草原の革命家たち―モンゴル独立への道 (中公新書)

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著者 : 田中克彦
  • 中央公論社 (1990年5月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121903440

草原の革命家たち―モンゴル独立への道 (中公新書)の感想・レビュー・書評

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  • モンゴル史は中国史ほど概説書も専門書もない。特に辛亥革命以降のモンゴル史は、近年若手研究者により続々と成果が発表されているが、一般読者向けの本というのはなかなかないのが現状である。
    そのような中、1970年代に中公新書でいくつか刊行された。そのうちの一書が90年に増補改訂版として再販された。それが本書である。著者は言語学者(社会言語学かな)の田中克彦氏。参考文献を見ればわかるが、モンゴル関係の著作・翻訳には、田中氏によるものが多い。

    本書は以下の構成となっている。
    序章  社会主義革命は民族を解放するか
    第一章 独立の夢
    第二章 国を失った民族
    第三章 最初の核と波紋の中心
    第四章 コミンテルンと極東共和国
    第五章 党首ダンバドルジの文学作品
    第六章 ジャムツァラーノのたたかい
    終章  「最初の七人」のその後

    一言で「モンゴル」といっても、さまざまな部族によって構成されている。そのモンゴルは清朝が辛亥革命によって崩壊した後、独立を求めて動き出し、紆余曲折を経て内外モンゴルの内、外モンゴルが独立をする。
    タイトルが『草原の革命家たち』とあるように、本書は独立のために奔走した人物に焦点をあてたものとなっている。
    執筆に当たって中心となった史料は、1930~40年代に書かれたモンゴル語による原典となっている。

    内容としては、概説書であまり触れられない人物について詳細に掘り下げているため、独立までの政治的流れ、変遷をつかんであればより深くモンゴル革命について理解が進むものと考える。だいたいどの地域でも、革命の牽引者は知識人であることが多い。モンゴルも同様であったが、中国とロシア(後ソ連)という大国に挟まれた中で、独立を勝ち得るというのは非常に厳しい道程であったろうと思う。そのような中で、知識人がどこに目を向けていたのかを知ることができる。結果的にモンゴルはソ連に続く社会主義国家となり、ソ連の衛星国となったが、ソ連の言いなりになって革命を行なったわけではないのであろうということがわかる。

    ただし、概説書として本書を読もうとすると、それはなかなか難しいのではないかと思う。というのも、人物に焦点をあてた叙述のた、ある人物を述べた後に、間を開けてその人物に関係した別の人物を述べることもある。その際に、何頁参照などと注記が促されるわけではないことから、文章全体がわかりにくくなってしまうのである。
    各章のタイトルは、いかにも概説書のように辛亥革命以降の時間の流れに沿って叙述されるように感じる。しかしながら、本書のタイトルが「革命家たち」なのであるから、この章タイトルも叙述した各人物の名前を記してもよかったように思う。

    概説書を一通り読んだ後に、再読することになりそうだ。

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草原の革命家たち―モンゴル独立への道 (中公新書)の作品紹介

中国、ソ連は各々漢民族、大ロシア族を主体しながら多民族によって構成されている。そして両国の革命は少数民族の解放をもたらさなかった。例外は両大国のただ中にあってロシア十月革命後、最初の社会主義革命国家として誕生したモンゴル人民共和国である。しかしここでも、人民の階級的解放と民族的解放が合致したとはいえなかった。モンゴル民族独自の苦難に満ちた英雄的闘いの歴史を辿り、革命の本質を問うた名著の増補改訂版。

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