ぼくが電話をかけている場所 (中公文庫 C 30)

  • 中央公論新社
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784122012899

感想・レビュー・書評

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  • どの話も他の短編集で読んだことがあった。けれど少し印象がちがう感じもあって、村上さんの訳文がちがうのかなと思った。もしかしたら読み手側のコンディションがちがうから印象が変わっていただけかもしれない。

    『出かけるって女たちに言ってくるよ』が今回は胸に刺さった。
    大学在学中に結婚して中退、スーパーマーケットに就職した男。まだ若者気分の彼は羽目を外して幼馴染と一緒に二人組の女をナンパする。相手にされなかったことに腹を立てたのか、性欲を発散させたかったのはわからない。彼は自分の感情の昂ぶりを制御できない。彼は石で女たちを片付けてしまう。奥さんも娘もいて仕事も順調で、彼は幸せなはずなのに。

    どうしようもない男の救いようのない話。
    そしてよくある話だと思う。つまり、どうしようもない人間になってしまうことはよくある、ということだ。

  • 原文で読んでみたい。英語読めないけれども。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「英語読めないけれども。 」
      そんな風に思えるって素晴しいですね、、、
      えっと原書のコトは判らないので、確か収録作が幾つかダブってるのですが...
      「英語読めないけれども。 」
      そんな風に思えるって素晴しいですね、、、
      えっと原書のコトは判らないので、確か収録作が幾つかダブってるのですが、同じ村上春樹訳の「CARVER'S DONZEN レイモンド・カーヴァー傑作選」も、お薦めです。
      2013/02/25
  • 20年前に「読みたい」と思ったまま積読しといた一冊を、やっと読み進めるという、まずはそこんとこにちょいと感慨…
    潤っているように見えていたものが、ラストに至って一気に色彩を失っていくようであったり、
    逆に感動もなく渇いているかのようなシーンが、たっぷりと何かで満たされていくような感覚におそわれたり。
    心地よい「裏切り」という小説の醍醐味に満ち満ちた短編集。

  • 《「奴らはここで起ったことは何でも目をとおしてきたつもりなんだ。でもさ、こういうのって見たことないはずだよ、きっと」》(p.18)

  • たまにあることがちゃんと書かれている。ほんとうにすごい。読んでいるときにしか読んでいるときの感覚に触れられないのもいいな。二度目に読むものもおおかったが、ちゃんと一度目だった。むしろ一度目のような感覚を失ってしまったら、この小説は読めないのかもしれない。

    解説より。
    「かつて私がかなり出来の良い短篇を書いた時、最初私の頭の中には出だしの一行しか浮かばなかった。何日間かその一行を頭の中でこねくり回した。『電話のベルが鳴った時、彼はちょうど電気掃除機をかけているところだった』という文章である。私はこの一行の中にはストーリーがつまっていて、外に向けて語られたがっている、と思った。

    レイモンド・カーヴァーの文章と物語のプロセスを体験しているときの感覚、こちらに流れこんでくるもの、そのときの自分は好きだ。影響されたいし、書くものもそうしたくなるのだけれど、どうなんだろう、影響されやすいだけなのかもという懸念もありつつ。

  • カーヴァーののこすしこりみたいな感情が心にずっとのこっていて、なんてことない短編ばかりなのになぜかけっこう覚えている

  • 「大聖堂」を読みたかったのだ。
    先に奥さんのテスの作品を読んだからね。
    単純に旦那さんの立場から書いてあるんだろうなと思ったけれど、けれど「単純に」ではなかったもちろん。

    なんというか全編とても不安。幸せそうに暮らしている男性と女性がちょっとしたことでぎくしゃくしたり、ほころびができるあたりが、とても不安。でもうまいなあと思う。

  • 2018.6.17

    昔すごく好きだったのだけれど、なんだかあまりこれはよくわからなかった 誰かの個人的な体験すぎて、自分がこの小説のニュアンスをきっちりと受け取れていない感じがする

  • 村上春樹、という小説家に興味を持たなかったのならば、レイモンド・カーヴァーのこの作品を手に取ることも、生涯無かったのだろうなあ、そう思うと、元々の作者であるレイモンド・カーヴァーさんには、申し訳ない気がします。

    日本という国に生まれて、日本語を母国語として使っている以上、まずやっぱり、日本語で書く作家を好きになるのが自然な成り行きでしょうし、そのなかで、村上春樹という作家を好きになり、その村上春樹が好きであろう、好きすぎるが故に自ら翻訳までしちゃうくらいな、日本語でない他言語で本を書いている、レイモンド・カーヴァーという人物の著作に興味を抱くのは、まあ、必然なんだろうなあ、と、思う次第です。

    この作品、面白いか?と問われるならば、正直に申し上げて、「うーん、、、よおわからん」という感想になってしまうのは、誠に申し訳ないです。うん、よおわからん小説でした。面白いのか面白くないのかも、深いのかもそれほど内容について考えんで悩まんでいいのかも、よおわからん。「ふーむ、、、ふむ、ふむうー、、、うん、ふむう」という感想しか、無い。そうとしか思えない。どうしたらいいんだろう?謎です。でも、まあ、困るのは、読んでいる自分だけなので、そらもう、どうでも良い悩みであり困りであり、という感じでしょうか。

    例えるならば、とあるミュージシャンがいて、自分はそのミュージシャンが、物凄く好きで、そのミュージシャンのCDはほとんど持っていて、ほとんど愛聴している、気がする。としましょう。

    で、その敬愛するミュージシャンが、「僕はこんな音楽が好きなんですよね~。このミュージシャンが好きなんですよね~」と、とある雑誌のインタビューで語っていた。

    そらもう、そのミュージシャンのファンである自分としては、そのミュージシャンが敬愛するところの、別のミュージシャンの作品も、聴いてみたい!って思うやないですか。「あの人が好きなモノは全て知ってみたい!」って思うやないですか。人情として、そう思うやないですか。で、ドキドキしながら、そのミュージシャンが敬愛する別のミュージシャンのCDを聴いてみたら、

    「うーむ?うむ?なんだか、この作品は、、、自分には、よおわからん、、、」

    と、途方に暮れる、あの感じ。それを、村上春樹さんが訳す、外国の作家の作品には、いつも感じます。何故に、村上春樹さんが好きな自分は、村上春樹さんが訳す、村上春樹さんが大好きであろう、外国の作家の作品が、そこまでピンとこないのだろう?謎だ。本当に謎です、うん。

    「出かけるって女たちに言ってくるよ」
    は、なんといいますか、無茶苦茶、怖いですね。これはもう、怖い。人間という存在の持つ狂気を、間違いなく、描いている気がします。ジェリー・ロバーツは、あの女の子二人を、石で、殴り殺した、ということ?なんですよね?何故にそれに至ったか?ということは、一切言及せずに、「その雰囲気だけ」を、ひしひしと、感じさせる、あの感じ。怖い。怖いわあ~。ジェリーは、どこに「でかけた」のか?決して帰ってくることのできない場所に、でかけてしまったんだろうなあ。ビルは、女たち(妻と、親友のジェリーの妻)に「ちょっといってくるよ」って、言った時は、直ぐに帰ってくるつもりだったのだろうに。まさか、あんなことになるなんて、想像だにしていなかっただろうに。怖い。怖すぎます。

    あと、この作品、1983年?に、日本語版が刊行されているようなのですが、2018年現在からすると、38年前?とんでもねえ大昔だなあ。でも、インターネットも携帯電話もスマホもパソコンも無い筈の時代の作品のハズなのに、一切、古さを感じさせないのは、どーゆーこっちゃ?とかね、驚異に思いますね。何故に古びないのだ。「だっさー、ふっるー、時代遅れやっちゅーの」という感じは、一切感じませんでした。凄いですねえ。

  • どの短編も読みやすかった。村上春樹の翻訳はまだ初期段階だが、それなりの完成度と思った。

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