チャリング・クロス街84番地: 書物を愛する人のための本 (中公文庫 M 252)

著者 :
制作 : ヘレーン・ハンフ 
  • 中央公論新社
3.98
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本棚登録 : 739
感想 : 100
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  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122011632

感想・レビュー・書評

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  • 最初から最後まで書簡のみで構成された本
    文の量は少ないものの、注釈が多く少し読むのが大変だった

  • もう何度読んだかわからないけど。
    ドラマチックな出来事は何一つ起こらないけど。
    人と人の関係性というものに私は惹かれるのだ、と改めて思わされる。

  • その昔、文庫本になって初めて読んだもの。多分屋根裏のダンボールの中。

  • ロンドンの古書店に勤める男性と、ニューヨーク在住の女性脚本家。大戦後間もない一九四九年から、本の購入を介して二十年にわたり交わされた手紙には、書物へのつきぬ愛着と、率直な友情が綴られていた。発表されるや世界中の読書家を魅了した、心あたたまる書簡集。

  • 古本リサイクルサイトで見つけ評価がよかったので購入しました。
    アメリカーイギリス間での、古本のお取り寄せの依頼と古本屋からの発送のやりとりの心温まる往復書簡集。
    様々なジャンルの本が出てきて、単純に面白かったですし、お互いの背景を忖度しながらも、本を愛する気持ちが、相手を思いやる気持ちと共に、伝わってきます。
    ハムやストッキングやら物資も送ったり、戦後の英米の時代背景はいかがなものだったのだろうか。
    延々、淡々と続くやりとりに、最後のオチはいかに?ヘレーンは会いに行くのか?
    ちょっとドキドキしながら読み進みましたが、最後がわりとあっけなく、だからこそ、じーんとくるものがありました。

  • 200ページほどの文庫本を一気に読んでしまった後で、この往復書簡が20年以上にわたって行われていたことを知り、ちょっと驚いた。最初の手紙は1949年に書かれている。アメリカ在住の脚本家の女性が、イギリスの古書店に本を注文する手紙と、それに対する書店の返事。ヘレンの注文する本は、訳者の江藤淳によれば、「英文学のきわめつきの名作」ばかりで、「彼女の趣味は一流」だという。(英国の批評家クイラー・クーチの弟子なのだ。)今ならワンクリックで本が買え、古書も買うことができるのだが、本を買うことについて、これほどのやりとりが行われていたなんて、なんだか羨ましい。

    当時の英国はドイツに敗戦したばかりで、庶民は食糧や日常品を手に入れるのも大変だったようだ。そこで、こちらの要求に応え続けてくれるチャリング・クロス街84番池にあるこの古書店がすっかり気に入ったヘレンは、従業員たちの分まで、クリスマスのプレゼントなどに食糧や「ナイロンのストッキング」などを送るのだ。そしてある時、店主のフランクは、もうお互いを敬称で呼び合うのはやめましょうと提案する、ヘレンの申し入れを受け入れる。

    手紙はフランク以外の従業員からも届くようになる。ヘレンからのプレゼントのお礼として、80歳を超えたメリー・ポールドンの刺繍したテーブルクロスを送られた時は、ヘレンが感激して、彼女の住所と名前を聞いている。おそらく直接手紙を出して感激を伝えたのだろう。

    江藤淳氏は、ヘレンは「太平洋の彼方に顔を見たこともない友人を求めなければならないほど淋しいのだろうか。」「おそらくメリー・ポールドンいう老婦人とさして変わらない精神生活」を送っていたのではという。(彼女は独身だった)
    彼女が本を注文する時は短い間にやりとりがされていたが、20年の間、手紙はそれほど頻繁だったわけではない。私は彼女が始終そのような日常であったとは思えない。機知とユーモアの効いた手紙は、見知らぬ人たちだからこそ、発揮できたのかもしれないとさえ思う。中にはヘレンの友人がイギリスを訪ねた時、古書店に立ち寄ったことが書いてある手紙、ヘレンのアメリカの友人の手紙などが混じっているが、それに対する彼女の手紙は、ここに公開されていないのだ。
     
    この本の改訂増補版が2月に出る。それも読んでみたい。

  • リチャード・ラムのエリア随筆、ベオウルフ、ヴァージニア・ウルフの一般読書人、ジェイムズ・ジョイスのユリシーズ、チョーサーのカンタベリー物語、などなど、後回しだったり休憩だったりしてた数々思い出させてくれた。

  • 改訂版が出るらしいのですが、文庫版のあとがきで訳者の江藤淳が、後日談を加えない方が良い?みたいに書かれていたが、30数年経って心境に変化があったのだろうか?って故人ですが、、、

    それと、中央公論新社サイトとブクログでは書影が違う。

    チャリング・クロス街84番地|文庫|中央公論新社
    https://www.chuko.co.jp/bunko/1984/10/201163.html

  • 勢いよく始まって、だんだん間が空いて行くやり取りが悲しかった。どうしても何かと用事ができて、英国を訪れなかったヘレンさん。疎遠になってしまう人。いつか終わりがくる。映画を先に見ました。映画もよかった。ヘレンさんの語り口、好きだなあ。良い訳だなあと思います。

  • 書簡のやりとりの妙が随所に見られる。
    江藤氏曰く、読書は消費とのこと。そうなのか。考えも及ばなかった。
    吉祥寺の本屋で見つけた本だが、図書館で借りて一通り読んでみて、手元に置いて読みなおしたい本だと思った。
    1949年に始まる最初の手紙から1969年のエピローグまで本の注文のやりとりはもちろんのこと、戦後のイギリスの日常の窮状が垣間見え、アメリカとは対照的で興味深い。
    なにより、手紙の書き手の心情が言葉の端々にみえるところは秀逸。読み手が想像しながら手紙を読む、という至極当たり前のようで今や失われつつと感じる行為に心が動かされた。

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著者プロフィール

江藤 淳(えとう・じゅん):文芸評論家。昭和7年12月‐平成11年7月。昭和31年、「夏目漱石」で評論家デビュー。32年、慶應大学文学部卒。37年、ロックフェラー財団研究員と してプリンストン大学留学。東工大教授、慶大教授などを歴任した。新潮社文学賞、菊池寛賞、日本芸術院賞、野間文芸賞など受賞多数。

「2024年 『なつかしい本の話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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