文部科学省 - 「三流官庁」の知られざる素顔 (中公新書ラクレ 476)

著者 :
  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121504760

作品紹介・あらすじ

「脱ゆとり」「英語教育」等と騒がれるたびバッシングされる文部科学省は"三流官庁"とされてきた。本当のところ、どんな組織で、何をめざしているのか?日教組、PTA、教育委員会、文教族等との関係は?"ミスター文部省"が体験をもとに、教育行政の知られざる世界を解明する。

感想・レビュー・書評

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  • 森絵都さんの「みかづき」の中で、塾関係者が文部省(当時、現文科省)をボロカスに言うので、当の文部省目線ではどうなんだろう?と思って当時現役官僚の著者の本を読む読んでみた。

    「三流官庁」と表題作にあるので、自己批判的な内容かと思いきや、カッコがついているだけあって、実際は逆で、「三流と言われるが当事者は頑張ってるんです」という自己弁護と自己組織愛に満ちた内容で、残念な方向への想定外だった。

    教育を受ける子供側目線での記述が殆どなく、「文科省大丈夫か?」と心配になった。かといって、塾側の主張に賛同してるわけでもないが。。

    教育って奥が深い。自分自身大した教育を受けたつもりはないが、かといって権力側の洗脳を受けた感もなく、ある程度子供の本能で胡散臭い教育とそうでない教育は見分けがつくのかな思う。

  • 筆者の驕りが酷い一冊。
    国立大学との人事交流に関して、プロパー職員の視点が完全に欠落している。
    天下り人事や御殿女中を正当化するのに必死。読む価値なし。

  • 文部科学省-「三流官庁」の知られざる素顔。寺脇研先生の著書。文部科学省の不祥事が続いていることをきっかけに読みました。文部科学省は「三流官庁」と呼ばれているという自覚が文部科学省職員や文部科学省関係者にあるからこそ、組織の一部の人間が嫉妬やコンプレックスから不適切な形で権限を振りかざす、傲慢な言動をする、高飛車な態度をとる、それが一般社会から見ると非常識で理解不能な不祥事の発生につながる。もしかしたらそういう面があるのではと邪推してしまいました。

  • 積ん読解消シリーズ

    自らの職の上の上に位置する文部科学省について学ぶのもいいかなぁと思い手に取ってずっと積ん読していた一冊。

    文部省から続く文部科学省が担ってきた日本の教育行政の在り方を俯瞰することで、今までの教育に起きてきた変化や今後の教育に向けた展望を垣間見られる内容だった。

    面白い!っていう内容ではないけど、学校教育に関わる人なら読んでおいていいかも。

  • 最近、文部科学省と仕事することが多いので、タイトルに惹かれて読んでみました。自称「文部科学省」評論家の寺脇さん。文科省の歴史がとてもよく分かりました。文科省の歴史を頭に入れておくと、科学技術政策を考えていく上でも、見える視点が変わってきます。

  • 「ミスター文部省」と言われた元文部官僚の著者による、文部科学省の紹介本。
    文部科学省の沿革(現業官庁から政策官庁への歩み)、文部科学省と政治との関わり、キャリアとノンキャリアの関係など、多角的に文部科学省について解説されており、普段あまり知らない世界を知れたという点で勉強になった。国立大学と文部科学省の関係、文部科学省の家族的一体感、大臣への忠実さなどのエピソードが面白かった。ただ、著者もあとがきで言っているが、内輪だからゆえに文部科学省が美化されすぎているような側面は否定できない気がした。

  • この手の本はこんなもの。

  • 2014/12/25-2015/01/02
    ①「土曜授業」が学校6日制の先鋒としてあるのではなく、臨教審答申の20数年後にやっと辿り着いた「生涯学習社会の創成」の一里塚である。
    ②サブタイトルの《「三流官庁」の知られざる素顔》と読みながら、テレビ朝日の《芸能人格付けチェック》を見ていた。切り口をどこにするかで一流芸能人が三流芸能人になる。

  • とりあえず著者の「文部省」愛は伝わってきた。
    中の人から見た戦後教育政策史として、わかりやすいのではないかと思う。
    官庁って、「キャリア」「ノンキャリア」にきっちり区別があるんだなぁと改めて感じた。

  • 教育と医学では著者の舌鋒は鋭く感じるが,この本では出身官庁へのノスタルジーもあるのか文科省の特徴を温かく書いているような気がする。副題が「三流官庁」の知られざる素顔となっているので,対象のネガティブな内容を予想するが,実際は文科省が政策官庁への変化をなしとげ,着実に成果を上げていること,そして外的環境内的環境の変化に応じてうまくいったケースとうまくいっていないケースの紹介が中心である。続編として教育再生実行会議・中央教育審議会を期待したい。

  • 元文部科学省職員による文部科学省論。文科省の沿革や省内の組織論などについて詳細に論じられている。文科省を知りたい方にとっては必読の書。

  • 公務員志望の学生、若手の公務員におすすめです。

  • 国立大学職員にとっての文部科学省と学内教員との関係、90年代初頭の教養部の廃止など、関係者と話して疑問だったことが筆者の経験と考えから、なるほどそうだったのかと思う点が多い。副題の「知られざる素顔」のとおりで、大学職員にはおすすめの1冊。

  • 教育行政の仕組みが著者の視点でわかりやすく解説されていました。特に「国家教育委員会」と中教審を重ねた視点は秀逸だと思います。

  • 著者の文科省の風土に対する愛情が滲み出ている本といえる。当然ともいえる文部科学省と国立大学の関係を痛いほど知ることができた。国立大は「『家族的』」に様々な施策でかわいがられている。国立大学はいくつものゲタを履かせられているので、家族が痛い目に会うことは絶対に放置しない。

    他方、私立大学が同じ土俵でまとも勝負してもかなわないことは歴然となる。しかしここからが頭の使いどころなのだなと思う次第。

    ただ著者のいう「夜の酒」(p.153)や、カラオケとタンバリンの時代はいつまで続くのだろうか。また、休憩時間や終業後の行事(p.184)もたいへんそうだ。終業後の残業は残業手当頭打ち(いくら残業しても予算の範囲内しか支給されない)でサービス残業なのに、皆遅くまで働いていた(p.184)という状況も過酷さが伝わってくる。

  • 誰もが小学生や中学生であったゆえに、常に注目が集まる教育に関わるあれこれの話。文科省の仕事は手広く仕事量も多いであろうし、政策から実行に向けて働きかける先の多いこと。小中高大、生涯学習といった全国民が対象になる施策をいつも抱えている。だけど、家庭的な雰囲気の職場で、現場の教育関係機関からの出向者は割合に多い。文科省自身が教育関係現場や人材のつながりを大事にし、日々勤務しているのだなと分かり、その他いろいろなこぼれ話も含め面白かったです。

  • 28年奉職した古巣ということで,かなり贔屓目に書かれてる。戦前からの歴史に簡単に触れた後,在職中に経験した改革が詳しい。日教組や教育委員会との関係や,臨教審に基づく事業メンテナンス官庁から政策官庁への脱皮,2001年1月の科技庁との統合による変化などが現場の雰囲気を交えて描かれる。
    後半は,ちょっと鼻につく。あまり読者の共感を得られそうにない文科省の「吏道」とか伝統とかキャリアとノンキャリの連帯とかの記述が続く。「三流官庁」,「御殿女中」と言われてきた僻みからなのか,文部省絶賛といった感じ。統合による職場文化の変容を寂しく思っているようだ。著者くらいの年代だと,そんなものかもしれないが,いくらなんでも,というのもあった。ノンキャリが定時に帰る他省庁とは違い,文部省ではノンキャリもキャリアと一体となって残業し,プライベートでも一緒に遊び,一緒に飲んでいたとか自慢されてもね…。いい思い出がいっぱいあったのかもしれないけど,ちょっと不見識でしょう。

  • 斜め読み。文部科学省(旧文部省含む)の歴史や成り立ちについての本。第2期安倍政権の教育政策や、最近の教育改革の取り組み、大分県豊後高田市などの土曜日授業についても少しだけ言及している。

  • 一応、教育行政学科を出て、文部官僚を目指す道もなくはなかったので、読んでみた。個人的には、昔、学校の民営化の議論があったというのが面白かった。その是非はともかく、教育・学習においていかに民間を取り入れるかが大きなポイントだと思う。

  • 変に扇動的でない分共感できるし、素直に、「あっ、そうだったんだ」だと頷ける点も多い。

    官僚の仕事の進め方、考え方も著者の記す通りなら、至極真っ当であると思う。
    ただ、今の日本の現状を見ると違うのかな?文科省を美化してなければいいが・・・

    教育行政を俯瞰するにはいい本。

    安部さんの教育改革に違和感を覚える自分としては、今こそ、違う立場で、発言できる寺脇氏に期待したいところもある。

  • “文部省のスポークスマン”、“ミスター文部省”と呼ばれた寺脇氏が予想以上に穏やかに文科省を説明してる本。
    「ガラパゴス官庁」
    「マルブン一家の家風」
    「キャリアとノンキャリ」
    など、昔3年間旧庁舎で働かせてもらった者として興味深く読めた。
    「穏やかに」と書いたのは、随所で寺脇氏がホントに文部省・文科省のことが好きだったんだなぁと感じたから。
    そして、今の文科省は決して「三流官庁」ではないと思った。

  • 想像以上に面白かった。本人も書いている通り、いささか美談めいた部分が多かったが、それでも「戦後の文部行政の中心で生き抜いた人の記録」として、十分に新たな視座を与えてくれた。
    驚くべきは、その網羅性だろう。文教族、天下り、日教組、教育委員会、審議会、省庁再編などなど、気になるテーマが目白押しであり、さらには文部省内部からの視点という、余り語られない視覚から論じられる。
    共時的にも通時的にも網羅的な議論で、たいへん勉強になった。そして予想より分量が重かった笑。

  • 「そうだったのか」とはじめて知ったことも多く、本当に自分は勉強不足だなあと思いました。

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著者プロフィール

1952年福岡市生まれ。映画プロデューサー、映画評論家、落語評論家、京都造形芸術大学客員教授。東京大学法学部卒業。1975年文部省(当時)入省。初等中等教育局職業教育課長、広島県教育委員会教育長、高等教育局医学教育課長、生涯学習局生涯学習振興課長、大臣官房審議官、文化庁文化部長を歴任。2006年退官。著書に『国家の教育支配がすすむ 〈ミスター文部省〉に見えること』(青灯社)、『危ない「道徳教科書」』(宝島社)他多数。

「2022年 『教育鼎談 子どもたちの未来のために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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