徳川慶喜―将軍家の明治維新 (中公新書)

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著者 : 松浦玲
  • 中央公論社 (1997年7月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121903976

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徳川慶喜―将軍家の明治維新 (中公新書)の感想・レビュー・書評

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  • 『徳川慶喜-将軍家の明治維新』松浦玲さん著なのですが、面白くて目が放せませんでした(笑)
    とくに微妙な立場での慶喜公(将軍後見職&禁裏守衛総督時代)に関しての論は非常に面白かったです★

    島津久光は兄、斉彬の遺業を継ぐべく、朝廷の力を借りて松平慶永を政事総裁職に、そして慶喜を将軍後見職につけ、この二人を幕府の中枢に据えることに成功しますが、あくまで朝廷の力を借りたものですから、これでは幕府の権威が強まるどころか弱体化していることを天下に示したことになってしまう。
    さらに幕府と並ぶもう一つの勢力と言って良い久光ら四賢公+慶喜で参豫会議では、慶喜公の立場はさらに微妙になります。

    結局この参豫会議が決別し、これが慶喜公の後々の致命的な要因の一つとなってしまうのですが、この本はかなり彼に対して柔軟な考え方が芽生える一冊だと思います。

  • 難しい。

    飾りの将軍ではなく、頭は良かったので、養子から、将軍になったみたい

  • 将軍継嗣問題や修好通商条約にまつわる騒動は簡単に頭に入っているつもりだったけれど、この本で見るとより詳しく勉強になった。
    以前は一橋派(現状危機感+幕政参加の野望)の方が正しいと感じていたが、井伊大老の言う事も正しいかなと思うようになった。
    将軍と老中の意見は一致して、今までその路線で幕政は続いてきたので、危機感と違勅を種に一橋派が横車を押してるようにも見える。老中阿部正弘の本も読んでみたい。
    普段は貴人の穏やかさを持つ慶喜が、違勅に対しては井伊だけでなく老中も激しく詰問している事実が面白い。

    もしや鳥羽伏見を決断したのは、数で勝っているので、薩長をまとめてかたずけてしまえと計算の上での行動だったのかなと思った。

  •  水戸に育つ。江戸で大きくなると華美の風俗に汚染されるから水戸でしつけられた。布服は木綿で蒲団は麻で、食事は一汁一菜に魚が月に三日だけ。課業怠慢すれば灸をすえられ座敷牢に押し込められた。長男にもしものことがあった場合の予備だから紀州にも尾張にも養子には出せないが、繁栄覚束ない一橋に水戸の強い血筋を入れて将軍位を継がせる可能性はあった。

  • 体制が崩壊の危機に直面したときこそ政治家の力量が試される。それぞれの思惑を秘めて画策する朝廷と雄藩と幕閣との複雑微妙な幕末の政治動向の渦中で、最後の将軍はどれほど時代の展望をもっていたのか。英明の君主とともいわれ、凡庸な野心家に過ぎないとも評される多面的な人物像の真実を明らかにすると同時に、武家政治の終焉に立ち会うことになった徳川慶喜という悲劇の将軍の心情と行動様式を通して、国家とはなにかを考える。(1975年初版、1997年増補版)
    ・はじめに
    ・Ⅰ 水戸に育つ 
    ・Ⅱ 将軍不在
    ・Ⅲ 慶喜後見職
    ・Ⅳ 禁裏守衛総督
    ・Ⅴ 最後の将軍
    ・Ⅵ 壮年閑居
    ・Ⅶ 昔夢会の虚実
    ・増補版あとがき
    ・徳川慶喜の写真室

    英明と謳われ開明派の諸侯、幕吏より将軍に就任することを待望された徳川慶喜。大政奉還後のグダグダぶりから、毀誉褒貶、評価の別れる人物である。小説やドラマのイメージ先行ではあるが私も好きではない。とはいえ、その生涯を知らないことには、正しい評価は出来ないので本書を購入した。

    有名なエピソードとして、寝相を矯正するため、枕の両側に剃刀の刃を立てたという話がある。眠ってしまえば剃刀を取り除けるのだろう見破っていたともいうが、著者は綱淵謙錠の「脅しの裏を見抜く聡明さに、土壇場になれば自分を助けてくれるものが必ずいるという甘えがひそんでいるのだ」という指摘を紹介している。なかなか面白い見方である。

    慶喜の一橋家相続に、将軍家慶の意向が働いていたというのは知らなかった。家慶には家定でなく慶喜を後継と考えていた節があるそうである。ところが、家慶は何も決めずに死去し、逆に家定は慶喜を嫌っていた。
    側近の話によると、家定は、しかるべき人物がことをわけて説明すれば、承知しただろうという。ところが、しかるべき人物となりえる阿部正弘は急死し、また、大老に井伊直弼が就任したことにより、将軍となる目はなくなった。当の慶喜は、残された記録によると、将軍になる野心は無く、将軍の家族として将軍家の安泰を願う心情が強かったという。
    安政の大獄により、一橋派は弾圧され慶喜も隠居謹慎の身となる。家茂が将軍となるが、桜田門外の変以降、復権する。やがて島津久光が卒兵上京、朝廷の意向により将軍後見職に就任するも、幕府の中で実権を持てないまま、上京した将軍家茂のフォローに苦慮することになる。
    京都では、攘夷と開国、参与会議を主導しようとする薩摩藩との権力争いに苦慮する。この中で、松平慶永と対立、島津久光と決裂、将軍家茂とも不仲となるなか、後見職を辞任し朝廷から禁裏守衛総督に任ぜられる。
    慶応2年、家茂の病死にともない、慶喜が将軍となる。親仏派官僚と結びつき、軍制改革を進めるが、残された時間は少ない(京都に居たまま江戸幕府の改革を進めるというのも驚異的である)。倒幕の機運が高まるなか、大政奉還という手段に出る。幕府なき後の政権をどのようにするのか。慶喜は有利のまま主導権を握っていたが、鳥羽伏見の戦いの敗戦により、奈落の底へと転落することになる。慶喜は、動転のあまり江戸に逃げ帰る。

    明治になって慶喜が語った「昔夢会筆記」という記録がある。この中で、慶喜はその権力を大政奉還で完全に手放したとされているが、著者は事実ではないと断じている。明治政府の中で公爵となった慶喜に望ましく回想されているというのは、目からウロコであった。(もとより回想に、記憶誤認や自己弁護が入る事は当然であるが、公爵という立場が影響しているとは思わなかった。)

    本書を読むと、周りに翻弄された、慶喜の不運さというのが理解できる。
    権力を奪われた慶喜が77歳まで生き、権力を奪った側が短命(岩倉59、西郷51、大久保49、木戸45が)であったというのは歴史の皮肉であろう。本書を読んだことにより、その人物像を見直すことが出来たのが良かった。巻末には慶喜の写真などが収録されていてお買い得である。

  •  いやー、おもしろい。歴史を詳細な資料から掘り起こすことは著者の得意の手法なのだが、「徳川慶喜」が「活躍」した幕末を扱った本書は、この時代の「政治関係」をわかりやすく解説することにもなっている。
     本書は、ちまたに数多くあるフィクションよりも、よほどドラマチックかつドラスチックなのではないのか。
     「歴史的事実」を克明に追いかけることはある程度の研究者ならば当然に行うことであるが、その行為や行動の「政治的意図」や「政治関係」をはっきりと指摘・考察することはなかなか難しい。
     本書で読む「徳川慶喜」は、その困難な「政治」を当時30歳ぐらいのときに幕末日本を舞台にリードしたのであるから、実に優れた人間であったことがわかる。
     「四候が束になっても慶喜に歯がたたないのである」との評価は実に正しい。
     本書で読む「徳川慶喜」は実に冷静に情勢を判断し、そして「鳥羽伏見」の敗北の後に冷静に「撤退」した。
     これは指導者としてなかなかできることではない。
     普通はじたばたとあがき、決定的かつ徹底的な敗北へと進む。
     明治維新後にも徳川家が生き残ったことは様々な歴史的評価を持つが、これも「徳川慶喜」の得意なキャラクターによるものとも思えた。
     本書は、「幕末と明治維新」をよく理解できるとともに「政治」とは何かをも教えてくれる興味深い良書だと高く評価したい。

  • 大政奉還を演出した最後の将軍・徳川慶喜。有名な人物でありながら、その履歴や行動はあまり知られてはいない。
    この本では、七郎麿と呼ばれていた幼少時代から、大正2年に亡くなるまで詳細に彼の行動を追っている。当時の幕府内の対立や、京都の情勢、各雄藩の藩主らとの関係など、幕末の情勢は一言では説明がつかない。
    当事者の慶喜も否応なしに、その情勢に振り回されていく。
    一概に慶喜の行為を批評は出来ない。
    この本を読んで"徳川慶喜"という聡明であったが故に評価されがたい人物について色々と考えさせられた。

  • 高松宮妃のエッセイを読んで、急に最後の将軍徳川慶喜と言う人に興味が湧いて読んでみた。
    慶喜が将軍となるまでの経緯、本家の出ではないため、将軍となっても重臣と朝廷との間に挟まれての苦労。これまで戦いから逃げ帰った情けない将軍と言うイメージしかなかったので、意外な実像が見えて来て興味深かった。
    ただ、古い文献や言葉が難しく、読み流してしまった箇所も多かったので星を減らしました。

  • 水戸などを舞台とした作品です。

  •  徳川幕府最後の第十五代将軍、徳川慶喜。行動が理解しにくいところがあり、「評価が大変難しい人物」としても知られていますが、この本では、彼の出身水戸徳川家の思想やそれに伴う彼の思想形成、当時の歴史背景などに詳しく突っ込んで、徳川慶喜という人となりを分析していきます。

     幕末における様々な人物の政治的役割や行動は、その人物オンリーという点の存在だけを見るのでなく、周囲の政治関係や縁戚関係にも広く目を向けねばなりません。それが、この徳川慶喜の場合は特によくよく知らねばならないようです。徳川家は縁戚関係が複雑ですし、幕末は尊王・佐幕・開国・攘夷などいろいろな思想が絡まっているので、もつれております。

     この本もそういう面では難しいのですが、筆者の語り口が公平なのと、史料を元にしての考察が納得できるので、最後まで興味を持って読み進めることが出来ました。巻末には慶喜公の撮った写真の数々、説明付きの参考文献、筆者が作成した年表があり、見所たっぷりです。慶喜公入門編としてはちょっち難しいかもしれませんので、何か1冊軽いものを読んで公の歴史を知ってからの方がとっつきやすいかと思います。私もあと3回ぐらい読むつもりです。

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徳川慶喜―将軍家の明治維新 (中公新書)の作品紹介

体制が崩壊の危機に直面したときこそ政治家の力量が試される。それぞれの思惑を秘めて画策する朝廷と雄藩と幕閣との複雑微妙な幕末の政治動向の渦中で、最後の将軍はどれほど時代の展望をもっていたのか。英名の君主ともいわれ、凡庸な野心家にすぎないとも評される多面的な人物像の真実を明らかにすると同時に、武家政治の終焉に立ち合うことになった徳川慶喜という悲運の将軍の心情と行動様式を通して、国家とはなにかを考える。

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