水なき雲 (中公文庫)

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著者 : 三浦綾子
  • 中央公論社 (1985年6月10日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (423ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122012271

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水なき雲 (中公文庫)の感想・レビュー・書評

  • 以前この本のある一場面を読んで、軽い衝撃を受けました。
    「えっ!?三浦綾子さんがこんな事を書くなんて!」と。
    それはこの本においてとても大切な場面で、激しくネタバレになってしまうので、ここには詳しく書けないんですが・・・。
    他の作家が書くなら衝撃的は衝撃的でも「ふーん」くらいなもんですが、三浦綾子さんだからこその衝撃でした。

    大きな家に住み、立派な夫をもち、出来のよい子供をもつ、美しく聡明な姉。
    その姉に何かと対抗意識をもつ亜由子は、夫の浮気を知り激しい怒りをおぼえる。
    その際投げた枕がたまたま走ってきた次男の真二の足に当たり、真二は縁側から落ちて頭を強打する。
    以来、それまで利発だった真二はボンヤリとした子供になってしまい、亜由子は頭の良い長男の純一だけ可愛がるようになる。
    それでもいつもニコニコと笑う真二。
    そんな母親に純一は疑問をもち、その思いは段々と怒りへと変わっていく。
    さらに成長するにつれ、周囲の大人たち、そして従姉妹の俊麿の秘密を知り、純一は不信感と怒りを強くしていく。

    大きな家、立派な夫、出来た子供。
    形だけ揃っているのに、そこには愛がない。
    その実体は、対抗心と上昇意識の異常に強い妻と、それを見て見ぬふりしてやり過ごし浮気を繰り返す夫、そして心冷たい姉夫婦とそんな大人たちを冷たい目で見つめる子供たち・・・。
    お互いに思いやりをもたない関係は寒々しい。
    そこで唯一、人間らしくやさしい心をもつのが真二という少年の存在。
    だけど、その「やさしさ」というものを母親は全く評価しない。
    賢さというのは生まれもってのものもあるでしょうが、本人の努力によってある程度向上させる事ができる。
    そしてそれは目に見える形で本人に返ってくる。
    でも優しさなんて評価されないものをどうやって向上させられるだろう。

    こんな家庭にあっていつも犠牲にあうのは、その中で一番やさしい人。
    ニコニコ笑いながらも真二くんは心で泣いていたのだと思う。
    もうひとつのやさしい魂も・・・。
    生まれもって「やさしさ」をもっている人はそれだけで素晴らしい存在だと私は思う。
    人間にとって真に大切なものは何か?を問う作品です。

  • 身近にありそうな設定の家庭の物語。子ども、夫の悩み。表には出さないが、抱えている問題には、色々と共感できることが多い。

  • 常に人を羨ましがり、今の自分の生活に不満を持ち、そんな生活をしている女性の息子の目を通しての話。家に居場所の無い父親は不倫を装い、1人の時間を確保し、その真実を見抜けない母親は、裕福な姉を羨ましがり、優秀な甥に負けるなと長男に期待し、勉強の出来ない次男を馬鹿にし続ける。その上、義兄と不倫をはじめるなど・・・どこまでも救いようのない女性を母に持つ息子はそれでも母を捨てきれず。
    衝撃的なラストに息子との適度な距離を保つことの難しさと大切さを学んだ。

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