山師カリオストロの大冒険 (中公文庫)

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著者 : 種村季弘
  • 中央公論社 (1985年6月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122012318

山師カリオストロの大冒険 (中公文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 4/26 読了。
    十八世紀のヨーロッパ各地を飛び回り、持ち前に話芸とインチキ交霊会で人びとの心を掌握した伝説的山師・カリオストロ伯爵ことジュゼッペ・バルサモの一代記。
    この謎多き人物を語るのに、種村さんはまず同時代の大詩人ゲーテを召喚する。『イタリア紀行』によると、王妃の首飾り事件に巻き込まれたカリオストロがバスティーユに投獄されたその二年後、ゲーテはワイマール宮廷からの密偵としてシチリア島パレルモにあるバルサモの実家をたずねた。この際、密偵の任を帯びたゲーテは、身分を偽ってバルサモ家の人びとに面会しているのだが、この詐術を軸にしてゲーテとカリオストロは鏡像関係にある、と種村さんは言う。古くはシモン・マグスからアルベルトゥス・マグヌス、フランシス・ベーコンにパラケルススといった、山師気質のある流浪の魔術師たちの系譜の末端を担い、フリーメイソンの理念を実現するため王権の転覆を狙っていたとおぼしいカリオストロと、ワイマール宮廷に召し抱えられながら王権の衰弱を密かに暴く劇を書いたゲーテ。二人の山師はしかし、ナポレオンというさらに頭一つ抜けた山師の登場により表舞台を去る。
    カリオストロは「すべての黒幕にいるのは自分である」というハッタリのために結局、王妃の首飾り事件に巻き込まれて(?)、策士策に溺れ失墜するのであるが、無償で医療行為をおこない民衆に人気のあったカリオストロが無実の罪でバスティーユに放り込まれたというニュースは、その後の革命とバスティーユ陥落に強い影響を及ぼした。カリオストロは十八世紀末に生まれるべくして生まれた山師だった。当時の欧州では啓蒙主義が台頭し、「神の不在」を掲げられながらも、反動として宗教感情が燻りはじめ、人びとは奇跡の出現を待ち望んでいた。世界がハッタリを求めていた時代に華々しく大々的な奇術を演じ 、革命が彼をもはや無用の長物と判断したとき、前時代のスケープゴートとして死んだ。十八世紀という時代の最後のオモチャとなるべく出現した、シルクハットの中の白兎にも等しかった。まさに「カリオストロがいなければ、人びとは確実に一人のカリオストロを作り上げたのに相違ない」のである。

  • カリオストロ…って名前がよく出てくるけど、
    どんな人で、何やった人なのか知らんから読んでみた。

    なんかちょっと江原啓之っぽい気もした。

    この人自体が、そこまで大それたことをしたわけではなく、
    政治的事情でミステリアスな悪人に仕立て上げられた…。
    というような印象です。

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