストリーミングとDJプレーのストリーミングを中心とする音楽コンテンツである。この番組のようなタイプでは多くの楽曲が番組内で使われえるため、事前に個々の著作権者に許可を得るのが難しい。よって現在DOMMUNEはいつ閉鎖されてもおかしくない状況で運営しているのが現状である。しかしこれがもし電波で放送されるコンテンツだとしたら状況はことなる。というのも電波上の放送には「著作権者に事前に許可をとる必要はなく、著作権者は放送の後に使用料を請求できるのみ」という特権が認められているからである。筆者は新時代の著作権はネット上でもやみくもに排他性を主張するのではなく、ゆるやかに権利を保持し宣伝としていかす必要があると結論づけている。

    前に読んだクリスアンダーソンの「フリー」から多くの問題認識のフレームワークを借用しているように感じた。そしてその予想は筆者が後半でロングテールという言葉を用いることで確信に変わった。ただフリーよりも日本の状況というものに寄り添って考察しており、ガラパゴス的な日本に固有の問題というのも多いものだと認識させられた

  • CDを買い続けてる自分からすると、CDが売れなくなったって実感は無いけど、いろんなデータを見ると、今の音楽業界の厳しさがつぶさにわかった。

全77件中 1 - 25件を表示

未来型サバイバル音楽論―USTREAM、twitterは何を変えたのか (中公新書ラクレ)に関連する談話室の質問

未来型サバイバル音楽論―USTREAM、twitterは何を変えたのか (中公新書ラクレ)を本棚に「いま読んでる」で登録しているひと

未来型サバイバル音楽論―USTREAM、twitterは何を変えたのか (中公新書ラクレ)の作品紹介

CDが売れない音楽業界、ライブ・フェスの盛況、双方向のコミュニケーションで生まれる音楽など、多岐にわたり徹底討論。アーティストが自由に発信できる時代の、音楽のあり方とは?全てのジャンルが溶解しつつある今だからこそ問われるべき「未来型レーベル」の構想。

未来型サバイバル音楽論―USTREAM、twitterは何を変えたのか (中公新書ラクレ)はこんな本です

未来型サバイバル音楽論―USTREAM、twitterは何を変えたのか (中公新書ラクレ)のKindle版

ツイートする