地下鉄のザジ (中公文庫 C 11)

  • 中央公論新社
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感想 : 69
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  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122001367

感想・レビュー・書評

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  • 「けつくらえ!」
    ドタバタ新喜劇。
    小さな女の子に振り回される大人たち。
    明るくがやつく登場人物達の会話がパリの賑やかな日常をテンポよく展開していくのが気持ちが良かった。

  • パリを舞台にめくるめく市中冒険。テンポよくどんどん場面が変わっていくし、主人公の女の子・ザジや叔父のガブリエルたちが共有している世界観(「当時のパリ庶民の精神風俗」なんて解説もある)に匂うくらいの温かく人間くさい血が通っていて、なおかつ軽い。高尚なことを考えたり表現できた入りする人が、ざっくばらんな砕けた形式で多くの人が楽しめるように作ったような作品でした。

    主人公のザジは10歳の女の子なのですが、口が悪くて口癖は「○○、けつくらえ!」で、扱いにくいどころか誰もが手にあますような子どもです。フランスという自己主張の激しい国の子どもですし、それにこれはフィクションでもありますから、なおさらザジのキャラクターは強烈なパンク調というか、世間でも有数の問題児レベルのような言動や振る舞いをしています。でも、そこに僕は自分の子ども時代のどうしようもない性格の部分、いわゆる「クソガキ」だったところを思い起こさせずにはいられませんでした。そういう自分だったことがわかっているから、もしも自分に子どもができたらそういうところが遺伝して育てるのに難儀するだろうなと思うくらい。

    閑話休題。
    小説は、どちらかといえば「知性的に味わう性格の強いもの」と、どちらかといえば「感性的に味わう性格の強いもの」とがあるように思います。乾いた文体だとか、濡れた文体だとかという特徴だってありますし、それらと「知性的」か「感性的」かの連関もあるでしょう。『地下鉄のザジ』は、知性的に味わう性格の強いほうです。ドライな笑いがちりばめられていて、そのおかしさを堪能するのは感性ではなく知性のほうです。なので、門戸の広い楽しめる作品でありながら知的な深さを備えているといえるでしょう。僕はおそらく、というか間違いなく隅から隅まで楽しめたわけではないですが、教養が豊かであればあるほど楽しめる作品かもしれません。フランス語の単語や文章のままの箇所もあります。そこは言葉をいじくって面白く表現している、文学的に譲れないような部分なのでそのまま訳さないでいるのでしょうか。はたまた技術的な問題なのか。判断はできませんでしたが、読んでいても意味がわからなくなるところではないので困りはしないのですが。

    話が大きく発展したりひねりのある展開をしたりもします。それでいてユーモアが忘れられることはなく、昔のヨーロッパのアニメを見ているかのような独特の感覚がありました。そういう感覚は久しく忘れていたので、懐かしくもおもしろかったです。

  • ルイ・マルによる映画を昔、観ていて、
    少し前、ふと、原作を読んでいなかったのを思い出し、買ってみた。
    1959年、きちんとした書き言葉で綴られた小説が当たり前だった
    当時のフランス小説界に一石を投じた(?)という
    口語表現を多用し、言葉の遊びを自在に繰り広げた喜劇作品。
    母が恋人と逢い引きするため、
    二日間だけパリの親戚に預けられることになった少女ザジが
    伯父さんたちを翻弄して大暴れ……
    かと思いきや(まあ、そうには違いないけど)
    彼女を取り巻く大人が揃いも揃って変人だらけ(笑)
    映画のストーリーはほぼ小説のとおりに流れていたようで、
    読んでいて映像が頭に甦って楽しかった。
    また鑑賞したい。
    ちなみに、タイトルは、田舎からパリへ行ったら地下鉄に乗りたかった、
    ザジの願望を表しています。

  • はちゃめちゃだ

  • 会話のテンポは良いが少し疲れる。
    ユーモアと知りつつも、もはやぎりぎり笑えない自分がいる。

    また映画を見る機会があれば、ついでに読み直してみようと思いました。

  •  伯父であるガブリエルのいるパリへ一人でやってきた少女・ザジ。地下鉄に乗ることを楽しみにしていたが、生憎パリの地下鉄はスト真っただ中。「けつ喰らえ!」と悪態をつくザジの周りに、次々と不思議な人物たちが登場し、ザジは世にもおかしな人生体験をする――。1959年、戦後のフランス小説に新風を巻き込みたちまちベストセラーとなった、言葉の可能性を探究したドタバタ喜劇。

     最後の展開にはとても驚かされたが、基本的には登場人物たちのセリフや行動に不自然さを感じてしまってあまり入り込めなかった。フランスの文化や当時の時代の雰囲気を知らなければ、この小説の本当の面白さはわからない気がする。
     んー、言葉の可能性の探求……普通の小説が読みたい!

  • 文学

  • 引っ越しの時に資源ゴミの日に出した中の一冊 今またすごく読みたい 映画も好きです

  • 映画を見てから読めばよかった。この時のフランスの風俗がよくわかってないだけに。

  •  楽しい!凄まじいほどのテンポの良さ、ユーモラスでとぼけた台詞、説明しすぎない描写によって生まれる意表をつく展開があり、ぐいぐい読み進められるドタバタ喜劇。
     現代ほど市民権を得られていない男色家への辛辣な物言いや生意気なザジの背景にある複雑な家庭環境など、楽しいことばかりが書かれてあるわけじゃないけど、ウィットに富んだ筆致とガブリエルやザジたちの強かさによりそんなもの"ケツくらえ!"といった痛快さがある。

  • 大崎Lib

  • 9/6 読了。

  • この作品は、物語を楽しむものではないのでしょうね。

  • 「引用」をご覧いただければと思います。

  • このテンポは、文章よりむしろ映画向きなんじゃないかなぁ。どうも僕が求めているものとは違うようだ。

  • フランス流ドタバタ喜劇。
    あとがきによれば、戦後のフランス文学界の閉塞感を吹き飛ばしたヒット作、のようですが、そのよさがイマイチ伝わらず。
    時代の違いか、訳が古いのか。

    地下鉄ができたばかりのパリに、少女ザジが母親に連れられてやってくる。母親は恋人とランデブー。
    ザジはおじさんに預けられる。
    地下鉄を見たいザジ。でも、ストライキ中で動いていない。
    生意気で口が悪いザジと、なんだかオカシな大人たち。

    皮肉、諧謔、諷刺に満ちていて、ドタバタと展開していく物語。
    常につきまとうのは、笑うべきところで笑えない残念さ。
    映画の方がいいのかな。どうだろう?…ビミョーです。

  • 地下鉄のザジの映画を見ながら、本を読んでいる。

  • 映画がすきで手に取ったけど、どう言葉を遊んだかを感じるのにひとときも気をぬけなくて、そのわりには頻繁に気が抜けるという読み終えるのに一苦労な本だった。むつかしい。気力があるときまた挑戦する。

  • 読友の推薦本。クノーは初読。翻訳者の生田耕作はG・バタイユでお馴染み。まず、主人公ザジの設定がきわめて斬新で破天荒。とにかく、凄まじいばかりのスピード感だ。プロットというほどのプロットもないが、物語世界の中を縦横無尽に駆け巡る。そして、ザジの決まり文句が「けつ、喰らえ」。なんだか品(ヒン)がないのだけれど。鸚鵡の<緑>は「喋れ、喋れ」。長編小説でありながら、これらが一種独特のリズムを作品に与えていく。この作品は、ルイ・マルが映画化していて、こちらもヌーヴェル・ヴァーグの先駆との誉れが高い。

  • フランス的な表現が、おもしろいことも、読みづらいこともあった。

  • だいすきな本(●⁰౪⁰●)
    けつ食らえ!

  • ザジの子供っぽいけれど、頭の回転がはやい大人のような言葉がとてもおもしろかった。けつ喰らえ!

  • 本棚をゴソゴソしていたら見つけたので再読。
    何度読んでもナンセンスでバカバカしくて面白い。途中、何度も声を出して笑いそうになった。

  • 品がないのが特徴であり魅力なのでしょうが、ユーモアのセンスがけっこう陰気というか重く感じられたので素直に笑えない所が多かったです。軽快に会話が繰り広げられるのですが、なかなか裏のある事を言っているので軽く流すわけにもいかず、思ったより考えながら読む作品でした。文体に関しても同年代とそれ以前のフランス語圏作品と原文で読み比べてこそ、この小説がどれだけ斬新だったのかが初めて理解できると思うのですが、残念ながら私はフランス語がさっぱりわからない。訳を改めたものが出ているらしいので、そちらも読んでみるべきか。

  • 「anan」の「本・マンガ」特集で、あるコラムニストの女性が紹介していた小説。
    舞台はパリ。
    一癖ある姉から姪っ子・ザジを二日間預かることになったガブリエル。ザジは超生意気で口が達者。「○○けつ食らえ!」が口癖。ガブリエルや周りの人々は彼女に翻弄されまくる。
    大きな事件も無く物語はドタバタ小競り合いが絶え間なく続き、あっという間に終わった印象。要するに私の苦手なナンセンス系だ。
    ここ最近自分の中でヒットする作品が多かっただけに残念な結果に。
    まあこういうのが好きな人もいるんだろうね。映画化もされたわけだし。

  • 物語の先を読み進める為にページをめくるのではなくて、ページごとの文章を楽しむ為に小説は存在しているんだけど、そんな小説滅多にないので、見つけるとただ鳥肌がたちます。
    見開きページの終わりにうまく言葉が切れるようになっているのは訳者の気遣いなのか、原書がそうなのか、わかりませんが、素敵ですね。

  • ギャグ。文化の違い・言葉の違い、さまざまな障壁がある中面白い小説だった。

  •  感想けつ食らえ!

  • 「レーモン・クノー」と「くりいむレモン」・・・・・・似てないか。

  • レーモン・クノーつながりで手に取った一冊。

    視線が あっち行ったり こっち行ったり。
    テンポの早い文章だなぁと感じました。

    訳者がすごい方らしい。

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著者プロフィール

一九〇三年ル・アーヴル生まれ。パリ大学で哲学を学び、シュルレアリスム運動に参加。離脱後、三三年に「ヌーヴォ・ロマン」の先駆的作品となる処女作『はまむぎ』を刊行。五九年に『地下鉄のザジ』がベストセラーとなり、翌年、映画化され世界的に注目を集める。その後も六〇年に発足した潜在的文学工房「ウリポ」に参加するなど新たな文学表現の探究を続けた。その他の小説に『きびしい冬』『わが友ピエロ』『文体練習』『聖グラングラン祭』など、詩集に『百兆の詩篇』などがある。一九七六年没。

「2021年 『地下鉄のザジ 新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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