レイテ戦記 (下) (中公文庫)

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著者 : 大岡昇平
  • 中央公論社 (1974年11月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (504ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122001527

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レイテ戦記 (下) (中公文庫)の感想・レビュー・書評

  • 1974年(底本1971年)刊。全三巻中の第三巻で、叙述される時期は昭和19年12月〜20年4月。


     「野火」で描かれる時期に差し掛かる本巻。
     実際、漸く読めたなぁ、というくらい詳細・濃密な書であった。内容のレビューではないが、読後はフゥッと溜息が洩れてしまったほど…。

     その中で、本シリーズに若干の難癖をつけるなら、それは戦闘の只中にあったフィリピン住民の目線が乏しい点だ。
     もっとも、戦記という主題からは外れるし、また、残存記録も少なく、止むを得ない仕儀とは思うが…。

  • 戦記文学。
    生還率3%とされるレイテ戦について、日米双方の記録や証言に基づいて構成されている。
    周知の通り著者はミンドロ島の戦役に従軍している。巻末で死んだ戦友に触れている通り、悲惨な光景を知っている。しかし本作で描く「死」は、感情を一切排したものである。死者数を統計的に述べていくくだりは、漢数字の文字裏にひそむ著者の言い知れぬ悶え苦しみが透いて見えるよう。鬼気迫るとは、このことかと感じた。
    その中で数百ページに1回の割合で挟み込まれる、特攻兵や斬り込み部隊に対する哀惜の一文が、ズシリと心に重く、読むペースを乱す。
    本書が版を続けることに、希望を感じる。

  • 日本敗戦後の戦記文学の最高傑作ともされる作品をようやく読み直す。上中下3巻、かなりの厚みだが、思っていたよりもはるかに読みやすかったという印象。だが、これは論じにくいテクストだ。本格的な『レイテ戦記』論というのは、果たして書かれているのだろうか?

     「論じにくい」といっても、決してこのテクストが難解だからではない。むしろ正反対である。大岡は、〈少数非力にもかかわらず、日本軍将兵はよく戦った〉という一言を言いたい、ただそのために大量の米軍資料、日本の公刊戦史、各部隊の記録や聞き取り資料を渉猟している。わたしはその〈執念〉に打たれるし、その姿勢自体がたいへんに〈文学的〉だとも思う。
     一方で、米日双方の軍事資料を読み込む大岡の目は、ほとんど参謀か軍事史家のようになってしまっている。だがそれは、戦場の人間たちを一つのコマとして眺め、数と種別に還元する統治権力の視線を内面化してしまったことを意味している。フィリピン人がいない、台湾人がいない、慰安婦がいないという批判が出て来るのは、ある意味で当然である。大岡の視線は、戦場の個別的な身体を見ていないのだから。

  • 4122001528 504p 1995・8・25 15版

  • 「歴史とは過ぎ去った事件に対する愛情だ」
    師である小林秀雄の言葉を忠実に実行したであろう著者大岡昇平の代表作だ。

    第二次大戦に従軍した体現者でもあった大岡が、世界に散らばるレイテ戦に於ける膨大な資料をかき集め

    それを基に

    その事実だけを整然とぶれることなく語り続けるその姿勢は驚愕に値するといえるだろう。

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