- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784122012882
感想・レビュー・書評
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村上春樹の最初の短編集。1980年春から1982年夏にかけて発表された七つの短編が年代順に収められている。単行本の発売が1983年なので、40年前のことだ。
村上春樹の小説は、長編も短編も、村上春樹が一体何を書きたかったのかを理解するのが難しい。この本に収められている短編も、うまく理解できたような気はしない。
この中では「午後の最後の芝生」で、主人公の「僕」が芝刈りのアルバイト先の中年の主婦に「あんたにちょっと見てほしいものもあるんだ」と頼まれて、その家の二階で、「典型的なティーン•エイジャーの女の子の部屋」を見せられ、その女の子について、どう思うかを問われる場面が心に残った。
主人公は、その女の子が、「とても感じのいいきちんとした人」「成績は中の上クラス」「ボーイフレンドはいます」等と答え、中年の主婦はそれを真剣に聞く。そして、主人公が「問題は….彼女がいろんなものになじめないことです。自分の体やら、自分の考えていることやら、自分の求めていることやら、他人が要求していることやら…..そんなことにです」と言った後、彼女は十分か十五分、口をつぐんでしまう。そして主人公は、何故か疲れ果ててしまう。
中年の主婦が、口をつぐんでしまった理由は、いくつかの可能性があるだろう。最も悲しい可能性は、もちろん、お嬢さんが、周囲に馴染めずに自殺をしてしまったこと。それをどうしても理解できずに、彼女は、毎日、お昼前からお酒を飲んでいる。最も楽観的な可能性は、自分の娘をなかなか理解できずに、若い「僕」に何らかの意見を求めたかったということ。小説のトーンは、やや悲劇の匂いがする。
という具合に、この短編を読んだが、他の短編を含めて、色々な読み方ができる短編ばかりだ。
私はストーリーのはっきりしている小説が好きなので、好き嫌いで言えば、そんなに好きな短編集ではなかった。
が、何故か、他の短編集も読んでみたい気にさせられた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
もちろん時は全ての人々を平等にうちのめしていくのだろう。まるで路上で死ぬまで老馬をうちすえるあの御者のように。しかしそれはおそろしく静かな打擲であるから、自らが打たれていることに気づくものは少ない。
『貧乏な叔母さんの話』
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千葉哲也の『現代思想入門』を読んで、いくつかの詩を読んで、村上春樹の文章について考えてました。
一般的な小説はいわゆる"オチ"や"ゴール"に向かって展開されていき、物語は僕らに教訓、驚き、スリル、感動を届けてくれる。それは著者もぼくらもお互い期待していることで、協力して、「目的的に」読む。
村上春樹の小説を読むときぼくらは、何にもないところに放り出されて、好きに泳がされる。物語はいわば抽象画みたいなもので、それをどう読んで何を構築するかはぼくら一人一人の問題で、「意味わかんない」でもいいし、「なんかかっこいい」でもいいし、「これは著者の意識下を反映してて...」と読んでもいい。詩的に、物語を読むために、「自己目的的に」読んでもいい。あるいは詩的に読むと、物語の筋には関係ないフレーズがいちいちまとわりついてきて、くせになる。もっとこうやって素直に読んでもよかったのかも
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それでも、物語の裏やその先を、探らざるをえない気もします。その物語の理不尽さには何かあると思わされる。ぼくは、今までにあったことを思い出しながら、中国のことを考え、会う人それぞれの背中に貧乏な叔母さんの影を見、変わったフェティシズムを持ったりして、必要以上に芝刈りに時間をかけて、退屈なまちで羊男に会う。
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中国行きの貨物船(スロウ・ボート)に
なんとかあなたを
乗せたいな、
船は貸しきり、二人きり......
-古い唄
『中国行きのスロウ・ボート』 -
久々に読んだな。やっぱ最初のほうの作品はいま読むと下手だな…と思う。要らない文があるように感じられるところがある。
『午後の最後の芝生』大好き。ジントニック飲みたくなる。ちゃーりーの話も、ホテルの話も好き。 -
午後の最後の芝生 暑い夏と刈り立ての綺麗な芝生とビール
土の中の彼女の小さな犬 プールサイドと彼女と会話
シドニーのグリーン・ストリート ちゃーりーとピザとビールと羊男
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少し粗削りな印象を受けた。
熟しきっていないような、そんな感じがした。
特にカンガルー通信は、カンガルー日和をぱっと思い出すけれど、やはりクオリティーは圧倒的にカンガルー日和の方が高い気がする。
この本は村上春樹の初期の短編集らしいので、これらの話が寝かされ温められ、熟して、奥行きを広げていったのだな、と思った。
1999.5.21
村上春樹チックな内容だった(笑)彼が「格言」めいたものを好むという意味がよくわかった。彼の文章は、彼の思想というか思考とスタイルに支えられている。素材はけっこう平凡だ。しかしスタイルと視線が少し(大幅に)違うから、新鮮なのだ。「シドニーのグリーンストリート」は、コミカルで、いい。そして、彼独特の言葉の使い方も面白い。 -
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昔読んだものの再読。この中の芝生の話の短編がもう一度読みたくて。
夏に芝を飼った話。それだけがなぜかずっと印象に残っていた。が、今読み終えて、「へーっ、こんな話だったのかー」と思った。細かなところまでは憶えていなかった。たぶん、ストーリーはどうでもみ良かったのかもしれない。夏の日差しの下のし芝刈りが、あたまに残っていただけなのだろう。 -
ムラ・ハルの短編集。ムラ・ハルは短編や翻訳ものの方が読みやすい。
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(2011.08.22読了)(拝借)
小川洋子さんが「博士の本棚」で繰り返し紹介していた本なので、かみさんの本棚で探して、読んでみました。
村上春樹の最初の短編集ということです。単行本は、1983年5月に刊行されています。
7つの作品が収められています。
「中国行きのスロウ・ボート」「貧乏な叔母さんの話」「ニューヨーク炭鉱の悲劇」「カンガルー通信」「午後の最後の芝生」「土の中の彼女の小さな犬」「シドニーのグリーン・ストリート」
(書きかけ)
☆村上春樹さんの本(既読)
「風の歌を聴け」村上春樹著、講談社文庫、1982.07.15
「ノルウェイの森(上)」村上春樹著、講談社、1987.09.10
「ノルウェイの森(下)」村上春樹著、講談社、1987.09.10
「沈黙」村上春樹著、全国学校図書館協議会、1993.03.01
「アンダーグラウンド」村上春樹著、講談社文庫、1999.02.15
「約束された場所で」村上春樹著、文春文庫、2001.07.10
「1Q84 BOOK1」村上春樹著、新潮社、2009.05.30
「1Q84 BOOK2」村上春樹著、新潮社、2009.05.30 -
村上春樹の初期の空気を最もよく伝えているように思う。個人的には、短編の方が空気感が直に伝わってきて好き。結果はいらないと思う時もあるでしょう。
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本当はここらあたりがピークだったのに、画像もないのが残念。
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レビューが無くてゴメンネ。
村上短編集の中でもコレが1番好き。特に「午後の最後の芝生」は村上作品の中でも上位にランクイン -
短編。
あんまり覚えてない。
短編はほとんど全集で読んだ。
家本棚に並んでましたので。