- Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122000469
感想・レビュー・書評
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残虐性は民族によって差があるのか?という作中で何度も語られる疑問。様々な国の人と接した上で残る、異国間交流の困難さ。自分のうすっぺらなグローバル精神なんて踏み砕かれる。
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第二次大戦後の日本人捕虜の体験談。壮絶だが、知らなければならない近代史。
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最近押入れの中から出てきたので再読。
何千年もの間、全く違う環境で作り上げられてきた価値観の違いと言うものは、言葉を理解しあっただけでは到底共有できないのではないか。こんな当たり前の事が、著者の極限体験に対する観察眼により残酷なまでに浮き彫りにされる。ともすれば、絶望的なまでに。
前回読んだときとは違い、今は著者の言う本当の意味での価値観の違いが少しだが肌で理解できる。彼らと仲良くなればなるほど、なんだか決定的なところでは理解しあえないんじゃないだろうか、共有できない部分があるんじゃないだろうかと感じることがある。(それはほとんど無視できる小さな違和感である事が多いが、日本人に対しては感じない種類の物である事が多い。)それに対する1つの答えが本書にはある。
そんな反面、読者が決定的に絶望しないでいられるのは収容所内のエピソードが軽妙かつ愉快に描かれている事が大きい。まるで「実録ビルマの竪琴」だし、こちらの方が面白いくらいだと思う。もちろんそこでも著者の容赦ない観察眼が光るけれど、この部分だけ抜き出しても面白い一冊になると断言できる。
西洋に対するある種の妄信や、薄っぺらなグローバルなんて言葉を粉々に打ち砕く名著。また、シベリア抑留に比べあまり知られる事のない、イギリスによる戦後抑留の第一級史料。
常に西洋を模範とし追いつこうとしてきた日本人のある種の不幸は、西洋人を美しいと思ってしまったところから始まったのかもしれない。 -
未読
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イギリス人による人種差別というものがどういうものか、歴史学者の冷徹な目を通して見えてくる。また、捕虜という屈辱的な立場にありながらたくましく生きぬいた日本人の顔も見え、不思議に元気も出る本。