韓国のイメージ 増補版: 戦後日本人の隣国観 (中公新書 1269)

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  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784121912695

作品紹介・あらすじ

今日の日本人の韓国像は、一方に文化相対主義的理解があれば、他方に伝統的蔑視があり、イデオロギー的立場からの賞賛や沈黙の一方に、若い文化的関心層があって一様ではない。それでは、戦後日本の韓国像はどのように変化してきたのか。戦後日本人の韓国観の変遷を二十年ごとの三つの時期区分で論じた名著に、今回新たに四つめの時期となる「韓流の時代」を論じる章を増補し、あの狂騒の時代を歴史のなかに位置づける。

感想・レビュー・書評

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  • 著者:鄭大均
    内容:隣国像の類型。公に出された活字のみが対象で、映画やテレビは扱わない。


    【目次】
    はじめに [i-viii]
    目次 [ix-xi]
    題辞 [xii]

    第一章 変化するイメージ 001
    世論調査の結果 002
    時期区分 011
    話題書の推移 021

    第二章 関心型 033
    植民地体験型 034
    贖罪型 042
    イデオロギー型 048
    古代史型 052
    異文化型 055

    第三章 戦後イメージの原型 059
    隣国の存在 060
    「悪者」のイメージ 063
    「李ライン」への眺め 071
    もう一つの眺め 081

    第四章 独裁国家の行方 099
    「独裁国家」 100
    「千里馬の国」 109
    幻想から幻滅へ 126
    朴正熙への再評価 141

    第五章 似て非なる国 151
    異質性の発見 152
    文化的韓国論の問題 157
    類似性の議論 169

    第六章 共存するイメージ 181
    好感 182
    非好感 196
    アンビヴァランスの例 211
    進歩派とポリティカル・コレクトニス 217
    善玉と悪玉のイメージ 226

    第七章 時は流れる 231
    韓流ブーム 232
    敵意や憎悪 241
    隣国の発見 251

    あとがき(二〇一〇年夏 鄭大均) [256-259]
    参考文献 [260-266]



    【抜き書き】
    ・冒頭で引用されている一説(なおライディングの方は巻末の参考文献をざっと見ても出典が分からなかった)というかmaximチックな文を孫引き。

    □xii頁
     隣り合う二国間で、メキシコとアメリカぐらい異質性の際立った例はおそらく世界にない。(中略)隣り合っていながらも、これだけお互いを理解していない隣人の例もおそらく世界に例がない。二つの国は発展段階の相違によるというよりは、言語や宗教、人種、哲学、歴史によって分け隔てられている。アメリカはわずか二百年ほどの歴史を持ち、二一世紀に邁進する国であるが、メキシコは数千年の歴史を持ち、いまだに過去に引きずられている国である。
    (アラン・ライディング)

     隣り合った二つの国で、フランスとイギリスほど長い間ほぼ同等の足場に立ち、これほどしばしば戦い、これほど多くの挨拶を交し合い、あるいは社会的知的な交流をおこない、また相対的にこれほどわずかしか相互に貿易をおこなわず、これほど明瞭な主体性を維持しつづけた二国は、世界のほかの場所には見当たらない。(中略)この関係についてもっとも驚くべき特徴のひとつは(中略)相手の国の生活についての広範囲にわたる根強い無知である。(中略)ロンドン駐在の元フランス大使がこう書いている、「これはたびたび言われてきたことだが、私としてはもう一度くり返して言いたい。隣接していながら相手をこれほど知らない二つの国は他にない」。
    (リチャード・フェイバー)

  • 日本人の対韓国観を類型化したり、その変遷を追ったりした本。9​5年の初版本は随分前に読んだが、韓流ブームを20頁ほど追加し​て昨年増補版として出た。旧版と同じく、80年代半ば以降現在ま​でが対韓イメージが向上した「第三期」のままなのが惜しいところ​で、2000年代以降を「第四期」とでもして大幅に再構成してほ​しかった。それこそ80年代半ば以降に韓国に関心を持ち始めた自​分ですら昨今の韓流ブームに隔世の感がなくもないが、否定的イメ​ージが支配的だった戦後~80年代前半までの経緯を見直すと一層​そう感じる。

  • [ 内容 ]
    今日の日本人の韓国像は、一方に文化相対主義的理解があれば、他方に伝統的蔑視があり、イデオロギー的立場から賞賛や沈黙の一方に、若い文化的関心層があって一様ではない。
    それでは、戦後日本の韓国像はどのように変化してきたのか。
    日本の新聞・雑誌・書籍に現われた韓国に関する言説を集め、植民地体験型、贖罪型、イデオロギー型、古代史型、異文化型という五つの関心型に分類して、そのアンビヴァレントな性格の意味を考える。

    [ 目次 ]
    第1章 変化するイメージ
    第2章 関心型
    第3章 戦後イメージの原型
    第4章 独裁国家の行方
    第5章 似て非なる国
    第6章 共存するイメージ

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 日本人の韓国や北朝鮮について言及を引用しながら、それらに対してどのようなイメージを持つ傾向があったのかについて、時代や思想的なカテゴライズをしながら語っている。
    引用がメインなので、著者のフィールドワークや意見などはほとんど無かった。
    韓国と北朝鮮について、日本人がどのように語ってきたかという全体像だけを把握するには良いと思う。

  • 日本人は1980年代まで、韓国、朝鮮に対してはネガティブなイメージばかり持っていた。
    戦前の日本は朝鮮人は好きな方だったが、戦後には朝鮮人が嫌いになった。
    韓国は近代以降、日本gあその軍事・政治的影響力を最も旺盛に発揮した地域であるというう意味でも特別な存在である。隣国は日本の侵略主義の対象とされた唯一の地域というわけではないが、その影響を最も強く受けた地域であり、またそのことがルサンチマンの環状として日本でも強く息続きている地域である。
    1957年まで北朝鮮の方が韓国よりも発展していた。日本も抜かれるくらいの勢いだった。

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著者プロフィール

鄭 大均(てい・たいきん):1948年岩手県生まれ。韓国系日本人。専攻は日韓関係論、在日外国人。立教大学、UCLA で学び、81年から95年まで韓国の啓明大学校外国学大学等で教鞭をとる。現在は東京都立大学名誉教授。著書に『増補版 韓国のイメージ』『日本のイメージ』『在日の耐えられない軽さ』(いずれも中公新書)、『在日・強制連行の神話』(文春新書)、『韓国のナショナリズム』(岩波現代文庫)、『韓国が「反日」をやめる日は来るのか』(新人物往来社)、『日韓併合期ベストエッセイ集』(編書、ちくま文庫)などがある。

「2023年 『隣国の発見』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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