宦官(かんがん)―側近政治の構造 (中公新書)

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著者 : 三田村泰助
  • 中央公論新社 (2012年10月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121800077

宦官(かんがん)―側近政治の構造 (中公新書)の感想・レビュー・書評

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  • 宦官の歴史。改版。
    古い本を読むときは、「なるほど、こうなんだな」ではなく「なるほど、こう考えられていたんだな」と読む必要がある。
    (新刊でもある程度はそうだけど古い本は特にその必要がある)
    歴史や思想や数字で割り切れないものなんかはどんどん新説が出て変わっていくからなおさらだ。

    天動説を読むときは「宇宙の中心は地球」ではなく「宇宙の中心は地球だと考えられていた」と読む。
    そうすると、なぜそう考えたのか、なぜそうではないと気づいたのか、なぜそうでなければいけなかったのか、と考えていける。

    50年モノのこの本も、そうやって読むべきなんだけど半世紀は微妙だ。
    明らかに古いのに過去になりきれていない。
    だから時々、つい今の感覚に引き寄せて読んで、どんびきしたり怒ったりしてしまう。
    ジェンダー関係は男の解釈が気持ち悪いし、上から目線はみっともないし、自国棚上げは恥ずかしい。
    昔の本ではあるけれど、未だにこの感覚で生きている人をチラホラ見かけるから、「昔のこと」と笑いとばせない。

    50年前の「今」の「男」の「日本人」の「健常者」の価値観で過去を解釈しているから、今の価値観で読むと変なところがいっぱいある。
    1909年生まれの人が1963年に出した本としては、十分良い面を見ようとしている。
    それでもやっぱり悪いことは「宦官だから」、良いことは「宦官なのに」で語られる。
    女や外戚や蛮族も同様に、最初から悪いものに設定されている。

    でも変だと感じるのは私が2012年現在の自分の価値観に基づいて解釈しているからだ。
    結局この本よりもっと前の、宦官が現役だった時代の人たちが宦官をどう解釈していたかはわからない。
    だから価値観の部分は本当はあんまり重視するべきところじゃない。

    価値観の部分に目をつぶることができさえすれば、本としてはすごく面白い。
    読み継がれるのも納得できる。
    いくつかの本でこの本とまったく同じ描写を読んだことがある。
    あれらはきっとこの本を読んで参考にしたのだろうな。

    ニュースでトンデモ発言をする政治家なんかを見ると、どうやったらこんな考えに至るんだろうと不思議に思う。
    こういう本を読むと、ああこれを真に受けて育った上に新たな知識の獲得を放棄したなら、ああなっちゃっても不思議はないなと思う。
    たぶん前都知事とか政界でハッスルしちゃってるおじいちゃんたちはこのくらいの時代で頭の更新をやめちゃってるんだろうな。



    「ブレンダと呼ばれた少年」http://booklog.jp/item/1/4895859371

  •  3章~5章は、漢・唐・明の歴史の中で、外戚・儒学官僚・則天武后といった他の登場人物もある中で宦官の分量が多めという程度である(当然、司馬遷・蔡倫・高力士・鄭和・魏忠賢といった有名宦官は出てくるが)。猟奇的趣味からは、宦官なるものの性格や生活について触れた1・2章が面白い。
     供給源としては、最初は征服された異民族、次いで宮刑、唐~宋以降は自宮が多くなるとのこと。同じ立場にある者として同族意識は強かったようだ。試験を受けたわけではない宦官がなぜ政治に口出しできるのか疑問に思っていたが、官僚が入り込めない宮廷内部の生活のあらゆる面を管理するため、職人的な仕事がそもそも膨大だったようだ。また、明代には宦官学校が作られたという。その中で、才知や政治的野心が豊富な者が出世していったのだろう。
     筆者は、宦官の存在理由として、もちろん後宮近くで仕えるということもあるが、非人間的な存在である専制君主とうまが合うのは非人間的な存在である宦官という意味付けを与えている。「内臣は宦官、外臣は首相以下の官僚」と指摘する文書も残っている。
     古代エジプトやトルコにもいた宦官がなぜ日本にいなかったのかについては、筆者は、異民族との幅の広い接触や征服・被征服関係がなかったことや、仏教文化の影響で残酷な宮刑は入ってこなかったことを挙げている。

  • 161006読了

  •  股間がモゾモゾする。根元から断つって(泣 現代のニューハーフって疑問もわくが妻帯者が大勢いたことをみるそうじゃないらしい。今よりも良い暮らしをするための手段であったり、異民族が暮らす国としての悲しい風習であったり・・・後半は流し読み

  • 後半、具体例になるとだれてしまったのが残念だが、前半は面白かった。中国宦官のおこり、由来について。
    終章にあるように、皇帝の秘書、社長室等の見方は参考になった。中公新書の世界史シリーズ。要チェックである。

  • ワンパターン中国史のワケは宦官にあり。

  • なぜ「宦官」という制度が作られたのか、またその歴史がわかってよかった。

    日本になぜ「宦官」という制度がもちこまれなかったのか、という点については、「あとがき」に筆者の短い考えとして書かれているが、それでもある程度、納得できた。

    古い本なので、少し時代を感じる部分(価値観?)もあるが、良書だと思う。

  • 中国の歴史に度々悪役として登場する宦官について、宦官の始まりから、宦官が活躍した漢、唐、明の代表的な宦官について書いてあります。
    どうも著者の女性観とか書き方に違和感を感じると思ったら、50年前の著作でした。
    個人的に一番疑問だった「日本には何故宦官がいなかったのか」については最後の方に短く触れてあっただけなのが残念です。

  • 第三の性と呼ばれる宦官。中国とトルコが有名だが、中国は特筆される。清王朝末期でも数百人はいたという。その異様な様子は、当時の西洋人が撮影した写真が扉絵に載せられており、図りしれる。額には細かな皺が刻まれ、顎は異様に細く、お婆さんのような顔立ちながらも、喉仏はある。声は嗄れた高音で聞くに耐えなかったという。それでも、歴史上には、権力を振るったものや、司馬遷のような歴史書を遺した人もいる。皇帝という神に近い存在には、人ではない別のもの(それが第三の性)が、近侍する考えになったようだ。

  • 漢、唐、明、清代の天子の側近としての宦官の活躍(よい悪いは別として)をまとめた一冊。清流派と異なり、傍流としてしか語られない宦官にフォーカスしていた点は興味深かった。ただ中公新書ができたばかりの50年前の書物ということもあってか、私見なのか何らかの典拠を以って語っているか不明な箇所が多く、信のおききれる内容となっていない点は残念。

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宦官(かんがん)―側近政治の構造 (中公新書)の作品紹介

宦官とは何か。身分差別のきびしい社会にあって彼らが後宮に奉仕し、皇帝の側近として権力を壟断し得たのはなぜか。これらの問いに対して、従来の通史は明確な解答を与えていない。本書は、この存在が過去四千年にわたる専制君主制と表裏して生きながらえた中国を中心に、その実体を初めて明らかにしたものである。この奇怪な組織の解明は、現代に対する新たな視点を与えるにちがいない。

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