グローバル化時代の大学論1 - アメリカの大学・ニッポンの大学 - TA、シラバス、授業評価 (中公新書ラクレ 429 グローバル化時代の大学論 1)
- 中央公論新社 (2012年9月6日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
- / ISBN・EAN: 9784121504296
感想・レビュー・書評
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米国と日本とでは大学の仕組みがだいぶ異なるのだという。確かに「米国の大学は入学するのは簡単だが卒業するのが難しい,それに対して日本では入学しさえすれば卒業は簡単だ」などということ耳にすることも多い。本書は,英国の大学に籍を置く教育社会学者による,TA(ティーチング・アシスタント)制度,シラバス及び授業評価,入学者選抜制度などの視点から書かれた日米大学比較論である。
ところで,本書は20年前に出版された同名の著書の新書版である。新書化にあたって元の著書の一部が削除され,替わりに一章及び各章末の新書版付記が追加された。しかし本書の内容は現在でも十分に読むに値する。例えば日米の大学教育を比較した第5章では,米国の大学において小規模クラスやTAによる手助け,また授業内容の詳細を伝えるシラバスが重要だと考えられている背景として,米国における学力問題があると指摘している。「それに対しアメリカでは、(・・・)学生の学力の分散は日本以上に大きい。」「したがって、(・・・)さまざまな教育上の工夫がどうしても必要となる。」(214頁)。しかし,ここで述べられている米国の大学が置かれた状況はまさに今の日本の大学のそれと同様のものであると言えるだろう。とすれば,本書が示す(当時の)米国大学における様々な教育制度は,現在の日本の大学制度にとっても参考になる点が多くあるに違いない。
このように本書の内容は古さを感じさせない。大学教育に関心を持つすべてのひとに強くおすすめできる本である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
教育社会学者の苅谷さんが、かなり若い頃、まだ日本の大学で教える前にアメリカの大学で働いた経験などを書いた本。
年代はかなり前だけど、今も読める。
折に触れ、日本のモデルとして出てくるアメリカの大学。
そこから導入された制度も多いが、その起源や運用実態、大学を取り巻く社会・文化などを知ることができる。
おもしろい。
いずれブログで書評を書く。
——以下、Twitter。アドレスは2023/09/13以降
読了本。苅谷 剛彦「グローバル化時代の大学論1 - アメリカの大学・ニッポンの大学 - TA、シラバス、授業評価 (中公新書ラクレ)」 https://amzn.to/3Z0w4qA 氏が若手の頃に書かれた、アメリカの大学についての本。アメリカの教壇に立った話、TAの役割などについて。おもしろい #hrw #book #2023b -
1992年に書かれた日米の高校・大学教育比較についての本を2012年に新書化したもの。20年間の経過による補足もある。