リヴァイアサン〈1〉 (中公クラシックス)

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著者 : ホッブズ
制作 : Thomas Hobbes  永井 道雄  上田 邦義 
  • 中央公論新社 (2009年1月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121601070

リヴァイアサン〈1〉 (中公クラシックス)の感想・レビュー・書評

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  • 本書は、コモンウェルスにかんする論述である。ホッブズはコモンウェルスを巨大な人工人間ととらえ、これを論ずるにあたり以下四点について考察する。①その「素材」と「製作者」がともに「人間」であること。②「いかにして」またどのような「契約」によって人工人間はつくられるのか。③「キリスト教的コモンウェルス」とは何か。④「暗黒の王国」とは何か。本書(第一巻)では、①と②についての考察が述べられる。

    ・リヴァイアサンの素材と製作者がともに人間であること
     ホッブズはまず「人間」に関する考察から始める。ホッブズが用いた方法は自身への内省であった。ホッブズは、「ひとりの人間の思考や情念は他の人間のそれに類似している(P9)」ことを確信し、そのため自分自身について内省することは、人間一般についての知識を得ることだと信じているのである。ホッブズは、人間の情念についての考察を終えたのち、人間の自然状態についての考察に移る。人間の個体差などはわずかであり、肉体的な強さにおいても、精神的諸能力においてもほとんど平等である。圧倒的に有力な個体がいないのであるから、もしも人間の本性に「争い」の原因があれば、争いはとまらない。ホッブズは、人間の本性には、争いについての主要な原因が三つあると述べる。第一は競争、第二は不信、第三は自負である。自分たちすべてを畏怖させるような共通の権力がない間は、人間は戦争と呼ばれる状態、各人の各人にたいする戦争状態にある。この状態においては、正も不正も存在しない。ではこの状態からいかにしてコモンウェルスの建設が行われるのか。それは自然法による。自然法は、自然権を基礎に理性によって発見される一般法則である。自然権とは、「各人が自分自身の自然すなわち生命を維持するために、自分の力を自分が欲するように用いうるよう各人が持っている自由(P177)」である。自然法が発見されていない時、各人は自然権のみを所持しているので、必ず自然状態に陥る。ここでは、自己の安全は全く保障されていない。この状態から理性によって自然法を発見するのである。自然法は二つの要素からなる。第一に「平和を求め、それに従え」。第二に「可能なあらゆる方法によって自分自身を守れ」。ここから、次のような法が導かれる。「平和のために、また自己防衛のために必要であると考えられる限りにおいて、人は、他の人々も同意するならば、万物に対するこの権利を喜んで放棄すべきである(P179)」。こうして、コモンウェルス建設に向かうのである。


    ・「いかにして」またどのような「契約」によって人工人間はつくられるのか
     上述した通り、理性により自然法が発見され、コモンウェルスが設立される。コモンウェルスをホッブズは以下のように定義する。「それは一個の人格であり、その行為は、多くの人々の相互契約により、彼らの平和と共同防衛のためにすべての人の強さと手段を彼が適当に用いることができるように、彼ら各人をその本人とすること(P238)」である。そしてその原理は自己保存の原理であった。したがって、コモンウェルスの設立「目的」も同様に安全の保障である。コモンウェルスの設立は二段階に分かれる。一段階目は「和合」の成立である。契約により、相互侵害を止める。しかしながら、この状態は刹那的な性質のものである。永続的ではない。そこで、第二段階として、この和合を恒常的・永続的にするために公共的な権力(コモン・パワー)を設立するのである。公共的な権力を確立するため、契約者は個人の持つあらゆる力と強さを譲り渡す。これは、同意もしくは和合以上のものであり、「それぞれの人間がたがいに契約を結ぶことによって、すべての人間が一個の同じ人格に真に結合される(P237)」。以上のようにして、人工人間は設立される。

  • 「そしてまさにこの自然法のなかに≪正義≫(ジャスティス)の源泉がある。」

    自然状態では、自分の物理的な命を守るために、何をしてもよい、それこそが自然の権利であると言い、それはまさに、平和が保障されていない時点で戦争状態である、と、ホッブズは言った。

    彼の思想は第十三章からであると言われているが、「これは他のあらゆる推論においても同様である。すなわち、著者を信頼してその結論をうのみにし、すべての計算における最初の項目〔それは定義によって定められた名称の意味である〕から結論を引きだそうとしない者は、けっきょくむだ骨を折るだけである。」(p.56)ことより、それより前の、彼の言葉の定義の場所も読んだほうが、彼の主旨をより理解できると思われる。この言葉は同時に、彼の主張を崩されないようにする理論武装だとも考えられる。なぜなら、彼の主張を否定するには、その前提である<自然状態>を否定しなければ、非常に困難だからである。

    第六章、第八章は面白く、言葉の解釈や彼の知に対する考え方等学べる点が多くあった。

    彼の主張の中で一番興味をひかれたのが、第十九章で、コモンウェルスには、≪君主制≫、≪貴族制≫、≪民主制≫の三種類しかないと言ったところである。それ以外は、たとえば、専制政治は君主制に不満な者の呼び名である等、否定している。

    確かに、読むのは疲れたが、頭の良い体操になりました。
    中公クラシックスは訳が岩波よりも読みやすく、気に入っています。
    ここで書いたことは、素人の意見ですので、その点はよろしくお願いします。

  • 「名前は知ってるけど読んだことないよね」シリーズ。
    存外に良かった。第一章 人間についての後半部。
    もう一冊ある。

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