新・地政学 - 「第三次世界大戦」を読み解く (中公新書ラクレ 549)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121505491

作品紹介・あらすじ

テロ、IS、難民、米露、イラン、日中韓関係…混迷をきわめる世界情勢。「歴史学の泰斗」と「インテリジェンスの第一人者」が潮流を読み解くための「羅針盤」を示す。豊かな世界史の教養と、外交現場を知り尽くしたリアリティーにもとづき、日本の針路と、真のリーダー像を問う一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 冷戦はイデオロギーとブロックの対立だったが、新冷戦は民主主義と自由経済という価値を共有する陣営と拒否する陣営の対立である。
    ISは、プレモダンとモダンとポストモダンが共存しているため、複雑に感じる。
    北極海航路が開かれれば、津軽海峡や宗谷海峡がチョークポイントになりうる。

  • こういう本って、日々情勢が変わるので古びてしまい読む価値が無くなるみたいな気もするが、全くそんなことはない。

    今の世界情勢が当時とどう変わってるか自分には判断する力はないが、佐藤、山内両氏の歴史に対する根本的な捉え方が、諸々の分析を古びさせない。要するに、今でもその見方は十分に通用するではないかと感じた。

  • 地政学はやっぱり面白い。ランド&シーパワーの歴史を活かすことができない現在において、今後どうなっていくのか気になる。

  • 2016年、安部談話が出た当時に出た本だ。時勢については、変化があるといえばあるし、そのまんまといえばそう見えなくもない。今読み終えるのは、古いかといえば、今に至る社会情勢の進展を知る手がかりという意味はあるんじゃないだろうか。面白かったしね。

    一番面白かったのは最後の章、世界史のリーダー論だ。このあたりは、情勢に関係なく読める。チャーチルの評価が高く、それに対して東条英機は低い。その根拠は、歴史や文学への造詣の深さに基づく、洞察力や知性だ。以前読んだ保阪正康著『昭和の怪物』の中で、東条英機は文学など読まなかったと、側近の軍人から証言されている。「われわれ軍人は、小説を読むなんて軟派なことに関心を盛ったら、軍人なんか務まらないよ。」と。その証言は佐藤氏も山内氏も知らないだろうけど、それでも行動からわかるものだよね。

    だからといって、小説や歴史を知っていたら、仕事ができるかといったら、またちがう話になりそうだけど。

  • 【由来】


    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

  • やはり地政学って大事

  • 2016

  • あんま地政学関係ないような・・・。ただ最近の政治情勢については勉強になりました。

  • 「あー、自分は地政学が一番好きなんだな」と実感する一冊。対話形式で世界を読む鍵が随所に散りばめられている。グローバリズムとナショナリズムは常に揺れていて、今はナショナリズムに戻ってきていることが実感できる。

  • エコノミストの『2050年の世界』、フリードマンの『100年予想』をここのところ読んできた。
    フリードマンの方はまだレビューにまとめてないが…。
    日本については両者の見解が大きく異なるのに驚いた。
    依って立つ理論の違いによるのだろう。
    エコノミストは人口動態学、フリードマンは地政学だ。

    最近地政学をタイトルに謳う本が多い。
    その一冊として、本書を手にしたというわけで。

    で、本書は必ずしも未来予想の本ではないが、フリードマンと共通する認識もあった。
    例えばポーランドの評価。
    地勢的にヨーロッパの中で重要な位置にあり、大国とみるべきだ、と。
    ショパンの繊細なイメージと結びついて、ソ連・ロシアとドイツに蹂躙されたかわいそうな国、という日本人によくある認識とはかなり異なる。
    北極海航路の話は、エコノミストの方でも触れられていた話だったが、本書では日本への影響にも少し触れられていたところもあり、津軽海峡や宗谷海峡が今後地政学的に重要になる、とか。

    それ以外でも、驚いたこともある。
    まず難民問題。
    シリアなどの難民が、ドイツのNGO、NPOにより突然片道航空券を持って押し寄せる事態が起こりかねないという。
    労働力不足が解消される? いやいや、全く受け入れ態勢が整わないまま事態が進み、大混乱が起きるのだろうな。

    シーパワーが変わらず力を持ち続けるという話を読むと、中国がなぜ今海洋進出を焦って進めているのかが腑に落ちる。

    沖ノ鳥島問題というのも、びっくり。
    海洋法条約では限りなく「岩」に近いため、中国の南沙諸島問題のカードにされかねないのだそうだ。

    エネルギー問題についても、考えさせられる。
    民需であれ、軍需であれ、飛行機、ロケットは石油でしか飛ばせない。
    石油は今後、戦略物資として温存させられる国とそれができない国に分かれていく。
    日本もエネルギーミックスで原発を積極的に考えよ、というのだが…。
    これはどうなのか。
    数十年後の戦争と、一億年先までの地球環境とをどう考えていくのがいいのだろう。

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著者プロフィール

一九四七(昭和二二)年札幌に生まれる。
現在、東京大学大学院総合文化研究科教授、学術博士。中東調査会理事。
最新著書として、『岩波イスラーム辞典』(共編著、岩波書店)、『歴史の作法』(文春新書)、『帝国と国民』(岩波書店)、『歴史のなかのイラク戦争』(NTT出版)など。

「2004年 『イラク戦争データブック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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