ゴリラは戦わない (中公新書ラクレ)

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  • 中央公論新社 (2017年2月8日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121505750

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ゴリラは戦わない (中公新書ラクレ)の感想・レビュー・書評

  • 冒頭の、山際寿一による「ゴリラの学校」という章に、ぐっと心をつかまれて、あとは一気に読んだ。山際寿一は、動物園は「野性の窓」であり、「超スマート社会の到来で、人間が自然と離れていくのを食い止めてくれる」役割を持つと書いている。人間が野生動物から学ぶことはたくさんあり、「野性を失った時、動物園も人間も進化の歴史から切り離されたただの人工物に成り下がってしまう」とあるのが深く心に響いた。

    動物をよく知ることは、すなわち、人間について知ること。人間が他の動物と際だって違うのはどういう点なのか。また、本来自然の一部である人間が、いかに自然から隔たってしまっているか。あれこれ思い巡らせずにはいられない。

    本書の帯には「ゴリラから幸せな生き方を学ぶ」と、なんというか結構呑気な感じのことが書いてあるが、対談の雰囲気とはちょっと違う。ゴリラやサルをはじめとした動物についての話題が中心ではあるけれど、旭山動物園前園長の小菅氏が、今後の動物園の新たな展開について意気盛んに語り、山際氏は現代社会のありようについて危機感をにじませて発言する。かなり「硬派」な一冊だ。

    このお二人が初めて顔を合わせた、三十年前の学会の話が印象的だった。動物園での観察に基づいた小菅氏の発表に対して、たった一人だけ、真剣に受け止め声をかけて励ましてくれたのが、若き山際氏だったそうだ。やっぱり山際寿一はたいしたもんだ。少し前、ある式典で山際氏のスピーチをきく機会があったが、まったく格式張ったところがなく、妙に媚びてくだけた感じでもなく、訥々と、淡々と語っていて、本当にエライ先生ってこうだよなあとしみじみ思ったのを思い出した。

  • 京都大学総長の山極寿一先生と旭山動物園の小菅正夫前園長の対談集、たまたまFBで見かけて手に取りました。

    面白い本でした。副題に「平和主義、家族愛、楽天的」とあるのですが、ゴリラの生態を言いあらわしており、とても学ぶことが多いと感じました。「対等であること」「背中で語る」「子どものために生きる」など、特に人間の大人と言われる人たちには大切なことを語りかけていると思いました。

    また動物園について様々な工夫や飼育員との関係性など、込められた願いや意図を知ることができました。相手にどう伝えるか、自然や文化を守ることの意味を考えさせられました。

    地球温暖化など自然環境の危機が叫ばれて久しい中、手を打たないと大変なことになってしまいます。地球規模で考えること、知恵や工夫が私たちに求めれます。

    文量も多くないので、すぐに読めますよ。お勧めです。

  • 京大総長の霊長類学者と旭山動物園の元園長の対談。
    ゴリラの人となり?は面白い。どんな動物でも自分たちの種族内でそれなりに充実したコミュニケーション手段を持っているけれど、ゴリラと人間はいとこみたいなもんだから、それなりに通じる。新しい餌をもらうと自分で食う前に飼育員に食わしてみるとか、ゴリラ同士で喧嘩して怪我すると飼育員に助けを求め、傷を見せてくれるとか。で、飼育員のほうも繁殖を成功させるためにダイエットさせるとゴリラがひもじがるのでもうイヤだ! と怒るとか。犬と人間とはまた違う、異種族間の友情。

    ただ、話はだんだん説教臭くなってくる。ゴリラを見習えと言われてもなあ。ふーん、と思うところもあるのだが、イヤミに「おフランスでは~」と言われているような気分になって、素直に読めなかった。まあ、このへんは気分の問題なので、謙虚に読んだほうが得だろう。

    実は本書で「動物園是か非か」みたいな議論を期待していたのだが、そういう話にはならなかった。ちらりと「動物園に反対する人たちは~」みたいな話が出て来る程度。

    ぼくは動物が好きなので、自分が動物園が好きだと思い込もうとしていた。でも、つまらなそうにぼーっと立っている象や、狭い檻の中で虚ろな目で見物客を眺めているトラやライオンを見ると居心地が悪くなる。で、ふと気づいた。ぼくは後ろめたいのだ。実は旭山動物園にも行ったことがあるが、印象はたいして変わらなかった。
    水族館も同じ。丸い目の魚たちは楽しそうなので見ている方も楽しいが、ペンギンやアザラシは大丈夫なんだろうか。シャチやイルカについては、本を何冊か読んで彼らの豊かな生活史を知ってから、イルカショーのそばに寄る気がしなくなった。

    動物園のスタイルにもよると思う。自然への窓として動物園の果たす役割は大きいという言い分もわかる。でもぼくが象やゴリラだったら、二度と出られない檻の中で、冷暖房完備、三食昼寝つき、お抱え医師つきで一生ぼーっと暮らすより、雨に晒され風に吹かれて、腹が減ったり怖かったりしてもいいから、どこかの山や草原で、太く短く生きたいと思うのではなかろうか。
    せっかくの元園長なのだから、その辺の話が聞きたかった。

    原生林や大海原の只中にあって、人間のほうが檻の中に入って、偵察に来る動物を眺められる動物園や水族館があったら、ちょくちょく行くんだがな。芸達者な人間を集めて「人間ショー」をやって、面白がった動物が集まってきたら楽しい。それがあるべき形という気もする。

  • 2017.3.11
    前に、『ロボットの心』という本を読んだ時にも思ったが、人間ではないものを知ることによって、反照的に人間とは何かということがわかる、ということはある。この本もその点で面白い内容が書かれていたなと思う。
    個人的には「負けない」という思想が一番、ナルボドナーと思った。負けないとは、勝つということではない。勝つか負けるか、という二項対立ではなく、それを超えた意味での「負けない」がある。これはいろんなところで活かせる考え方だなと思った。
    ゴリラ、かっこいいです。

  • ゴリラが知ってる幸せの生き方とは何? 平和主義、家族愛、楽天的人生…。人間がいつのまにか忘れた人生観を思い出そう! 京都大学総長の山極寿一先生と旭山動物園の小菅正夫前園長の異色の対論集。AI化する現代社会の中で生きる人間社会に一石を投じる一冊!

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ゴリラは戦わない (中公新書ラクレ)の作品紹介

ゴリラの世界は、誰にも負けず、誰にも勝たない平和な社会。石橋を叩いても渡らない慎重な性格で、家族を愛し、仲間を敬い、楽天的に生きる。人間がいつのまにか忘れてしまった人生観を思い出させてくれる「ゴリラ的生き方」とは何か?京都大学総長と旭山動物園前園長が、ゴリラの魅力について存分に語り合った話題の一冊!

ゴリラは戦わない (中公新書ラクレ)はこんな本です

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