エセ- (1) (中公クラシックス W 23)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (456ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121600387

感想・レビュー・書評

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  • 考えることに対しての一助となる。

  • 細かく親切丁寧に記事の数々に惚れ惚れします。

  • 大学でフランス文学を教えている友人は岩波文庫の原訳を奨めてくれたが、全巻通読する気力のない評者は抄訳である荒木訳を「世界の名著」シリーズで読んだ。同じ荒木訳でもこの中公クラシックス版の特徴は、原著の配列を大幅に組換えて、各々のエセーを内容によって「人間とはなにか」「思考と表現」「社会と世界」に大括りして三巻構成とした点である。元々必ずしも体系的に順序立てて書かれた本でもないので、読者の関心領域に応じて読めるという意味では納得の編集方針だ。

    第一巻「人間とはなにか」では「経験について」の章がとりわけ含蓄深い。自然が与えてくれたものをあるがままに受け入れ、自己を正しく楽しむことを説いたモンテーニュのユマニストぶりを端的に表す一節を引用しよう。「われわれは大変なばかだ。『彼はその生涯を何もしないで送ってしまった』とか、『わたしは、今日何もしなかった』などと言う。何だというのだ。あなたは生きたのではなかったか。それこそ、あなたの仕事のうちで、根本となるだけでなく、もっとも輝かしいものなのだ。」原著では「経験について」は全巻の最終章にあるため、この名文にたどり着く前に本を投げ出す読者も多いのではないか。だとすれば惜しい限りである。

  • 中公クラシックス
    モンテーニュ 「 エセー Ⅰ 」
    編集訳者 荒木昭太郎 

    人間主義や個人主義のテキストという感じ。思想というより 判断基準。体系化された理論書というより具体的事例集。凄い本だと思う。


    モンテーニュの生き方は「中庸を保ち、限度を守り、自然に従う」に集約されている。国家、宗教、大衆社会に毒されない生き方、ストレスに潰されない生き方を知ることができる


    名言の宝庫
    「人間というのは、おどろくほど空虚な、多様な、変動する存在だ。これについて、一貫した、一体となった判断をたてることはむずかしい」

    「死ぬことは、生きることに劣らず、われわれの存在の一部なのだ」

    友情について「いつかはその人を憎まなければならないものとして、その人を愛し、いつかはその人を愛さなければならないものとして、その人を憎め」

    「欠点を避けることは、ひとを欠陥へと導く」

    Ⅲの「むなしさについて」同様にⅠの「経験について」は 名文であり、モンテーニュの結論だと思う


    経験について
    「全体で正しいことをしようとすれば、細部で間違ったことをしなければならなくなる。大きな問題で正義
    を貫こうとすれば、小さな問題で不正を犯さなければならなくなる」

    「法律が信用されるのは、それが正しいからでなくそれが法律だから」

    「生き方は、屈折の自由な柔軟なものでないと〜一個だけの特別な性格のものになってしまう」

    「避けることのできないものは耐え忍ぶよう学ばなければならない〜いろいろな良いこと、悪いことを混ぜあわせることができなければならない」

    「死はいたるところで、われわれの生と混じり合い、絡み合っている」


  • 哲学は、死を学ぶため…
    今のところ、死はあらがえない代物です。
    しかも意図しないところから、死の扉は
    開いてしまうことがありますので。

    この本には、今だからこそ
    覚えておきたいことがいっぱいあります。
    それは怒りに関して。

    SNSをみると
    人は怒りすぎですよね。
    そんなにSNSを見ないといけないのかなぁ。

    ここに書いてある言葉は
    「怒りは適切に使うべし」ということ。
    つまりむやみに利用すれば
    逆効果なわけですよ。

    それと、死に関して。
    無駄に恐れてはいけないこと。
    それは、すぐにやってくるから。

  • 名言が雪崩のように並んでいて心地よい。

  • どんなに素晴らしいこと言っても女性差別の言説があっただけで一瞬で読む気が失せる。それはつまりレッテル付けして例外を封じ込めて、それらの精神性をさらに低くしている張本人であるという自覚がないという思考の脆弱性を感じるからである。それが21世紀。モンテーニュ、時々いい言葉もあるけど、マラーノにしては弱者への視線が足りなすぎるな、と気づくなど。別の翻訳本ではもしかすると該当箇所は修正されていたのかもしれない。

  • 我々の幸福は死後でなければ、判断してはいけない

  • 養老孟司さんご推薦のモンテーニュさんの本。
    3年ほど前に挑戦して挫折。再度のアタックである。
    「病気になっても医者に診てもらわない。健康に悪いから。」とか養老さんと同じことを言われている。モンテーニュさんのほうがずいぶん昔の人だから、養老さんがモンテーニュさんと同じことを言われているといううべきか…

    モンテーニュさんはご自分でも書かれているようにとても恵まれていらっしゃったようだ。そこそこ健康で感受性にも優れ、ずいぶんたくさんの本を読みこなせるほどに脳のクロック数が高くメモリーも十分に大きかったようである。そうそう、もちろん身分も高く財産もお持ちであったようだ。つまりニーチェさんが言われるような強い人だったのだと思った。

    しかも、いつも弱い人々を守ろうとされた。こういう方を徳が高い人と呼ぶのだろうと思った。立派な人を目の当たりにすると通常は身の縮こまる小心者のわたしなのであるが、モンテーニュさんの書きぶりが偉そうなのに、それはちっとも偉そうではないのは信じがたいことだがそういう稀な事態というのも起こるのだなぁ~

    もしかすると、わたしが入院してちょっと死にかけたからモンテーニュさんが言われていることを身に沁みさせることができるようになったのかもしれない。こんなわたしでも多少は成熟しているのかな…そうだといいけど。

    Mahalo

  • 日刊いとい新聞(07年)紹介著書の中の1冊

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著者プロフィール

1533―1592。16世紀フランスを代表する思想家、モラリスト。現実の人間、事象を洞察し、人間の生き方を、長短さまざまな〈随想〉を通して探求した主著『随想録』は、フランスのみならず、世界各国に影響を与えた不朽の名著としてあまりにも名高い。

「2014年 『モンテーニュ随想録』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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