1926年大正天皇崩御から1936年の二・二六事件の勃発・収束までを叙述する。オーソドックスな見方で幅広い分野を網羅的に書いているので、基本事項を確認したいという時に読む本だ。個人的には、世界恐慌や昭和恐慌の経済学的分析、労働組合・小作人組合の集合離散の状況、井上準之助から高橋是清大蔵大臣の経済政策・財政政策について、興味深く読めた。また、事実を検討した上で、田中義一・荒木貞夫に対して下している評価はもっともなものと思える。なお、日本がケインズ主義的経済政策を世界に先取り採用したとの指摘は目が点になった。