葉隠 1 (中公クラシックス J 29)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (323ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121600905

作品紹介・あらすじ

佐賀藩二代藩主鍋島光茂に仕えた山本常朝は、光茂没後、出家し、隠棲してしまう。そうした常朝を隠棲先に訪ね、談話を聞き取り編集したのは、藩主の祐筆を務めた田代陣基である。宝永7年(1710年)より六年半にわたって収録された談話は、武士は戦闘者であるという戦国の遺風の落とし子と自己規定し、同時にしたたかな奉公人であらねばならないとする武士道論を説く。また、さまざまな教訓、古人の遺訓、佐賀藩の歴史、人物評など多岐にわたり、近世の地方武士のもつ多様な文化性を示す。泰平の時代を生きた武士の処世と知恵の宝庫である。

感想・レビュー・書評

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  • 思索

  • 【展示用コメント】
     武士もつらいよ。

    【北大蔵書目録へのリンク】
    https://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/opac_details.cgi?lang=0&amode=11&place=&bibid=2001671111&key=B151608109223194&start=1&srmode=0&srmode=0#

  • ・武士道と言ふは死ぬことと見つけたり
    ・一人の知恵は突き立てる木のごとし
    ・義より上に道はあるなり
    ・大事の思案は軽くすべし
    ・人に勝つ道は知らず、我に勝つ道を知りたり(柳生)
    ・紅涙の出る程に徹する処、則ち神に通ずる
    ・おかしくもないのに作り笑いをする人は、男なら心の汚い奴で、女なら淫乱である
    ・話をするときは相手の目を見ながら話をする。
    ・朝は四時に起きて毎日行水をし、髪を整え、日のでの頃に食事をし、日がくれたら休まれた
    ・大事なことは、今の今を一心不乱に念じていきること
    ・初めより思ひはまりて濡るる時、心に苦しみなし
    ・過って改むるに憚ることなかれ
    ・盛衰で人の善悪ははかれない、時の運
    ・死に物狂いになっている武士は数十人が寄ってたかってもこれを殺すことが難しい。正気では大仕事はできない
    ・大変時に出会ったときには喜び勇んで進んで行くべきである
    ・武士は万事に注意して少しでも人におくれをとらないようにすべきだ
    ・こうと決めた武道の意気地を心にしっかりといだいて、少しも迷わないように覚悟をしていると、いざというときにまっさきに選び出されることに決まっている
    ・七息思案。よい思案も長くかかっては腐ってしまう。何事につけても、手間がかかって遅いのは、十のうち七つはよくないことだ。気持ちがふらふらしているときは、よい思案はでない。よどみなく、爽やかできりっとしまった気持ちのときは、七つ呼吸をする間によい思案がまとまるものである
    ・七度浪人しないものは本当の奉公人とは言えぬ。七転び八起きだ。
    ・一命を捨てる気で申し上げれば、十分にご理解が頂けるものだ。生半可に申し上げるから、主君のお気持ちに逆らい、言い出した途中で打ち負かされて、引き退がってくる連中ばかりということになる
    ・何事も不可能ということはない。一念発起すれば天地をも貫く。不甲斐ないからそれを思いたたないのだ。天地をも揺り動かすというのは、ただ心がけ一つの問題。

  • 今でも通じる人生の作法が書かれている。

  • 人生の古典。昔の江戸時代でも今の社会でも「宮仕え」というのは大変なものだ。

  • わりと普通の教えから豪快な考え方まで。

  • 有名な武士道の指南書ですが、戦闘とは縁のないサラリーマンの処世訓の本として読んでも感じるところが多かったです。

    「死ぬことと見つけたり」という言葉だけが独り歩きしている感じの葉隠ですが、内容は日常的なものが多く、決して過激な印象はありません。
    むしろ、本書の意外なまでの「優しさ」と西洋では決して出てこない日本的な発想にハッとさせられました。

  • [ 内容 ]
    佐賀藩二代藩主鍋島光茂に仕えた山本常朝は、光茂没後、出家し、隠棲してしまう。
    そうした常朝を隠棲先に訪ね、談話を聞き取り編集したのは、藩主の祐筆を務めた田代陣基である。
    宝永7年(1710年)より六年半にわたって収録された談話は、武士は戦闘者であるという戦国の遺風の落とし子と自己規定し、同時にしたたかな奉公人であらねばならないとする武士道論を説く。
    また、さまざまな教訓、古人の遺訓、佐賀藩の歴史、人物評など多岐にわたり、近世の地方武士のもつ多様な文化性を示す。
    泰平の時代を生きた武士の処世と知恵の宝庫である。

    [ 目次 ]


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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 「武士道といふは、死ぬ事と見付けたり」江戸時代中期(1710~1716)に、肥前国鍋島藩(佐賀藩)藩士山本常朝の談話を田代陣基が筆録した書・『葉隠』の現代語訳。全二巻のうちの一冊目。

    * * *

    『葉隠』を読むのならお勧めの一冊。岩波の『葉隠』は文字が小さく現代語訳と言っても現代人にはほぼ古語みたいな文体なので、こちらの方が良いだろう。
    ただ、元の『葉隠』から不必要な個所は省いている箇所があるみたいなので(『日本思想体系』に収録されているものと比べた)、これを論文などの底本にするのはやめておいた方がいいかも……?
    でも本当に読みやすいのでおすすめです。

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著者プロフィール

1913~2001。山口県生まれ。京都帝国大学文学部国史学科卒業。元立命館大学教授。専門は日本近世思想史、幕末維新史。著書に『近代陶磁器業の成立』『日本近世史研究』『近世封建社会史論』『維新史の課題』『吉田松陰』『日本経済史』『二宮尊徳』『部落問題入門』『高杉晋作』『明治維新論』『変革者の思想』『武士道の系譜』『町人の実力』『幕末入門』『叛骨の士道』『維新的人間像』『「狂」を生きる』『日本地酒紀行』、共編著に『未解放部落の社会構造』『未解放部落の歴史と社会』『近世日本思想史研究』『明治維新人物事典 幕末篇』『日本の私塾』『幕末志士の手紙』『素顔の京都』『適塾と松下村塾』『京都百話』、訳・校注書に『統道真伝』『武士道』『葉隠』などがある。

「2013年 『吉田松陰著作選 留魂録・幽囚録・回顧録』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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