灘中 奇跡の国語教室 - 橋本武の超スロー・リーディング (中公新書ラクレ)

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著者 : 黒岩祐治
  • 中央公論新社 (2011年8月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121503947

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灘中 奇跡の国語教室 - 橋本武の超スロー・リーディング (中公新書ラクレ)の感想・レビュー・書評

  • 「恩師の条件」の増訂復刊.「銀の匙」を中学3年間をかけて読む授業の紹介.伊藤氏貴「奇跡の教室」が授業自体の紹介に関して物足りないので,実際にその授業を受けた著者によるこの本は貴重.
    授業の内容を知るには一章から三章までを読めば良い.簡単に言えば,銀の匙の基本的な読解をするとともに,文章に出てきたことからその背景にある日本の文化や歴史を掘り下げていく授業ということ.準備には膨大な時間がかかるし,調べた知識を自分のものにして,生徒に伝えるにもまた努力と時間がかかる.その上,生徒には本を読んで書く宿題を頻繁に出し,それにすべて目を通すというのだから,頭が下がる.
    しかし,よく考えれば,ある一つのテキストから,派生した問題を掘り下げていくというのはまさに学問の王道なのである.王道を歩く,あるいはそれに導くには,とんでもない忍耐が必要なので,普通学校ではやれないし,やらないだけ.それが灘中のハイレベルな生徒たちを背景に実現しているということだろう.最近は,このように本を深く読み込むのは大学ですら難しくなっているように思われる.

  • こういう授業受けてみたかった。
    銀の匙、気になったらとことん脱線する

  • 著者の黒岩祐治さんの緊急医療に対する仕事は、素晴らしいし、そのわずか2年で恩師の命を救うなどという運命的な巡り合わせも特筆に値する、が、本人が運命、また運命と騒ぎ立てるのは、いささか品がない。前書きを読んで、残念な気持ちになった。牽強付会である。彼の医療に対する貢献が素晴らしかったという事実を示すに過ぎない。落ち着きなさい、大人になりなさい、師匠を超えて行きなさい。

  • 兵庫県で生まれ育った自分にとって、灘中は雲の上の存在だった。目指すことすらはばかられて、そこに入った児とか出ようもんなら、物凄い騒ぎになっていた気がする。これ読んでて、名門たる理由の断片が垣間見えた気がした。国語って、特に才能に負う部分が大きくて、努力とか学習ではどうにもならん印象が強いけど、こういう授業を受けたら、本当の意味での地力みたいなのが養われるだろうと思う。でもおそらく、エリート集団だからこそ成り立っているのも確かで、ピンきり全員に対して教科書なし、ってのはあり得ん話だろうけど。国語の学び方として、これもひとつの選択肢だろうとは思いました。

  • 多少売れっ子らしい著者が自意識全開で、国語教育を受けた自分をアピールしているが、このような無様な取り上げ方をされる橋本氏に同情します
    著者のジャーナリストや文筆家としての能力は疑い様もないほどの酷さであるが、プロフィールには地方自治体の首長をしているようなことが書いてある

  • こういう先生が灘中高に居たんだなぁ…という印象を覚えただけでした。
    逆に、最後に書かれていたゆとり教育に対する考え方の方が印象に残りました。

  • 一冊の本を三年間かけて読み込む。
    作中に出てきた単語や、表現、気になることがあれば徹底的に調べ、横道に大きくそれながら学んでいく。
    まさに知るを楽しむといった授業。
    とても面白そうな授業です。
    私も学生の頃、こんな授業を受けたかった、と思います。

    また、先生自身が学ぶことが好きで、凝り性で、そして子供が好きなのでしょうね。
    全力でぶつかってきてくれる先生なら、生徒だって本気で向かい合うのではないでしょうか。
    やる気なく教科書を読むだけの先生を尊敬することはできませんから。
    橋本先生のような先生が各学校に一人でもいれば、そしてその先生のやり方をおおらかに見守れる環境があれば、生徒にとって学校は魅力的な場所になるのかもしれません。

  • 灘中は優秀な生徒の集合体だと思っていましたが、優秀な先生あってこそなのでしょう。尊敬できる先生との出会いは一生の宝ですね。

  • 以前から興味を持っていたけど、感心できる内容。その場しのぎの対策は「その時の」本人たちにとっては甘美だが、人生はその後も続いていくわけで。橋本先生のような一見本筋からそれているような、遠回りのような授業が結局「国語」の本筋なので。教科書ガイドをただ読むだけのような全く意味のない現代文、現代語訳を読むだけの古典の時間はもういらない。一見何の役にも立たなそうに思えても、教師の情念は必ず生徒に伝わる。「すぐ役立つことはすぐ役立たなくなる」

  • 「灘中 奇跡の国語教室」
    橋本武の伝説の授業は、中勘助「銀の匙」一冊を中学3年間かけて読み込む。


    遠藤周作、東大総長、多くの医師などを育てたこと、灘の東大合格日本一に貢献したこと、この2つだけでも十分に凄いし、単純にただただ尊敬の念。しかし、この2つ以上にインパクトが大きいのは、橋本氏の教育への情熱と姿勢です。


    例えば、授業の本質を含みながら、現在注目されているような「楽しみながら授業を行う」ということを「銀の匙」1冊を用いて、数10年前から実施していたこと、それを灘という日本No.1の中学校で貫いたことも勿論だけど、ガリ版での教材作製(草仮名もつくっちゃうw)に関しては、本当に凄いし、著者の黒岩氏も述べているけど、それはそれは感動するだろうと思います。一体どれだけの時間と労力を要することか・・・。


    現代の教師からすれば、どうして受験に関係ないガリ版刷りの草仮名教材を作ったりしたのか、理解出来ないかも知れないし、それは無駄なことに思えるかも知れない。そんな無駄なことに対して、黒岩氏は次のように述べています。


    「草仮名の読む方は忘れても、自分の趣味だと言いながら先生が鬼気迫る勢いでガリ版刷りに明け暮れたその思いは、私の記憶の中に残り、自分の血となっている。「銀の匙研究ノート」を始めとするガリ版刷り教材にかけた天文学的な先生の熱情は、今の私の中である種のエネルギーに形を変えて燃え続けている」


    つまり、黒岩氏にとっては、橋本先生の授業は無駄なものでは無かったということ。また、忘れてはならないことは、橋本先生の授業が、初めて東大合格数日本一を達成するという最大限の結果を出したということです。王道というか一般的な教育の本道からそれた橋本流で結果が出たことで、結果を出すには、必ずしも本道に沿わなくても良いと分かった、周りが認め出した。何より橋本流は、横道にそれているようでも、日本の教育の本質を抑えている、それが受験に勝つことに繋がる可能性があると分かった。この2つは、橋本流の授業が灘中で続く上でとても大きかったのではないかと思いました。


    でも、一番は、橋本先生の授業を通じて、生徒達が国語の楽しみを知ったこと。教育の本質は、常に如何に楽しむかかも知れません。現在も日本一にいる灘で、橋本流の国語授業が行われて来たことは、とても大きく、教育を考える良い機会ではないでしょうか。


    近年、橋本先生が行った授業に参加出来た生徒達は、ラッキーですよね。

  • 巷で評判のスローリーディング。

    公立では、現代では、絶対無理なやり方です。
    でも、「こんなの無理だって」と読み流してはいけない。
    だって、橋本先生の根底にある教師としての情熱は、
    たとえ方法が違えども我々国語教師が持たねばならないものだから。

  • 自分で読みたいと思って読んだ本ではないのだけれど、面白かった。
    何にでも興味を持ったものを、すぐに役立たせようなんて思わずに、深く追求していくと、どんな立場であっても、生きていくことがとても面白くなるものだと思う。その究極をやったような、名門校の先生のお話。

  • 先週は算数の勉強をしたので(「零の発見」)、国語の授業。灘中の国語教師橋本武氏のユニークな教育を紹介した一冊。教え子である神奈川県知事黒岩祐治氏による授業風景や先生との思い出話だが、どうやら、その授業によりフォーカスした「奇跡の教室 エチ先生と『銀の匙』の子どもたち」(小学館)のほうを読んだほうが良さそうだ。本書の内容も、印象的なのは、橋本先生の言葉や、巻末にある橋本先生による<特別授業>と題された、8つの教えに集約されている。
    とりあえず、本書にて、「銀の匙」という一冊の小説をスローリーディングで読み通し、「銀の匙」を通じてさまざまな方向に派生する物事に疑問を持ち、発想し、自ら解決することを学ぶ姿勢を教える橋本先生の教育論に触れられたのは良かった。
    ”国語はすべての教科の基本。「学ぶ力の背骨なんです。”という橋本先生の言葉には、傍線、二重丸を付けて、蛍光ペンでマークして付箋紙も貼っておきたいくらい激しく同意。

  • 文部省検定の教科書を使用せず、中勘輔助の「銀の匙」を使って国語の授業をしたという灘中。
    大学の受験を考えた時、このような授業で普通(?)の高校生が大学の試験問題が解けるのだろうか?
    このことからも秀才が集ってくる灘中だからできた授業であろうと思われる。
    しかし、「橋本武先生」の授業にかける意気込み・熱意はすごいものだと感じた。
    「すぐ役立つことは、すぐ役立たなくなる」・・なるほど、
    「遊ぶと学ぶは同じこと」・・・、なるほど、いい言葉が多く並んでいる。

  • 『銀の匙』(中勘助)をゆっくりじっくり読みたくなりました。

  • この本は買おうかな。勉強になる。

    灘中の橋本先生を知ったきっかけは…
    「Z会の中学準備講座」に昨年3月に家の長女が通った時です。
    講座が終了して、テストの結果を渡す時には、親を呼んで各教科の担当の先生が授業の様子などを説明し、その後、先生と親が個別に面談して子どもの進路などの相談をします。
    国語の先生が、娘も「一番良かった」と、言っていましたが、国語や教育にたいする思いを語って下さいました。その時、灘中の橋本先生は中学の3年間、中勘助「銀の匙」を深く読みといて授業をされたと話されていました。その先生の求める教育もそういう方向なのかなと、とても期待でき、また、この先生に教えて頂きたいと思いました。
    残念ながら、この先生は娘が通える教室の専属ではなく、都内の教室がメインらしく、通常授業は持たないとのことで、通っていませんが…。
    その時から、気になっていて、先日、この本の存在を知り、図書館にリクエスト。素晴らしい授業ですね。私も受けてみたい。

  • 進学校ならではというか、脱線して横に広げていく授業というのは知的好奇心の強い生徒相手だから成功するのだろう。これが他の学校だったら、学びに繋げていくのは困難だ。

  • 2012 4/3読了。Amazonで購入。
    非常勤先の先生からおすすめいただいた本。
    著者は灘校出身の神奈川県知事。
    同校で50年間、国語の教鞭をとった「伝説の国語教師」橋本武氏の、教科書を一切使わず、中勘助『銀の匙』とその自作の研究ノート(学生用教材)だけで3年間授業を行う、というスタイルを紹介する。

    紹介されているのは小説に出てきた事物を授業中で実際に経験してみたり、ちょっとした表現からどんどん脇にそれつつ文化・教養を深めていくスタイルの授業で、なるほどこの深度で小説を1冊読み通そうと思ったら、それは3年かかるわ、と納得した。
    規定の教科書を使わず自身で選んだ小説とそこから作っていた教材だけから教育を行う、というスタイルは中高(灘校は一貫性)の教員というより大学教員のようにも見える。その点でも大変参考になる。

    ただ、紹介されている橋本先生が大変優れている一方で、教え子であった著者自身によるプロローグやところどころに挟まれる現代教育批判は、いかにも紋切り型ではっきり言って安っぽい。その分で星1つ減。
    内容が優れているのだから判で押したような批判で煽ったりしなくても良いだろうと思うのだけど、そうも言っていられないのが現代の出版事情であろうか。
    もとは『恩師の条件』というタイトルで出されていた本の加筆・修正リメイク版であるとのことだが、新書化にあたって足されたまえがきはだいぶ毛色が違って落ち着いた感じになっているのは、あるいは「売れる」ことがわかったので必要以上に煽る必要がなくなったからなのかもしれない、とか思ったり。

  • 【恩師】
    灘中で50年間教鞭をとられた国語の先生の話です。

    文部省検定の教科書を一切使用せず、自作の教科書を使用し、結果的に東大合格日本一を達成しています。自作教科書の内容がいいか悪いかはよくわかりませんが、先生の情熱を感じます。その情熱が生徒たちにも伝わり、すばらしい結果をもたらしているのでしょう。

    この本を読みながら、小学校から大学までの先生を思い浮かべていきました。小学校の先生はかなり思い出すことができましたが、高校時代になると担任の先生すら思い出すことができません。なんと悲しいことか。
    思い返すとわたしには「恩師」と呼べる人がいません。これは、良い先生にめぐり逢わなかったというだけではなく、わたしの先生との接し方に問題があるのかも知れません。良い先生なのに、気づこうとしなかったこともあるのでしょう。結局、教わりベタな人間になってしまいました。(←今からでも遅くない恩師を見つけよう!)

  • スロー・リーディング本を読みたくて手に取った。
    例に挙げられていたのは、中学3年間を通じて1冊の本を読みこむ
    灘校国語教師の試み。
    選ばれた素材が、夏目漱石がきれいな日本語であると絶賛した「銀の匙」。
    そう言われただけで、今度声を出して読んでみたいと思う。
    これを教材に、様々に脱線発展させて授業を展開するらしく、
    この教師橋本先生の瑞々しい感性が、随所に感じられた。
    また、中学・高校の課題に古典の原文を出しており、これらを読みこむ
    力が出来るというのだから関心した。
    個展は、現代語訳されたものしか理解できない自分ががっかりするだが、
    それを橋本先生の生徒達は中高生の頃にクリアしているのだから、
    素晴らしい。
    英語もろくに身に付かなかったのであるから、せめて日本語位は
    自信を持って使いたいのであるが、それでも古典原文には、そうそう
    手が出せまい。すごい。
    いつか先生の「源氏物語」を読んでみたい。
    http://www.kes.co.jp/adcom/genji/index.html

  • 素晴らしい内容だった。灘という学校が非人間的な詰め込みではなかったことを知ったのも新鮮だったし、本当の知性を育てる教育についても描かれている。英語にも通じるものがある。ラストで、クライアントさんのフリースクールの母体のことにも触れられていて意外な驚きと可能性を感じた。

  • 橋本先生は6年かけて1冊の本を教えた。その内容は広範囲に及び、密度も濃いものだった。先生の準備は並大抵のものではなかったと思うが、時間のかかるガリバン刷りも「仕事だと割が合わない」と趣味にしてしまったそうで頭が下がる。
    「偏見を打破するだけの実質をそなえていれば、どんなことを言われても笑ってすませられよう」とは恐れ入った。周りの評価だけに右往左往しがちな自分の目を覚ましてくれた言葉だった。
    「書くことも技術であり習慣である以上、実践を措いて上達の道はない」。一つの分野を好きでただ突き詰めていくその人生は本当に穢れがなくてすばらしい。

  • 私には恩師と言えるような先生はいない。
    昔使った教科書や文集なども残っていない。
    どんな授業を受けたか、記憶も怪しい。
    きっとそんな人は少なからずいるのではないか。

    著者は恩師橋本先生の教材や文集を大事に持ち、
    そこから授業内容を思い出し、
    恐らくその記憶を同級生と共有することが出来る。
    自分の先生で一冊の本を書いてしまうのだから、凄い。

    灘高の6年教師持ち上がりという特徴を生かし、
    橋本先生は銀の匙を教材に三年間の超スローリーディングをする。
    駄菓子屋さんが出てくれば、和菓子を買ってきて皆で食べ比べ、
    凧揚げが出てくれば美術授業を巻き込んで凧を作る。
    何より、コピーが無い時代に、ガリ版で教材を手作りする情熱が素晴らしい。

    授業で横道にそれる勇気と想像力。
    知ることの楽しみ、喜びを三年間のスローリーディングで伝える授業。
    こんな授業を受けてみたいと思わせる一冊。

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灘中 奇跡の国語教室 - 橋本武の超スロー・リーディング (中公新書ラクレ)の作品紹介

橋本武の伝説の授業は、中勘助『銀の匙』一冊を中学3年間かけて読み込む。遠藤周作、東大総長、多くの医師などを育て、灘校の「東大合格日本一」に貢献。教え子が教育の本質を問う。

灘中 奇跡の国語教室 - 橋本武の超スロー・リーディング (中公新書ラクレ)はこんな本です

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