人生を変える勇気 - 踏み出せない時のアドラー心理学 (中公新書ラクレ 557)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121505576

感想・レビュー・書評

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  • 2018年11月6日読了。日本のアドラー心理学の第一人者による一問一答形式での、青年~老年の様々な葛藤に答える本。アドラー心理学の本を何冊か読んできて、これは「受け入れる準備のある人」にとっては強烈に魅力があり生きる勇気がわく哲学だが、ひとたび体調を崩すなどして現状維持すら難しくなったときにそこから這い上がるためには、周囲は「勇気づけする」「支援する用意があることを伝える」ことしかできない、と思わされる…。まあ、後ろの話も結局「他者の人生に関わることはできない」という厳しい話の現れであり、そこが「厳しいが優しい」とこの心理学が感じられるあたりなのだろうか。「可能性に生きる」とは手厳しい言葉、自分もそこに安住せず、課題があるのであればその解決に向けて摩擦を恐れず踏み出す人生を生きたいもの。

  • 岸見一郎先生による悩み相談の回答。

    私が一番参考になったのはこちら。
    私の場合、相手は夫ではないのですが、しばしばこういう経験をするので、今後役にたちそうです。

    Q「夫がつらい過去の話ばかりする。ことあるごとに延々と。そんなときどんな返事をすればいいのか。『辛かったね』といえば『おまえにはわからない』と返されてしまう」

    A「たずねてみるのが一番安全
    『あなたはどんなふうに答えてほしいの』
    というように。
    『話をきいてほしい』と言われたら話をきけばいいのだし、『助言してほしい』と言われたら助言すればいい。
    助言してほしいといわれる可能性は少ないし、もっと助言してほしいといわれても困るが。
    『辛かったね』と返すと、これまでの人生は本当につらいことばかりだったと本当に思うようになる。
    助言できなくても『大変な人生だったかもしれないけど、人生を勇気をもって切り抜けてきたと思う』というようなことを話せたらいいと思う。
    『つらい過去の出来事ではない話をきいてみたい』と言ってもいい。また、過去の話ではなく、他愛もない話をするのも楽しいことに気付いてほしいので、話題をかえる努力をしてもいいだろう。
    夫がつらい話をするのは屈折した承認欲求であり、今なにかの問題があるのだろう。
    また、今、彼が直面する問題については、あなたにできることはないけれど、『あなたはそのままでいい』と伝えることはできる。」

    それ以外にも、大事なところをメモ。

    ●理解することと賛成することは違う。自分とは違う考えを持った人を理解する、あるいは理解しようとすることは、必ずしもその人の考えに賛成するということではない。

    ●大人になるということは次の三つ。
    ➀自分が決めなければならないことを、自分で決められる→決められないのは、うまくいかなかったときに責任を他の人に転嫁したいからだ
    ②自分の価値を自分で決められる→人からの評価や承認を拠り所にする人は他者に依存している
    ③自己中心的な考えから脱却している→自分は決して自分が所属する共同体の中心にいるのではない

    ●生きる喜びや幸福は人との関係の中からしか得ることはできない

    ●対人関係のトラブルは人の課題に踏み込むこと、踏み込まれることから起こる。

    ●自分にできないことはできないと割り切る

  • 【概要】
    アドラー心理学の第一人者の岸見一郎先生が個別の66の質問に回答する形式の本。
    個別では短いが、事例別だったりするので、具体的に自分や誰かを想像しながら読み進められる。

    【評価】
    59点(アドラーの難しい本の合間)
    【共有したい内容】
    ・大人になるということは
    「自分が決めなければならないことを自分で決める」
    「自分の価値を自分で決められる」
    「自己中心的な考えから脱却できている」
    ・「怒りは人と人とを引き離す感情」
    ・「対人関係の中に入っていく勇気は自分に価値があると思える時だけもてる」
    ・「どんな時に価値があると思えるかといえば、自分が貢献していると感じられるとき」
    【悪いところ】
    質問に対しての回答が薄いので、実際に何かで解決したいってなったら、それで大丈夫か?ということになってしまう。
    【どういう時に役に立つか】
    自分の考えを整理したいとき
    アドラー心理学での具体的な事例の対応を知りたいとき
    【ターゲット】
    入社2年目以降
    マネジメント層
    経営者
    【自由記述】
    岸見先生の一問一答形式であり、他のアドラー関係の本の補完くらいで読むのがちょうどいい。
    似たような本もあるけど、改めて読むといい気付きがありそう。
    というのも事例の数が多いから。

    【合わせて読みたい】
    嫌われる勇気
    困った時のアドラー心理学

  • この本を読むとアドラー心理学への誤解が深まると思います。アドラーが言ってないことも書いてありますね。人生相談したい人には読む価値があるかも知れませんが、アドラー心理学について知りたい方は別の本をオススメします。なお、アドラー心理学は、「建前と本音」があり同調圧力の強い日本社会とは馴染みづらいと思います(逆にハッキリ言うアメリカ社会には馴染みやすい?)し、この本通り実践して、人間関係のトラブルが増えてしまい余計に抑うつ的になる事も多いかと思います。あるいは、嫌われる勇気と言いつつ本当に嫌われてしまい、自分も他人も不幸になる危険性を孕んでいます。あまり間に受けず、生き方の一つの選択肢程度の認識で良いかと思います。

  • 「自分の課題」と「相手の課題」をしっかり分離すること。相手がどう思っても、自分の気持ちに正直になって行動する!!その結果として、相手がどう感じるのかは相手の課題なのだから

  • 嫌われる勇気と比べてしまうと物足りない。

    寄せられた悩みを対し、アドラーでお馴染みの岸見が答えていく。

    悩みは、似たような事を抱えている人もいるだろうなと思うものが結構多い。

    読んでみて、自分もそうだと思えるものがあるのではないでしょうか。

    その答えで新たな視点を持つことが出来たり、解決になれば良いかと思います。

    一番印象に残ったのは、可能性の中に生きる事を止めるという話。

    悩んでいるのは決断しないから。
    決断しないのは、可能性の中に生きたいから。
    可能性に生きるのをやめて、飛び込めば結果が見える。
    結果が見えて力及ばない事があれば、努力して知識を身につければいい。

    あー、本当に真っ当すぎて心が痛い。

    そうなんだよな。
    そろそろ決断しようか。

  • ★★★★★
    「その最終的な責任を誰が引き受けなければならないか」を考えたら、それが誰の「課題」かが分かります。

    アドラー研究で有名な著者による人生相談。
    「お気持ち」で意見するタイプの人にとっては冷たいとも感じられる内容だが、板挟みになりがちな人にとっては気が楽になる一冊。

    <アンダーライン>
    ★★★★★
    どんな決断をしても必ず後悔する

    ★★★★★
    助けを求められない人は自分にしか関心がない

    ★★★★★
    私は悪くないかもしれない、と思おう

    ★★★★★
    責任が全て自分にあると考える人は実は支配的な人

    ★★★★★
    共同体感覚の英訳(Social Interest)から分かるように「他者への関心」という意味

    ★★★★★
    自分が生きていることにこそ価値がある

    ★★★★★
    自分にできないことはできないと割り切る

  • アドラー心理学の考え方を知る入門書、身に付けるための練習の本としてよい。
    本書は、質問者の問いに、著者が答えるという形で構成されている、若者のなやみ、子育ての悩み、老年期の悩みなど、大きなジャンルごとに別けられているが、どのジャンルについて答えてるときも一貫してアドラー心理学の考え方が使われている、なので私的にはアドラー心理学的な考え方を知れるので自分に馴染みのないジャンルのQ&Aも読むべきだとおもう。
    アドラー心理学について書いた本書はただの自己啓発本ではなく、著者が実際に現場で使って行くなかで洗練された、読めば納得できる論理が詰めこまれているほんである、耳ざわりのいいだけの言葉を並べた自己啓発本を100冊読むより、この本を1冊読むべきだと思う、タイトルの通り人生が変わるきっかけになりうる本だと思う。

  • 可能性の中に生きようとしない、現実を生きる。
    自分で決める。
    愛する能力、愛されようとばかりしない、自分から愛することを。

  • 中古本屋でゲット♪
    久しぶりにアドラーの本~
    ウンウンと頷きながら、『嫌われる勇気』本の内容を思い出しながら読めた。

    とても良かったですよ

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著者プロフィール

1956年生まれ。共著書に『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)、訳書にプラトン『ティマイオス/クリティアス』(白澤社)ほか。

「2020年 『自然と精神/出会いと決断』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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